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そう、
[そこで、バルコニーから街並みを見ていた語り手は、
聞き手の金色の髪を見やった。]
俺がお前の父君であるトライプクラフト外務大臣の政敵、
マーティン・フォン・ミュラー軍務大臣付きをしてるのも、同じ。
将来我が"故郷"を取り戻す力を貸していただけるって
──"契約"の元、ってことだ。
[夜風に髪がなぶられるの紫眼が見やる。視線が向くのは、かつての後輩たる、ステファン・フォン・トライブクラフトへだ。]
… 風が出てきたな。
あそこじゃ、理由までは話してやれなかったんで、
顔見たついでにと思ったが
[かつての学び舎をあそこ、と言葉で指して、肩を竦める。
仕草はかつてとほとんど変わらぬまま]
つき合わせた。
[腰に下げた剣を軽く揺らして、ベリアン・アリーと士官学校と同じ名前を名乗る護衛官は、歓談が続く広間の灯りへと*顔を向けた*。]
[三年前──卒業後のステファンとの邂逅。
しかし、その数日後、
軍務大臣マーティン・フォン・ミュラー辺境伯は
何者かの手で暗殺されることとなった。]
──三年前・公国 軍務大臣公邸執務室──
[その日覗きこまれた執務室は、丁度マーティン・フォン・ミュラー軍務大臣の元に、褐色肌の青年が書類仕事を持ち込みにドアを開けたところだった。]
──王太子が暗殺されたそうですからね
[褐色肌の護衛官は>>376 ほんの一日前に起きたのち、即座に公国中をかけまわった出来事を引き合いに出して、帯剣したまま邸内に居残っていた。]
万一、貴方にまで毒牙にかけられては
こちらがたまらないですから
[そう言葉をおき、持ち込んだ書類を机の上に置く。整理作業の量に、こつこつとマーティンが指で机を叩いた。それを確認して、一歩窓辺へと下がる。]
― 三年前・公国軍務大臣公邸 執務室 ―
[見た先に覆面を認めた直後に、窓が割れる>>454。]
───、マーティン卿!
[声と窓の破砕音とどちらが先だったか。声に軍務大臣が椅子から立ち上がるのが見えた。]
───!
[>>454飛来した短剣が左腕につき立つ。それと同時に部屋に広がる血の匂いに、剣を抜いて黒衣の影に打ちかかろうと襲撃者の肩を狙い長剣を鞘ばしらせた。誰か、という確認はないまま、瞬間的に。]
[されど、切りかかる横で、迎撃に剣を抜いたマーティンの身体は、脆くも崩れゆく。初太刀は反射的な判断であり──相手に意識が向いたのは、打ちかかった後のことだ。]
あんた…
[そのときに紫眼が瞠られたのは、顔をみたからでも声色のためでもなかった。──意識が逸れたのは、扱われる刀を見た時だ。]
[東方で扱われる刀を使うものと触れ合った事は多くはない。思い出したのは士官学校の教官であった男の事だった。]
────、
[紫眼が、僅かに驚きに見開かれ、剣先が微かにぶれる。]
…っ、
[けれど、すぐに口元が引き結ばれる。一瞬走った驚愕は、揺り返しのように即座に怒りに似た感情になりかわり、それもすぐに冴え冴えと冷えた。]
── 何故、軍務大臣を狙う!
[低い声が襲撃理由を問うと同時、短剣に貫かれたままの左腕から血が滲み、床の上へ*丸く落ちた*。]
──三年前・公国軍務大臣暗殺事件──
[小太刀で受けられる剣が跳ね上げられる。何故と問うた声に応える台詞に、鋭く目を細めた>>510。]
──太子暗殺からここにたどりつくのが早すぎる。
複数から邪魔者扱いをされるとは、
マーティン卿は流石に有能ですね
[驚きと苛立ちは一瞬の事、暗殺などという手段が安易に振り回されていることにも、それに恩師の一人が加担しているらしき疑惑にも──それで剣先を鈍らせた自分にも苛立ちはつのる。]
それに。
卿が暗殺なんて危険な手に手を染めるなら
俺が知らないわけがない
[ベリアン・アリーはマーティン・フォン・ミュラーの子飼いと言っていい。その自負と共に、跳ね上げられた位置から、刃を振り下ろす。]
[同時、軍務大臣の位置に走りながら、眼前に剣を構えた。屈む姿に飛び込む勢いで、上方からの突きを見舞った。]
…ッ
[けれど、それも左からの一刀に打ち下ろされた。
その場に、抜いた剣が転がる。]
…づ、…ッ
[ぎり、と奥歯を噛みしめながら。痛みと苛立ちを噛殺す。]
[血に酔ったように笑う声が上がる。それに嫌悪の感情を刺激されながら、左腕に刺さった短剣を引き抜いた。]
──こ、の …ッ!
[赤い血に濡れた短剣を、相手の喉に向けて構え一歩を踏み出した直後──直後に四肢を狙った短剣が、両足へと突き立った。]
[短剣に持ちかえてから、何合打ち合わせられたか。途中から数えるのをやめた。これは敵だ。と、剣筋だけに意識が収斂していく。]
─────。
[痛みが腕、足、肩、頬、わき腹と数多増え、
溢れた血の匂いが部屋に満ちる。]
…
[ぼた、ぼた、と両足と左腕から赤い血が落ちる。]
[半ばは麻痺した痛みがびりびりと四肢に響くが知ったことではなかった。それより厄介だったのは切れた筋が侭ならなかったことの方だ。煩わしい、と感じながら、短剣を突き出す。相手は何処からかの刺客だ、ならば殺さなければならない。──その覆面の下がどうであれ。]
────ッ!
[逃がすわけにはいかないと、その意識だけで飛び込んでくる姿へ向けて、その場から無理な姿勢で覆面に向けて放った斬撃の結果はどうだったか。けれどその結果を確認する前に、腹部に打ち込まれた衝撃に目の前が暗くなった。]
[血に酔ったような哄笑に紛れて、邸内の異変に気づいた他の守備兵たちがかけつけてくる足跡が聞こえる。意識がもぎとられかけながら、苛立ちばかりが募る。寝ている場合ではない、鼻先に香る血の香の濃さに、胸の中央に穴が開く。
ああ。と、マーティン軍務大臣の見慣れた禿頭を眼前にして、息が零れた。こんなところで、こんなかたちで、あっけなく奪われるのか。]
[そうして、軍務大臣官邸が沈黙したその翌日、マーティン・フォン・ミュラー辺境伯が何者かに襲われたとの報が公国上層部に伝達された。
軍務大臣官邸内の護衛たちのうち、
生存者はベリアン・アリーのみだった。
その軍務大臣邸護衛官唯一の生き残りも出血の為意識不明の境をさまよったのち、後ろ盾であった軍務大臣を失ったことにより、公国内警備隊から国境警備軍への転属を言い渡されることになった。]
[動けるまで回復してから見に戻った軍務大臣の部屋。官邸の廊下に、こびりつき、茶色く変色した血の跡と、二年ばかりつきあった同僚の護衛官らの顔。倒れ伏したマーティン・フォン・ミュラーの顔。]
…
[どうして。と問う言葉はすべて呑み込まれる。何故、生き残れたのかという問いも。偶然か、運か、それとも──或いは温情か。理由を思えば苦いものばかりが広がった。見知った顔を思い起こせば、重なるようにか細い意識の中で聞いた哄笑が、三年たった今でも*蘇る*。]
──公国前線基地、陣内──
[天幕内で、抜き身の長剣を目前で構える。──三年も前の記憶をなぞりながら、ゆっくりと息を吐いた。]
───…
[戦端が開かれる前からシュヴァルベ入りを果たした身は、かつての学び舎があったこの中立地帯が刻々と荒地に変わりゆくのを眺める派目になった。戦端が開かれて以後は、部下も仲間も敵も、区別なく欠けていった。]
……
[剣を納めると丁度そこで天幕の入り口が捲られた。顔を見せた部下が召集と、これみたいです。と立てた親指を横に引いた。]
…また辞令か。忙しいな、どこも。
[仕草の意味を読み取って、わかった。と告げて立ち上がる。]
──公国前線基地、会合内──
[前線基地の顔ぶれには変動があった。首都からやってきたトールが持ち込んだ「猫」からの情報に、俄かに緊張感が高まる。信用度の話に微かに頷くのは以前に『意図的に嵐を起こす魔器』が帝国軍の手にあるとされた際には、信用度が低い情報とされて、対策が怠られたからだ>>171。]
河川攻略はお互い拠点を進めるにあたっても
課題のひとつになっていましたからね
[機動力に優れた騎兵で陣を確保しようにも、河川に足を取られれば速度は鈍る。そこを砲兵に狙い打ちにされれば、敵陣に連隊で切り込むのは易い事ではない──お互いに。]
[竜騎兵隊の配置についてはディークの意見に頷いて、地図を示す。]
騎馬隊は、北よりにやや厚めに配備しておこうかと
雪崩れ込まれて陣を確保されると厄介なのは、
現陣地より北方でしょうから
[とん、と指で地図を叩き]
──迎撃と、反撃が行えるように。
渡河の憂いなく、こちらの陣へ仕掛けられるようになれば、
今の膠着状態は崩れるでしょうからね
[そうして自部隊の位置取りを伝え──天幕内での会合が進む中、ゲオルグ大佐宛ての辞令内容が明かされる。不満を表情に出すゲオルグに視線を投げてから、トールが指示を出すシェットラントへと視線を向けた。]
───。
[そのまま、いくらか長く、
そこに視線を留める。]
[前線に留まる間に、シュヴァルベへ配属されてきた士官の顔は、ほぼ覚えた。紫眼が逸れたのは、ニコラス中佐が手を上げて、>>632 トールが呟くのにあわせての事だ。]
陽動が効果を上げるのであれば、
遊撃部隊での突破は可能かと思いますが──
[率いる騎馬隊は、突破力に優れている。陽動が美味く働けば、奥深くに潜る事はできるだろう、
──行きは。口内のみで総呟き地図に表を伏せる。]
そのまま、帰らぬ一矢となる可能性は高いかと。
[帰りの保障は危うい、と。淡々と見解を告げた。]
/*
回想に 上手く 回想って形で 返せないのは、
中身性能な気がするな……
PCの俺の性格もあるのかもしれないが。
― 公国側前進拠点 ―
>>734
──そうですね。
[トールの声に頷く。運が良くても帰ってこられるかどうか。行かせるというのなら──恐らくは自分が行くべきかと考える間に、>>740 ディークからの意見が挟まった。]
───。
[琥珀に向けられた紫眼は、微かに眇められた。トールとディークの会話が為される間には口を挟まずにその場に控える。]
[視線での会話が終わり、配置の確認の指示に頷く。]
>>742
──はい。
[竜騎兵連隊とは機動力の関係から、連携を取る事が多い。直属ではないが、階級の差からディークの下で動くことも多い部隊だ。確認作業は滞る事もなく終わった。]
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