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強き者たちがすべての呪縛を破り、手を携えたその時、
赤の宮殿と緑の聖殿から光が溢れ、立ち上る。
代理の戦い手を失った二柱の亜神が、
いざ、直接雌雄を決すべく、姿を現したのだ。
同時に、ままならぬ異分子である強き者らを排除するべく。
赤の宮殿より現れし亜神は、赤の鱗光纏う巨人。
人の背丈の二倍はあろうかという巨体に蝙蝠の翼を備え、
獣じみた顔に牡牛のごとき一対の角が異様を増す。
右手の長大な剣は凶悪に波打つ刃を持ち、
左手の鞭は炎に覆われ地を焦がす。
赤き鱗の大蜥蜴を傍らに従え、
死霊術師が操る死者の軍勢を前に押し立てて、
悪夢のごとき進軍を開始する。
緑の聖殿より現れし亜神は、緑の膚と白き翼持つもの。
手に持つは長大な杖ともみえるが、さにあらず。
それは喇叭。味方を鼓舞し、敵対するものの心を壊す
妙なる音色響かす銀の喇叭。
自在に剣へと姿を変える、神の武器。
天馬駆る緑鎧の騎士がこれを護り、
地を削りながら移動する要塞が前を固める。
木々を、植物を自在に動かす妖精の軍が進めば
あたかも、森そのものが動きだしたかのよう。
赤の亜神が倒れ、最後の宝玉が地に転がった。
そのとき、すべての宝玉が、淡い光を帯びて輝き始める。
赤の亜神が変じた宝玉は光纏って浮かび上がり、
一点を目指して飛んでいく。
他の宝玉たちも、それぞれの手の中で浮かび、
手を離せはどこかへと飛び立つだろう。
宝玉たちが集うのは、黄砂に埋もれし村の外。
村の門をくぐった先、十字の辻の中央に集まり、飛び回り、
やがて、二つの図形を描いて回り始めた。
五つの赤は地面のすぐ上を、
五つの緑は、人の手が届かぬほどの高さに、
それぞれ五芒星の頂点をかたどり、回る。
ふたつの五芒星に囲まれた空間は、
白い柱のように光溢れていた。
帰るべき時を、場所を、人を想えば、
光はぼんやりとその場所を映す。
足を踏み込めば、懐かしき場所へ帰れるだろう。
強き者たちの帰還を、"扉"は静かに待っている。
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