情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
執務 ジークムント が見物人として参加しました。
執務 ジークムントは、見物人 を希望しました(他の人には見えません)。
─ 執務室 ─
[さらさらと書類にペンを走らせる音ばかりが静かな室内に響く。
本日目を通して署名をしたのは、さて幾通だったか、そのうちの一通、ランヴィナス公国のとある鉱山を巡る取引に関する書面に難しい顔で視線を落とす部下───教え子に、男は書面から顔を上げて柔らかい笑みを向けた。]
………納得がいきませんか?
[その書面には、取引相手の商会の名も記されてある。
そこに記された名は、エティゴナ商会の名ではない。
もっと小さな別の、条件としてはエティゴナ商会に劣っていた者の名前だ。]
そうだな……、
[男は手を止めて、背を伸ばすように椅子の背もたれに背を預けた。
若草色の瞳には面白がるような、そしてどこか教師めいた色がある。それは生涯の半ばを戦場にかけてきた男の本質であるかも知れなかった。]
確かに現状選ぶのなら、エティゴナ商会が妥当でしょう。
あれは安定しており条件もいい。
儲けは些か減ろうが損をすることもない。
我が国にとっては願ってもないことだ。
[エティゴナ商会。かの戦乱を経て大きくなり、更には義息子たる男を得て更に勢いを増した商会だ。今やランヴィナスの経済の随分多くは何らかの形でかの商会の影響を免れずにいる。
彼らとはジークムント自身、縁も深い。
彼らが求めるのは当然に彼ら自身の幸福と利益、されどランヴィナスの幸福の追求が彼らの幸福と対立をせず重なる限り、彼らはランヴィナスの幸福にも多く手を貸してくれるだろう。
その程度の信はあり、その程度には頼っていた。…けど。]
………が。
一つに頼りすぎては、やはり危うい。
例えば彼らが倒れたならどうします?
我が国が共倒れになる、それは避けなばならない。
…が、あまりに結びつきを強めていてはそれは難しい。
[初歩の初歩。それを音にしながら男は僅かに首を傾げる。]
なに。彼らはさして以外とも心外とも言いませんよ。
いや形ばかりの不平は言うかも知れませんがね。
彼らもこの程度は予測していることだ。
その上で恐らく、次は更に売り込みを掛けて来るでしょう。
その時は受け入れれば良い。
取引相手は多ければ多いほどに強みとなるもの。
それを彼ら自身とて良く承知していること。
私たちが───ランヴィナスが、
そうした「強い」取引相手と彼らに認識され続けている限り、
彼らが我らに背を向けることはない
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新