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[モンスター騒ぎが起きたからか、入口には綱が張られ、
『この先モンスター出現中:危険!』の看板が下がっている。
もちろん、その程度で引き返すようなら、ここまで来ない。]
どんなモンスターなんだろうな?
どうする?ドラゴンとか出たら。
[護身用に持ってきている小剣を腰に下げ、
左手でランタンを掲げながら、ためらいなく綱を乗り越えた。]
― 鍾乳洞内部 ―
[ひんやりと湿った空気の中を、ランタンを頼りに歩いていく。
最初のうちは騒ぎながら歩いていたが、
この先にモンスターがいると思えば、自然と無口になった。
鍾乳石から垂れる水滴が時々音を立てる以外は、
二人の足音と息遣いだけが響く。]
………ねぇ。
[沈黙に耐え切れず、小声でレトに声を掛ける。]
ずっと思ってたんだけどさ、
寮長たちって仲悪いけど、すっごく似たもの同士で
両方とも強くてかっこよくてさ、まさに好敵手って感じだよね。
[憧れの溜息をついてから、レトの顔を見た。
ランタンの光を受けた緋の瞳が、さらに輝いて見える。]
俺たちも、あんなふうになれるかな。
一緒に、強く、…。
…あ、別に仲悪くはならなくていいんだけど。
[思い出したように付け加えて、くすりと笑った**]
― とある朝:練武場 ―
[木剣同士がぶつかり合う、高い音。
がらんとした練武場に、普段よりずっと大きく響く。
斬り下ろした剣はいなされ、外へと流れた。
目標を失った体が、前へ泳ぎそうになる。]
、っ ―――!
[背後で生まれた風圧に、背筋がぞくりと粟立つ。
高揚する心とは裏腹、
体は冷静に型をなぞって動いていた。]
[前に踏み込んだ右足を軸に、前進の勢いを回転に変え、
ディークの方へ体を向けながら、右手を腰の後ろに引き戻す。
左手は体が回転するままに外へ払い、
振り下ろされる剣の横腹を小盾で弾きにいった。
先ほどよりも鈍い音が響き、盾越しの衝撃が腕に伝う。]
―――…!
[溜めた息を吐き、左足でダンと床を踏みしめ、
腰の位置から剣を突き出して、腹を狙った**]
一緒に、もっと、ずっと強くなりたいんだ。
[手が届かない、と思える人達さえ越えるほどに。
ひとりでは無理でも、ふたりならきっとできる。
そう、信じた。]
ええと、せんせい?
[羊的もこもこモンスターに囓られながら、
至福の表情でもふっている同室の教官。>>+101
ひどいというか、らしいというか、
形容に困る光景に、いささかコメントを躊躇った。]
[銃口が動く。狙いは、足。
盾は剣を払いのけたばかりで遠く、間に合わないとみた。
避けようと体は動くが、軸足を動かそうとしてバランスが崩れる。
よろめいたところへ、乾いた発射音が響いた。]
───〜〜〜っ!
[腿の真ん中で模擬弾が弾け、唇を噛んで声を殺す。
傾いた体を立て直すのは諦めて、そのまま横へ倒れた。
受け身を取りながら床を転がり、追撃を警戒して距離を取る。]
[膝立ちで構えたところで、床についた左足に衝撃が響き、
少々情けない顔になった。]
難しい、な……
[銃への対処が、とても十分とは言えない。
まだまだだ、と自分に渇を入れながら、
ディークの次なる動きを注視する。]
― 鍾乳洞 ―
えええぇ……
[シロウに残念そうな顔をされて、一歩、足を引いた。
この人のそんな顔に弱い。とても弱い。
おまけに良い訓練とまで言われてしまっては。>>+122
脚力をつけたら、というシロウの言葉>>5:+130が頭に浮かび、
こいつ相手にランニング練習もいいな、だなんて
ほんのちょっと、思っちゃったりして。]
───ああ、もう。
ちゃんと首輪と引き綱つけて、
部屋の中ではケージに入れるなら…
[思わず妥協案を出してしまってから、頭を抱えた。]
― お茶会 ―
もう始まってる?
わ、すごいな。
[生徒会主催のお茶会は予想以上に盛況で、
お茶も甘味も軽食までもが豊富に潤っている。]
やあ、ステファン。似合うね、そのエプロン。
あ、そうそう。
俺の持ち込みは、あとで購買の方から届けてくれると思うから。
[もてなし役として忙しそうなステファンに声を掛けてから、
黒執事姿のリエヴルがいるテーブルへ向かう。]
フェルセン先輩も、執事服似合いますね。
あ、ベルゲルード先輩。お邪魔します。
……? …。
[リエヴルと話しているトールへと軽く礼をしてから、
二人の様子を眺め、少し首を捻り、元に戻す。
まあいいか、で結論がついた風。]
あとでお二人、というか対人実技最終組のみなさんに
すごいもの届くはずなんで、楽しみにしててくださいね
[にこやかに言った視線が、ちらりと一瞬だけ
リエヴルの右腕に落ちた。]
― 試験結果発表 ―
おぉっし!良い点出た!
[真っ先に実技の結果を見て、ガッツポーズする。
苦労した甲斐あって、なかなかに良い点がついていた。
他のみんなはどうだろうかな、なんて想像して、
ついでに試験のことを思い出して、顔がにやける。]
……お? おお?
[一方の筆記の方は、良い科目もあり悪い科目もあり、
大体予想通りの結果だったのだけれども、]
科学、結構良い線行ってる……
[あれほど苦手だった科学が、補講不要な点になっている。
去年までの自分を考えれば、大幅な進歩だ。]
教官の授業、聞いてたからかなぁ。
[モーリッツ教官の時はわりと寝ていたけれども、
カサンドラ教官になってから、ちゃんと聞くようになった。
寝たらびしびし怒られるというのもあるけれど、
なんか、ちょっと面白かったからなぁ、と振り返る。]
このまま教官の授業聞いてれば、
ちょっとは使えるようになるのかなぁ。
[カサンドラが今年で退官予定だとは想像もせず、
今日に続く明日を勝手に思い描いていた。]
[そうして向かいに座るトールへと向き直る。]
ベルゲルード先輩。
先輩とも、一度手合わせしてみたかったです。
この間の実技試験、すごく、格好良かったです。
[勉強になりました、と言おうとして、口が滑った。
照れた顔で頬を掻いてから、頭を下げる。*]
卒業、おめでとうございます。
[試してみたい。
むくむくとわき起こった思いが、避けることを放棄させる。
息を詰めて銃口を、視線を、指先の動きを注視した。
どこを狙ってくるのか、いつトリガーを引くのか。
盾と剣を構え、全神経を集中してその時を待つ。
そして───]
あたっ…!
[当然のように空振りした木剣は床を叩き、
べちっ、といい音立てて、額の真ん中に銃弾が痕を作った。
腹の方は小盾で受け止めていたが、
これも実弾だったら容易に抜かれていたかもしれない。
そう思えば、これはもう完膚無きまでに、]
やられたーー………
[ぺたん、と後ろへ大の字に倒れ込んだ。]
[慌てて理由を並べ立ててから、レトの肩に手を乗せる。]
……うん。うっかり間違った道に進むところだった。
[反省のポーズ。]
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