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──── 展望ラウンジ ────
["アイリ"と呼ばれる事には慣れていた。
何せ、幼い頃からのあだ名だったのだから。
オクタヴィアの申し出に、少し顔を明るくして頷く。]
あの………さん付けも…いらないです……
えへへ……私…嬉しくて……
こんな姿になってから……みなさんの事…ただ何もできず見ているだけだったから……
オクタヴィアさんがいてくれて……ホッとしてるんです……
2人なら…何かできるかも……
あっ、こ、こんな所にいるのもなんですから、移動…しましょうか……
[こんな真っ暗な所にずっといては気が狂ってしまう。
そうして私は展望ラウンジを後にした。]
──── ??? ────
[それからはふわりふわりと気の向くままに移動する。
オクタヴィアと話をして、いくらか慣れてきただろうか。
気になっていた"人狼"について、聞いてみた。]
オクタヴィアさん、"人狼"の事……知ってますか……?
私が聞いた話では、"人狼"は殺すか、冷凍睡眠しかないって。
人狼が恐ろしいのは私も知ってます。
………たぶんですけど、私、人狼に襲われたのだと思います。
10年も家に閉じこもっていたので、人狼なんで知らなくて…
[この時すでに犠牲者や冷凍睡眠に送られた者が出ているとは知らず、2人はゆっくりと動きながら、会話をしているのだった。]
【見】養女 アイリは、栞を挟んだ。
[思えば船に乗ってから何も口にしていない。
────カークにもらった薬も、ハーブティーも飲めないまま私は……
こみ上げてきた涙をぐっと堪え、オクタヴィアに悟られないように明るく振る舞う。]
あ、レストラン行きませんか?
私たち、何も食べられませんけど、匂いかぐだけならタダですし!
[オクタヴィアが行かない、と言っても自分は行くつもりだった。
スープで温かな雰囲気のこの場所のどこかに、あの恐ろしい"人狼"がいるという事実がとてつもなく辛くて、見ていられなかったから。
それでもメイン・サロンからさほど離れていないレストランを選んだのは、自分もその温かな空気の中にいたかったからかもしれない。]**
──── 回想 オクタヴィアと ────
[────"二人いれば"
その言葉は希望をなくした私に、再び希望の光を灯してくれた(>>3:+9)。
まだ諦めるには早いと、私を奮い立たせてくれた。
優しく語りかけてくれるオクタヴィアに、私は何か安心感を覚えたのだった。
展望ラウンジを出た後に彼女と交わした会話は、10年も家に篭っていた私にとって新鮮な情報ばかりだった。
きっと目を輝かせて話に聞き入っていただろう。決して5秒以上は目を合わせなかったが。
そして、こんなにいろいろな事を知っている彼女なら、"人狼"の事を知っているのではないかと思って口を出たのがあの質問だった(>>3:+6)。
返ってきた答えには驚きを隠せなかった。
自然と肩に力が入る。]
脳に……寄生……?
そんなことができるんですか……?
人間を襲う事が目的なんて………
[私の反応をみて、気を遣ってくれたのだろうか。
オクタヴィアはそれ以上"人狼"の話はせず、他の話題に切り替えてしまった。
私にとってはそれで良かったのかもしれない。
軽く目を閉じると心の中で"ありがとう"と呟くのだった。]
──── 回想 メイン・サロン ────
[メイン・サロンへ着くと、オクタヴィアはスープを配る女性の元へスッと近づいていった。
私もその少し後ろをついていく。
彼女がスープを三度見するのを確認すれば、自分もオクタヴィアの後ろからひょっこりと顔をだしてスープを見た。]
わぁ……!
美味しそうですね!!
[心からの感想を口にする。
それからオクタヴィアの呟き(>>3:+17)に気づく事なく、レストランへ行こうと提案したのだった(>>3:+8)。]
見るだけで凄さが伝わる……?凄い…!
そんな料理があるんですね!!
ふふっ、でもおかしい。
噂になってしまったら"見なくても"凄さが伝わりますよ。
[オクタヴィアの心境には全く気付かず、率先してレストランへ向かった。
その足取りは軽く、地に足が付いていたならスキップをし出すのではないかと思われただろうか。]
──── レストラン ────
[レストランに足を踏み入れた私は、その中にいる人物を捉えて咄嗟にオクタヴィアの後ろへと隠れてしまった。
そう。
レストランの中には、私たちと同じように浮遊している人間がいたのである。
つまり、相手は私を把握できてしまう。
……またいつもの恐怖が襲ってくる。
しかし、今はオクタヴィアが居たからか、体の震えは幾らか落ち着いていた。
オクタヴィアの陰から様子を伺う。
相手は気づいただろうか?
どちらにしろ、私は気づくのだ。
その人は、さっきまで"あっち側"にいた人だという事に。]
あ…………………
どうして…………あなたが………?
…あなたは…カークの…………
さっきまで………向こうにいた………はず……
私は…見えていなかった…………
なのに………どうして………
…………どうして浮いているのですか?
[恐怖と緊張に加え、さっきまで浮いていなかった人物が浮いている現状にパニックを起こしてしまう。
小さな、そして震える声で話しかけたなら、オクタヴィアと相手の女性はどう反応しただろう。]
[その時、ポロリ、と涙がこぼれ落ちた。
自分でも頬を伝うまで気づかなかった涙。
人狼のせいでも、そうでなくても、きっと死ぬ瞬間は怖いもの。
そんな瞬間を克明に覚えていて、今私の目の前で冷静に語る彼女を見るのはとても苦しくて、悲しくて。
自分より、私のことを心配する彼女を見て思い出したのは、カークが目覚めた直後の姿だった。
────なんて、優しい人……
瞬間、パニックに陥った頭が冷静さを取り戻してくる。
振り抜けた彼女に向き直り、震える手をぎゅっと握りながら話し始めた。]
[そこで一旦言葉を切り、ばっと頭をさげる。
医務室での出来事を聞いていた謝罪も兼ねて。
…目の前の女性が知る由もないのだけれど。
それからゆっくりと頭を上げ、うつむいた顔を上げてまっすぐに相手を捉える。]
そうです……
私は、アイリス・サーヴェスタと言います。
えと……あなたのお名前を………伺っても……?
[最後はかなり小さな声だったと思う。
何せ、自分から相手の名前を尋ねたのは10年ぶりだったのだから。]
──── レストラン ────
[私の心を見透かしたように私の名前を知っていた理由を彼女は補足した(>>3:+39)。
────そう……だったんだ。気づかなかったなぁ……
少し罪悪感を感じ俯いてしまう。
"綺麗な名前"と言われれば、頬を染めた。
お礼が言えないのはパニックのせいか、恥ずかしさからか、私にはわからない。]
[私が涙を流してしまったことで彼女に気を使わせてしまったらしい。
誤解を解くため、慌てて自分のボキャブラリーを漁る。]
あ……あ………ち、違うんです!
その……あの……
えと………ごめんなさい…………
怖かったのはあなたなのに……私が泣いちゃダメですよね…………
パニックは……もう……大丈夫です………
それより……辛いことを思い出させてしまって……ごめんなさい………
[そうして頭を下げる相手の少し後を追う形で自分も頭下げたのだった。
2人で頭を下げたまま少々後、女性の方から提案があった(>>3:+41)。]
あ、え………そ、そうですね……
[落ち着かない様子で返事をし、彼女と共に頭を上げた。]
ベルティルデ……さん………ベル………
うん!ベルって呼び…………呼ぶっ!
あの…だからベルも……私のこと、アイリスかアイリって呼んで……ください……
あ、あ、それから!
敬語………やめませんか……?じゃなくて!ゃ、やめよう……?
[ダメ…かな……?と控えめに下から覗き込むように言う。
了承を得られればぱあっと表情を輝かせただろう。]
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