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ふむ?
[喚ばれた。
それと理解はしたし、拒否しても良かった。
だが今はともかく退屈だったのだ。
刺激に飢えていた、と言ってもいい。
だから、召喚に応じることにした。
で。その結果がこれだ。]
― チコリの花咲く丘 ―
[心地よかった。
実に、心地がよかった。
なにかごちゃごちゃと言われた気がするし、なにか忘れているような気もするのだが、もはやそんなことは気にならなかった。]
ははは。いいぞ。進め。
[見渡す限りを青く染める花の中に、一条の傷跡を引いて進むそれは、翼の代わりに城砦を負った地這竜のよう―――ではなく、全体的には地に伏せた黒竜にもろもろ奇怪なパーツをくっつけて巨大化したものに似ている、なにかいろいろ混ざった代物だった。
大きさは、ちょっとした帆船程度。
その最上部に立って、魔は機嫌よく花散らす風を受けていた。
上部に据え付けられた玉座の背からは、ぎょろりと目がひとつ伸びている。]
楽しいところではないか、ここは。
[心底、の笑い声]
なに。
全て壊せばいいのだろう?
ならばこいつで
[ああ。なんだったかな。
浮かんだ疑問はすぐにどこかへ消えた。*]
/*
魔王の一人称と二人称なんだっけ、と元村を確認しつつ。
ツィーアは専用の目を欲しがってたからなあとか思うと、にやにやする。
ツィーア可愛いよツィーア。
ほんとはツィーアそのまま召喚したかったけれど、ひとさまのキャラだからねー。
ツィーアとナールを混ぜて縮小したパチモン移動城塞です。
― チコリの花咲く丘 ―
飽きた。
[しばらく移動城塞を駆った末に、ひとこと吐いた。
ここには、壊すものといったら青い花しかない。]
なにかもっと壊し甲斐のあるものはないのか。
なんでもいい。
[時々聞こえてくる声の持ち主は───となにかが囁いたが、知らぬと握り潰した。
面白いやつを見つけに行こう。
見つからなければ世界そのものを壊せばいい。
そうと決めれば楽しくなってきた。]
/*
ん?
ローシェン=コンラートはバトルに絡んでいないな?
ないな?
だがローシェンは黄砂の村にいくとか言ってるなあ。
あそこに我が行ったら阿鼻叫喚、だな?
は。
小うるさい声が混ざっているな。
[賑やかな声が聞こえて来て笑う。
あざ笑うというほどの関心は無い。]
うるさいなら耳を塞げばいいものを。
簡単だぞ。
目の前だけ見ればいい。
ところでどこぞに面白いものはないか?
たたかおうにも、相手が見当たらないのではな。
おまえたちの誰かでも構わんぞ。
我を楽しませてくれるものならな。
大方、おまえは今に満足できない不平屋だな。
不満なら変えればよい。
その力も無いなら、おとなしく従っていればよかろう。
[今度は明らかに嘲って、
呼び起こされたもろもろの苛立ちに、不快気に沈黙した。]
[花畑の中、不機嫌に黙り込んだ魔の目に、光が映った。
明らかなる破壊の光は、世界を抉っていく。
あれは佳い。美しいものだ。
退屈さと苛立ちがたちまち興味にとって代わる。]
おまえもやってみろ。
[足元で唸る移動城塞をけしかければ、巨体震わせて黒い翼が広がった。]
[青白い魔力の光が城西の前面に収束していく。
放たれた魔光は地上を灼きながら伸び、さらに上へ向きを変える。
青空を圧して輝く光は、空高く伸びて空気を焦がした。
恐るべき一撃ではあったが、魔の顔には不満が浮かぶ。]
その程度か?
違うだろう。
[違う。違ったはずだ。
違和感は抱いた端からすり抜けていって、理由のわからない不快感だけが残った。*]
ほう。面白いことを言う。
子雀が囀るものよと思っていたが、
半端者ごときに侮られるとはな。
[二度は許さぬと決めたのだ。
人間に侮られた記憶が、胸を掠める。
なにとは思い出せずとも、怒りは再沸する。]
良かろう。
ならばおまえは我の手で引き裂いてやろう。
[憤怒の気配をまき散らし、声を閉じた。*]
― 古戦場 ―
[遙かな上空で空飛ぶ艦隊が宇宙船と交戦しているころ。
また、その下で鋼の翼が月白の翼を対手に舞っているころ。
魔は場所を移して新たな試みに取り組んでいた。]
これはいい。
これだけ材料があれば、面白いものが作れるだろう。
[あれがいれば、ゴーレムでもアンデッドでも喜んで作っただろうに。
そう思った端から、あれ、とは何のことかと疑問に思い、
結局、その疑問も頭から消える。]
[作業を始めた魔は、その強大な魔力を注ぎ込み、周囲に新たな城塞をいくつも組み上げ始めた。
先ほど移動城塞に撃たせた一撃の威力が不満だったのだ。
一度の光で万の命を喰らい、それを糧に新たな光を放つ。
その程度の威力があるべきである。
それを実現するためには、決定的な何かが足りないと感じていた。
だがそれが何か思い出せず、思い出せないことに苛立ちを覚え、八つ当たりのように新たな兵器を組む。
しばらくすれば、古戦場には奇怪な城塞の群れが現れるだろう。*]
[協力を求める声は、届いてはいた。
"目"の側は、それに応じようとしたのだが、城塞の改良に没頭する魔を動かすことはできなかったのだ。
ひよひよ、と玉座の後ろで目は揺れている。]
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