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先輩もたまにはどうです?
やるなら場所空けますよ。
[いつも見ていることが多いリエヴルの
武術の腕を見てみたい。
きらきらした目が如実にそう語っていた。]
はいっ。
よろしくおねがいします!
[勢い良く頭を下げた後、戻した顔は真剣かつ興奮したもの。
リエヴルが準備を整えるのを待ち、距離を置いて向かい合う。
普段の戦い方をそれほど知らず、
剣一本であることにも疑問はない。
知っていても、さほど疑問視しなかったろうけれど。]
よしっ!
[気合いを入れて剣を握りなおす。
やや短めの幅広の木剣を右手で握り、左手を添え、
構えるのは、おなじく正眼。
準備はできたとの言葉に、しっかりと頷き、]
やあぁぁっ!
[一気に踏み込んで、上段から剣を振る。
先ず狙うのは、剣。]
[木剣が激しくぶつかり、高い音が練武場の空気を打った。
斜めに当たった剣は、流れのままに滑り、
つられて泳ぎかける体を、足に力を込めて耐える。
流されたままに、斬り上げてくる剣を刃の根本で受け、
強引に押さえ込もうとする。
だが不十分な体勢では受けきれず、
剣を跳ね上げられ、たまらず一歩後退した。]
[剣を振るうたび、一合合わせるたびに生き生きとしてくる。
単純に楽しいから。それになにより───]
はぁっ!
[追撃する剣の速さに後退を諦め、
剣の先に左手を添え、受け止めに行く。
リエヴルの剣は鋭く、精密で、隙がない。
丁寧な剣捌きの間から見え隠れするのは、
冷静で獰猛な、猛禽のようなこころ。
剣を合わせれば、もっと相手のことがわかる。
そんな気がするから。]
…っ!
[受け止めた衝撃は、決して小さくなどない。
力の使い方をわかっている故に
軽く見えても重いのだと思う。
体当たりするような勢いで押し返し、
ほんの一瞬ばかりの間合いを得る。]
たぁぁぁっ!
[もぎ取った一瞬に気合いを飛ばし、
大上段に構えた木剣を、肩口めがけて振り下ろした。
胴ががら空きになった、捨て身の一撃。]
[もらった───!
…と、一瞬思った一撃は、
予想した位置で止まらずすり抜ける。
絶妙な体捌きで躱されたとの理解が至るより前に
剥き出しの胴へ横薙ぎの一撃が来た。]
ぐ、 ふ…
[溜めた息を全部吐き出すほどの衝撃と
じぃんとする痺れが突き抜けるような痛み。
それでも最後まで振り下ろした剣は、
手応えひとつ感じたところで、手から滑り落ちた。]
ま、まいり ました …
[肘をつき、脇腹を押さえて悶絶しつつも、
倒れることだけは意地で避けた。
とぎれとぎれに礼を言って、頭を下げる。
それでも、唇が笑うのは止められなかった。]
だいじょうぶ、ですよ。
これくらい、いつものこと、だし。
[駆け寄ってくるリエヴルに、笑顔で首を振る。
そもそも服着ていたらダメージは和らいでいただろうから、
自業自得みたいなものだ。]
なんで、…って、
やっぱ、楽しいじゃないですか。
先輩、強いなぁ。
こう、技がぴし、ぴしっ、って決まってて、
剣舞みたいに格好良くて…
…あっ。
[上気していた頬が、さっと覚めて、
慌てた顔でリエヴルの体に視線を走らせる。]
すいません!
なんか、どっか当たっちゃいましたよね?
俺、全然その力の加減とか考えてなくて、
試験前だってのに、うわぁ…すいません…
[溜息の理由を勘違いして、しゅんと眉を下げた]
― 練武場 ―
そんな。俺、絶対最後のあれ入ると思ってましたもん。
先輩、やっぱりすごいで …ぁ。
[避けきれない云々に反応して力説する途中、
なにか思い出したように口を手で押さえる。
あれがまともに入っていたら、けっこう大惨事なはずだ。]
───フェルセン先輩でよかった…
あっ、いえ。なんでもないです。
[避けてくれる人でよかったと、本音がぽろり零れた。]
次───はい!
俺も、今度は負けないように頑張ります!
[次を期待させる言葉に目を輝かせて背筋を伸ばし、
脇腹の痛みにすこし喉を詰まらせた。]
ててて…
ちょっと、冷やしてきます…。
今日はありがとうございました!
[脇腹を押さえつつ立ち上がって、
もう一度礼をした。]
― 練武場 ―
[さすが生徒会長になるほどの人は余裕が違うなぁ、
なんて、リエヴルの笑顔を見て素直に感心し、
木剣を戻してから外へ向かう。
結局、リエヴルに一撃入れてたことに
最後まで気付かなかったのは、
良かったのか、どうなのか。]
あ、ノトカー!
来てたんだ… っ、いててて…
[練武場を出て行く途中でノトカーの姿を見かけ、
大きな声を出した途端に、顔をしかめる。
腕立て伏せをしてるのを見れば、
その背に防具の袋をぽんと乗せて重しを足してやった。]
さっき、フェルセン先輩に手合わせしてもらってさ。
すごかったよ、あの動き!
またやりたいなぁ。
…っ。で、見事に打たれて、冷やしに行く途中でさ。
ノトカーとはまた今度な。
それ、落とすなよー
[リエヴルとの手合わせを一頻り語ったあと、
笑顔で手を振った。]
― 練武場前 ―
あー…いてて。
すんごいいいとこに入ってるんだよなぁ。
あそこから、こういって、こう……
[きこきこ。
水汲みポンプのレバーを片手で動かしながら、
もう片方の手で、リエヴルの動きをなぞる。
練武場の入り口脇には、冷たい地下水が出るポンプがあって、
夏場にも、今みたいなときにも活躍するのだ。]
ああ。俺ももうちょっと、ちゃんと型練習しないとなぁ。
[勢いと力任せだけじゃどうにもならない時はある。
あと、練習で熱くなりすぎない冷静さも欲しい。
ぶつぶつと口に出しながら、濡らした布を脇腹に当てていた。]
/*
みんなの試験回答が面白いなぁ。
あれ並べるだけで、わふわふする。
そして、案外みんな真面目だな!
(当たり前だ。試験です)
(おまえが適当すぎるのだと)
― 練武場前 ―
そういや、あいつも来てたな。
やたら勉強できる、秀才の………
名前、なんだっけ。
[フレデリカの顔は出てくれども名前を思い出せない。
練武場ですれ違った時には、珍しいな、なんて
顔に出てしまったかもしれない。]
3年生だっけ。あれたしか。
今からあれだからな。
卒業する頃にはすっごい秀才になってるんだろうなぁ。
/*
練武場の前で待ち伏せしてるけど、
動いた方が良いのか悩むね。
自分通り過ぎて、中に入りたい人いる?みたいな。
― 練武場横・水場 ―
[上半身裸のまま打たれた場所を冷やしながら、
近くの芝生にごろりと横になった。
流れる雲を見ながらぼんやりと物思いに耽る。
試験の時には、なんでみんな席着くの早いんだろう、
とか考えていたら、ひとつの顔が浮かんだ。]
そういや、ベリアンっていつもどこ歩いてるんだろうなぁ。
[自分も大概変な移動経路を使うが、
ベリアンはさして急いでるようにも見えないのに、
自分より早く目的地に着いていることがある。
なんか魔術でも使ってるんじゃないか。
今習ってるみたいなのじゃなくて、御伽話的な。
そこまで考えてから、
ふと初めて会った時のことを思い出した。]
[あのとき、確か自分は思いっきり指さしたんだった。
なんでそんな顔色悪いの?とかなんとか。
日焼けじゃなくて地の色なの?とか、
日が当たったら暑くならないの?とか、
家族みんなそんななの?とか。
結構、しつこく聞きまくった覚えがあって…]
…しかたないって。
だって、俺の周りには似たような奴いなかったんだもん。
[過去には届かない弁解をして、ぷ、と頬を膨らませた。]
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