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養女 アイリ が見物人として参加しました。
養女 アイリは、見物人 を希望しました(他の人には見えません)。
──── 第二エリア 自室 ────
はぁ……
[ベッドに腰掛けてそのまま後ろ向きに倒れこむ。]
ずっと部屋に引きこもってる。
こんなんじゃいけないってわかってるのに……
[人の集まる場所が苦手。
人と話すのが苦手。
ただ一つ、得意なことは置物のように座っていること。
座っているだけなら誰にも迷惑はかけない。自分の言葉で相手を傷つけたりもしない。
────ずっと、そうやって生きていくのだと思ってた。
一冊の本。
それに出会ってしまったせいで私は今ここにいる。
新たなる約束の地、"ネオ・カナン"について書かれた本に私は魅了された。
行きたいと願ってしまった。]
自分1人で行けるわけないのに…ほんとバカ…
お父さんもお母さんも、私が頼みごとをするなんて初めてだったから快く了解してくれちゃって…
あぁんもう!帰りたい…怖い……どうしよう……
………………ぅっ……気持ち悪くなってきた……
[ベッドの上でジタバタしながらネガティヴな独り言をもらす。
しかし、気分の悪さを感じるとベッドから上体を起こした。そしてゆっくりと立ち上がり、フラつきながら部屋を出る。
────いけない。なんかぐるぐるする。医務室…あったっけ。
慣れない場所だからだろうか、症状は悪化するばかりだった。
部屋を出る前には辺りに誰もいない事を確認したはずだが、なにせ視点が定まっていない。いたとしても見逃してしまっていただろう。
壁に手をつき、ゆっくりと医務室を目指した。]
──── 第二エリア 廊下→医務室 ────
(>>201,>>202シグルド、>>218カーク)
[かけられた声(>>201)にビクリと肩を震わせる。今にも逃げだしたいが、体が言う事を聞いてくれない。自分が浮いているかのような浮遊感。それを自覚すると更に気分が悪くなる。
────力が、入らない。
この負の連鎖はどうしたらいいのか、今の私には考えられなかった。
恐る恐る顔を上げる。そこには眼鏡をかけ、心配そうに覗き込む男性の姿があった。
…体が震え始める。]
あ………ぁ………
[真っ青な顔で怯えたようにガタガタと震える。私に向けられる厚意が怖くて、他人が怖くて。口をパクパクさせる私を彼は抱きかかえた。
驚きではっと息を飲む。"嫌"とも"降ろして"とも言えず、手足には力が入らない。
どこに連れて行かれるのだろう、という不安を抱きつつも、抵抗することはできなかった。]
[少しすると私を抱えた男性がまた声を上げる。どうやら何処かについたらしい。
"ドクター"という言葉とこの部屋の設備を見て、医務室だとわかった。
────この人、いい人だ。
連れ去られるかもしれない、なんて少しでも考えた自分が恥ずかしく思えた。"ごめんなさい"と心の中で謝った。彼にはきっと伝わらないのだろう。
中から出てきたまた別の男性。彼が"ドクター"だろうか。
眼鏡をかけた男性が何やら説明をしている。それが終わると、"ドクター"は私へと向き直り、優しげな笑顔を浮かべた。(>>218)
────きっと、この人もいい人だから。
そう思うものの体の震えは収まらず、近づかれれば一歩後ずさった。
そういえば、なんと言えば良いのだろう。酔った、といえば伝わるだろうか。
そんな事を考えながら、黙って2人の会話に耳を傾けていた。(>>220,>>224,>>225)]
──── 第二エリア 医務室 ────
[2人の会話はなんのことやら、さっぱり理解ができなかった。ただ、何か良くない雰囲気だったのはわかる。警察、偽名、消えた銀器……いい印象を受けるはずがない。
────あぁ…こっそり部屋に戻ろうかな…
そう思った矢先、眼鏡をかけた男性が医務室を出て行ってしまう。(>>233)
医務室には2人だけになってしまった。
────うわぁ…どうしよう。絶対声かけられるよね……うぅ……
そう思うと余計に吐き気が強くなる。
思った通り、彼はこちらに向き直った。(>>257)声色は先程とは違う、優しげなもの。間の距離は彼の配慮だろう。
大丈夫、大丈夫と自分を落ち着かせ、話し始める。]
か……カーク……さん……
………ゎ……私は…アイリス……アイリス・サーヴェスタって言います……
さ、寒気は………さむけ……?って……その……………悪寒……でしょうか……
こわ……いですけど……あの………………頑張る…です…
酔っひゃっ………酔ったのですだ……きっと…あ…ぁあと……浮遊感がふわふわで………
[俯いて、今にも消え入りそうな声。みるみるうちに顔が真っ赤に染まっていく。
"さむけ"という言葉がわからず動揺した私は、そのあと何を言っているのかわかっていない。
────も、もうダメっ!
頭の中も目の前もぐるぐるとしている。大きく息を吸い込むと一気に言葉を吐き出した。]
ぉお薬もらったらすぐ帰るのです!!!
[医務室の外にまで響いたであろう音量で、自分自身も驚くほどはっきりと言えた。
────やれば、できる。
とてつもなく奇妙だが、私は妙な自信をつけてしまった。]
──── 医務室 ────
[カークの言葉で自分の名前が花の名であることを知る。(>>282)
わけのわからない私の話を彼は正確に理解してくれたようだ。
彼によればどうやらこれは"船酔い"というものらしい。
船に乗ったことがない私にはわかるわけもなかった。
妙な自信をつけた私はあまりにも単純だった。
彼に褒められれば(>>283)顔を上げ、少し頬を緩ませる。
薬を処方される頃にはいくらか緊張や恐怖は和らいでいた。]
私…家から出るの…10年ぶりで………
家族以外と話すの……怖くて……
その………………ありがとう。
[そう言って微笑むと医務室から出ようとする。見送ってくれる彼に、
"カークも………楽しんで……また、会おう…?"
と言って手を振った。
心なしか、吐き気も浮遊感も和らいだ気がする。まともに歩けるくらいには。]
──── 展望ラウンジ ────
[私は1人、ラウンジの真ん中で体操座りをしていた。]
逃げちゃった…
[大きな溜息をつきながら、顔を膝に埋める。
この船に乗る前の母の言葉を思い出した。
"沢山の人と話してらっしゃい。
貴女ももう閉じこもってばかりいられないのだから。
……わかったらほら!行ってらっしゃい!"
そう言って、微妙な表情を浮かべていた私の背を押してくれた。
…私だって、あのままじゃいけない事はわかっている。でも、やっぱり恐怖心を拭い切る事はできない。
ゆっくりと時間をかけて話して相手が良い人だと思えてやっと、限界まで引き上げられた警戒心が解けてくる。
────それもこれも、アレのせい。
嫌な記憶が蘇って、払拭するために勢いよく立ち上がる。手に持っていた薬の袋がカサリと音を立てた。]
[その時である。
ゾクリとした感覚が背筋を駆け上がった。
あたりを異様な空気が包む。
そう、これはまるで、あの時の────
サァッと血が下がっていくのがわかる。
それでもゆっくりと後ろを振り返った。]
あぁ…………………………
[ソレを視界にとらえた時、薬袋がパサリと音を立てて落ちる。
今にも泣きそうな顔で震えながら後ずさり、背中が壁にぶつかると力なくその場に崩れ落ちた。]
……どうして……?
[私は気づかない。目の前のソレに、あのおぞましい姿が重なっている事に。
そのまま意識を失い、そこには薬袋が白い光を放っていた。]
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