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[ローレルは親友の言う通り>>:5+136、目を伏せました。
ゆっくりと息を吐いて、吸って、繰り返します。
小さな頃、と聞いて思い出すのは、料理するお母さんの後ろをちょろちょろと歩いて回ったときのこと。暖かい空気と、ことこと鳴るお鍋と、シチューの匂い。
親友がいてくれるのにも構わず、帰りたいな、とローレルは思いました。]
…………いろ、
[空色、そう、空色は昔、ローレルのお気に入りの色でした。
いつから、着なくなってしまったのでしょう?
答えは簡単。
「あのとき」からです。
<b>それを知っているのは、私だけのはずでした。
だって、私が、ローリエの親友なんですから。</b>]
…………かわいそう。
[臥した少女に、ローリエはそっと顔を近付けました。
血液で濡れた衣にも構わず、ほおずりをするように、母親に甘えるように。あるいは逆に、子供を慈しむように。傷口に触れないよう、少女を撫で付けるのです。
なにかを言おうとしたか、口付けようとしたのか。
ローリエの唇に、少女の血が付着しました。
ローリエはそれを不意に舐め取ります。
そこで、動きは止まりました。]
[ローリエのことです、どうせ傷を負った彼女へ無闇に同情して、しかしその血の甘美さを知って、同情も味わいもできなくなったのでしょう。
そうして困惑しているうちにすべてが終わってしまう。
ローリエはそんな子供でした。
そして今だって、子供にすぎないのでしょう。
良かったですね、「親友」さん。
もう舐め終わってしまったというのに、ローリエは唇を繰り返し舐めていますよ。
いくら舐めたって貴方の血はすぐそこにあるのに、馬鹿なあの子は血を啜るより、貴方を撫でることに夢中なのですよ。
その目は貴方の紅に釘付けになっているというのに、まだあの子は人に戻れると――人として暮らせると思っているのですよ。]
[喉はからからに渇いている、とローリエは思いました。
親友を心配させてはいけない。
あまりに陳腐な考えのもと、首を横に振ります。]
……痛かった、でしょ?
[細い声で、そう言って。
手を伸ばしてきた>>+45彼女の髪を撫でやりました。]
私……私のために、怪我なんて、しなくていいよ。
私の血なら、あげる。
でも、ユーリエの血をもらっちゃ、いけないと思うんだ。
[しかし、ローリエは乾きつつある血を物欲しげに凝視していました。
これだけ拒んでおきながらも、親友が傷を負ってまで――どうせすぐに治るというのに、です――流した血を惜しむ気持ちが、浮かんでいるのです。
人間としての長らくの常識と、吸血鬼達と交流した短い濃厚な常識とが、拮抗しては揺らぎます。]
ねえ、ユーリエ。
あなたは、はじめて誰かの血を吸ったとき、幸せだったかな?
……そっか。
しあわせ、だったんだね。
[簡明な答えに、ローリエは一瞬言葉を失いました。
少女から目を逸らして、数秒、黙り込みます。]
ユーリエが血を吸った人は、今もどこかにいるんだね。
…………生きて、るんだね。
[ぎゅっと、ローリエは目を閉じました。]
……私、前にもし、血を吸っていなかったなら。
今、もし、はじめて血をもらえるとしたら。
――私を置いていかない人の血をもらいたいんだ。
[私が、置いていかなくて済むように、したいんだ。
そこまでは言わず、少女に答えました。
罪悪感とも、親愛の情ともとれる、濃密な感情が。
渇きが、喉元まで迫っていました。]
あのときは何てことなかったねって、言える、相手に。
[ぼろぼろと涙がこぼれて、ローリエは黙りました。]
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エログロありな村って入ったことがないPLのチキンっぷりが明らかに!(バトル経験がない)
いろはロワは系統が違うし、あのときもバトらなかったなあ……回復するってすごい。腕が飛んでもくっつくなら遠慮いらないね。(ローレルのバトル参考:めっ&鳥さん捕獲)
/*
おじさんを寝かせないぜ隊にとても加わりたいのですが我慢の子です。
何だかその、あれですね。
男女のみならずけしからんのがいっぱいですね。(どきどき)
[ついて来させる>>+71、という言葉は明らかに「親友」のものではないのに、ローリエは気付きません。]
ユーリエにとって問題がなくても、私には、あるんだよ……
[視線を少女から引きはがすのは、結局、自分のためでした。
少女のことを親しく、愛おしく、何でも打ち明けたくなるその気持ちに嘘はありません。
それでも、考えの相違を強く感じると、喉まで出かかった声は氷が溶けるよりもあっさりと霧散してしまいました。]
……私ね、ここに来てから、二回、見たんだ。
血を吸ったり、吸われたりしてるところ。
…………痛そうだった。
全然、幸せそうじゃなかった。
やっぱり、駄目なんだよ。
血をもらうことで、しあわせになんてなれないんだよ。
[その出来事の、どちらもが、░▓░▒▓█▓▒▓█░▓でした。]
[少女の纏う気配が変わった>>+76のに、ローリエは気付きました。
ぴくりと震えた身体は、恐らくは不安と恐怖によるものでしょう。
それなのに、騙されていることにはまだ気付かないのですから大した図太さです。愚かとも、幼子とも呼ばれ。滅べとまで言われているのに、涙を浮かべて「親友」を見つめています。]
ぼう、れい……?
私の中に、幽霊が……いるの?
おじいちゃんでも、おとうさんでもなくて……
[心の中だけで、小さく。
ローリエは私の名前を呼びました。声にするのは怖かったのでしょう。
どうせあの吸血鬼>>+78は私のことまで見通しているでしょうに。
そんなところで思い出を守ろうとする意味なんて、どこにもないでしょうに。]
[二十年ばかり側にいたけれど、
彼女に呼びかけられはしたけれど、
ローリエは私が近くにいるなんて思ってなかった。
それくらいは分かります。
ただ寂しくて、したことを受け入れられなくて、忘れたくて、そうしていただけです。
――私の存在に気付く人なんて、これまでにいなかったんですけどね。
贄の女に毒づくように、独りごちます。
食われ、貪られ、あの世へも行けず、あの子の妄念に縛られるように現世にとどめられた。
それだけの亡霊が、私です。
あの子の未練が、私なのです。]
[――あの子の未練は、私だけで良かったのに。
それこそ未練たらしく、私は思いました。
もっとも、この思念さえも、贄の女にはお見通しなのでしょうけれど。**]
…………私に執着してくれるひとが、いるんだね。
[馬鹿みたいな声が聞こえました。
耳にするだけで苛々する、甘ったるい、声。]
いつも、私は蚊帳の外でした。
なにか大事なことを決めるとき、私は大抵どこかで遊んでいなさいと言われていました。
それは、この年になっても変わりません。
未だにお母さんが、難しい顔をすることもよくあります。
――私には、なにも決められないのでしょうか?
お口にチャックして考えますが、ぽろぽろと思ったことはこぼれてしまいそうです。
いつもいつも、庇われて、目を塞がれてばかりで、ここまでやってきてしまいました。
それは愛情ではないと、わかっています。
優しくされることが愛情ではないのだと、わかっています。
訴えたいけれど、黙っていろと言われたのです。
だから、私はここに、考えを残しておこうと思いました。
[絵本作家志望なのに、絵もうまくはないんだから。
もっとも、文章だってひどいものだけど。]
もし、本当に。
私を愛してくれる存在が側にいるというのなら――
ひっぱたかれるのが一番しあわせなんじゃないかな。
私は、そう思うのです。
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