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斬!
[という声の通りに斬るほど人が好いわけでなく、剣士としても清廉でもなかった。
右腕を薙いで長剣を鞘から抜き払って――とはならず、留め金を外されフリーになった長剣は鞘から抜けることなく、斬る言葉とは裏腹に鞘に収まったまま鞘ごと動いた。
シロウの右胴を狙う軌跡ではなく、上段に振り上げ直しつつ――その振りのときに鞘を刀身からすっぽ抜かせシロウめがけて発射する目眩まし。]
そこォッ! …ってね!
[フェイントをかけた上で、半歩踏み込んで大上段から斬り下ろす――ように見せて。
真の狙いは……そのまま踏み込みの勢いに任せ、脚を伸ばして顎の先端めがけて蹴りを突き込み上げた。
振り上げて振り降ろす切り返しにかかる時間よりほんの僅かだけ速い、フェイントにフェイントを重ねた三段仕立ての奇襲――同じく刀剣を使う身でも使い方の発想が異なる……それが彼女の戦い方だった。
梁の上に彼女を知る人物がまだ居残っていれば、如何にして今のセルベシア新王を内戦から勝ち抜かせたかの物差しになるだろうか。//]
― 礼拝堂 ―
[奇襲はあくまでも奇襲、これが防がれた場合の以降の話なんて考えていない。
発想力もさることながら成功に賭けられるだけの度胸と自信があってこそ捨て身の策が採れる――とは言え、本当に蹴りが入るとはどこか信じてなかったようで。
脚が突き飛ばした感触を得ると、追撃……などはしなかった。
抜き身になった長剣を片手に、長椅子に上がると]
ふふーん。
[腕を組んで勝ち誇ってみせた。//]
― 礼拝堂 ―
…っと、手打ちにはなんないか…!
[宣言通り『一発くらわす』を達成し、勝ち誇ってみせたのはそれ以上のタネが無かったからだ。
実力差について相手がどう思っているのかは不明だが、彼女自身は自分が大きく劣っていると踏んでいたし、だからこそ奇襲に賭けたのだ。
ただ、そのあと物分かり良くさせるような誘導は通用せず、更に闘志を燃やさせる結果になったようだ――このあたり、求道的な剣士とはそりが合わない部分だろう。]
やっば…!
[左から薙いで来る軍刀(>>264)に対し、長剣を握っているのは右手――
身体をひねりながら長剣を長椅子に突き立て、かろうじて受ける……が、心細い足場で捻った身体だ、その勢いのまま、長椅子の上でくるりと回ってしまう。
バランス感覚は良いほうではあるが、床でのようにすぐ立て直せるものでもないだろう。//]
― 礼拝堂 ―
[回転する身体はシロウに背を向け、さらに余波を残す。
この隙を見過ごしてくれる相手ではないのは間違いない。
何が来るのか――背中越しで見えず、右からか左からか、刀剣なのかその他なのか――全くもってわからない]
えぇい! これで最後!
…ぅわっ!
[残された回避行動は――その回転してるまま真上に跳ぶこと。
そしてそれだけでなく、回転エネルギーを活かしたままお釣りを返すように空中で回し蹴りを放つアイデアまでは彼女らしさがあった。
……そういうつもりであったが、跳躍した際に腹を殴ろうとしてきた拳に脚が引っかかり、蹴りを出す前に空中で足払いを受けたようにバランスを崩し、長椅子から落っこちた。
頭こそ打たなかったものの着地に失敗し、シロウの眼前で床に転がった。//]
くっそ、せっかくのおたから情報(>>*11)なのにいただきに行くヒマがないとはねぇ。
こっちはなんかの宗教建築の中だけど、目の前にいるシロウってのも強くて洒落になんねー。
― 礼拝堂 ―
……ったく、仕方がないわね。
やっぱ、あんたのそういうところ気に入ってるわあたし。
…ぃだっ!
[床に転がり、もし止めとばかりに斬りかかって来たのなら何らかのアイデアが閃いて飛び退ったかもしれないが――
笑顔で優しい拳骨で小突きに来られては逃げる気も沸かず――床に投げ出したまま脚を組んで仕置を受け入れた。
想像よりは痛かったというか拳が硬かったぐらいで]
……。
…………。
………………。
んで、これからどうしよっか?
[転落の痛みが引くまではそのまま床に仰向けで転がっていたが、賊としてやれることは1つ残してやりきったために、少しヒマを持て余したように尋ねた。//]
― 礼拝堂 ―
[とりあえずお互いの目的は達成されたらしい。
それを聞けば半身を起こし、立ち上がる]
そっか、良し!
じゃあここまでだねぇ。
おいおまえたち、いったん帰るよ!
[そう声を挙げれば、彼女の視界外に現れた手下たちが鋼鉄の二輪の乗り物にまたがって列を成す。
そのうちのひとつ、四輪の台車が横付けされた一台が彼女の傍に付けられると、長椅子に突き立てた長剣を手にして飛び乗る]
シロウ、そんじゃまたね。
どっかで酒でもぶん取れたら奢ってやんよ。
……。
…………。
………………。
せーのっ!
『おぼえてろーっ!』
[去り際には賊としてどうしても言いたかったセリフを全員で言い残しながら、賊の集団は白煙を挙げて礼拝堂から出て行った。
そして彼女が長剣は拾ったが投げ飛ばした鞘を回収しなかったのはきっとわざと。**]
隻腕?
あぁ、腕一本とるって脅し文句はよくやるけど、そいつはちゃんと二本あるし取れる相手じゃないわ。
しっかし、シロウって他にいるほどよくある名前なのかしらねぇー……
[セルベシアではあんな母音過多なネーミング習慣は聞かない。
世界情勢に気を配り情報を収集できるほど国として大きくもないし余裕もない現状、シロウがどこの者なのか、それを訊く声(>>*19)がどこの者なのか見当もつかない。]
[逆に、セルベシアを憶えていない今の身ではどういうネーミングも対等の条件ではある。
彼をシロウではなくアマツキと呼ばなかったのは、セルベシアの風習のような記憶に伴う固定観念が無かったおかげかもしれない。]
……。
…………。
………………。
佳い男には違いないだろうけど、あたしの趣味とは違うな――…。
いや、顔の問題じゃなくてさ。
もうちょっと頼りなさ気なところがあって笑わし甲斐があってさ……そのくせ振り回してくれる強情さがあったりで――まぁ甘えるのも甘えられるのも好きにできる相手がいいわねぇ。
…――あたし、年下のほうが合ってンのかね。
まぁ顔は良いに越したことないんだけどさ。
[手下の中には家族を食わせるために賊になっている者もいるが、頭目としては賊稼業に恋愛なんぞ無関係な話。
聞こえてくる声(>>*25)にはさして羞恥心を感じず自分の好みを暴露]
あんたもいい女が欲しいなら、見つけたら
ここ奴隷商人とかいなさそうだから売れない品だけどさ。
[賊にとっては、移動中も大切なプロセス。
これから奪いに行くおたからに夢躍らせるのも、手にした物を実感するのもこの時間帯ならではのもの。]
さぁ次はどんなところかねぇ。
界賊様にはありとあらゆるものが大歓迎だけどねッ!
[隣で操作している手下を促し加速をつけさせ、崖から大きくジャンプ。
着地した先は――6(10x1) ]
/*
>6) 炎上する旗艦 (るがる1)
あぁ1のなのかー。(知らないけど)
てっきりエアリエルのことだとばかり。
海に飛び込むとか変な会話してるなーとは思ったんだけどw
― 炎上する旗艦 ―
おおっ!?
よーし、こっからこっち探索班!
残りは消火班!
迅速さで遅れをとるんじゃないよ!
解散!
『ヒャッハー!』
[なぜこんなところに来たのかいちいち驚いていれば出遅れる、賊は初動だけは速いのだ。
炎の勢いは強いけれど、火事場泥棒しないで帰っては賊の名折れだ。
火を消し止めるつもりは毛頭なく、おたからを探しだす時間だけ食い止めていればいい。
とは言え火消しのノウハウが充分あるわけでもなく、順調に進むわけなかった]
― 炎上する旗艦 ―
崩れそうなところは先に処置しちまうんだ。
叩くだけじゃない、釘を引っ掛けて起こすようにも動かすんだよ。
消火遅い!
もっと水回しなッ!
脱出のボートの用意どうしたの!
見当たらん? もっとちゃんと探しなッ!
[手下任せにしていたが埒が明かず陣頭指揮。
それでも全くの専門外のジャンルで知恵を発揮するのは難しい、イライラがつのり始めていた頃――]
あぁん?
あー、ちょくちょく聞こえてた声のひとりかい。
手伝いに来たってか?
……こいつらの頭が気になる?
おい、ちょっとこいつにドタマよく見せてやんな。
[現れたド平民(>>390)が全く知らぬ相手なら
炎の勢いというよりも手下のヘアスタイルのほうに驚いているようなので、ひとりを呼びつけて頭を見せつけさせる]
Most
High-minded
Canaille
略してモヒカン……意味は【最も気高き下層民たち】
社会の底辺?
いいじゃないか、それがあたしたち賊の誇りだからこの頭してるんだ。
で? こんな火事場でマイユマート界賊団にインネンつけてきて何の用だい?
手伝ってくれるならいいけど……火葬されたいって望みなら聞いてやんなくもないな。
ってもただで死なれてもつまらんし……おたから発掘の特攻役でもやってみるかい?
おたから見つけたらあたしたちに渡し、あんたはそのまま焼け死ねる――
どうだい? まさにWin-Winってやつじゃないか。
よし、奥に案内してやんな。
[一方的に決め付けると、手下にイルマの首根っこ捕まえさせて炎燃え盛る危険な現場に連れて行かせようとする。
話なんか聞いちゃいなかった]
― 炎上する旗艦 ―
工房ねぇ……じゃあ火の扱いは慣れてるよね。
そりゃおたから探しには適任だ。
そして死ぬのは釜の中――職人気質ってあたしにゃ分かんないけど立派立派。
さぁ心置きなくおっ死んで……!?
おいどこやった?
捕まえた獲物に逃げられるたぁ賊の風上に置けないねぇ
おい!
こいつ吊るしときなッ!
[ちょっと視線を外しているうちに気がつけばイルマは姿を消しており、首根っこを捕まえていた手下は逃がした責任を問われ、不幸にも縄で縛られしばらく逆さ吊りに。
急に消えちまったとかいう弁解が通用するほどこの稼業は甘くはなかった。*]
― 炎上する旗艦 ―
確かにもう限界ね……だからそのお嬢やめろって言ってんだろこの馬鹿ッ!
でボートは? やっぱり無いだぁ!?
[ひとしきり殴り倒したのち、集められた収穫品を担いで脱出を企てたが、救命ボートはもう使用されたのか残っていなかった。
状況を確認するために周囲を見渡すが、火災にともなう煙が濃い霧のように蔓延していてよく見えない。
ただ、その向こうに何か建っているのが見えて――]
あれは灯台…?
みんな! 陸まで泳ぐよッ!
ガタガタぬかすんじゃないわよ!
水の上も制しなくて何が界賊だっての!
[渋る手下をけしかけて、飛び込んだ――]
― 塔 ―
[気がつけばこの前にいて。
無我夢中で泳いできて衣服が瞬時に乾いているのに今気がついた、というのは虫が良すぎる話か。
何にしても、灯台だと思ったのはどうやらこの塔のようで――岬に建っているわけでもなく別のものかもしれない。
ただそんなことに頭を使わないのが賊というもので]
おたからの貯蔵地に困ってたのよねー。
宮殿に置いとくのもなんか物騒だし。
せっかくだからアジトとしていただいちゃいましょ。
……守備兵がいる?
ふーん、さほど多くはいなさそうね。
[見上げれば、確かに塔の灯り取りから人影が窺い知れる。
ここまで個人としか出会ってきていないが、自分たち以外の"集団"を初めて認識。]
おーし、資材を用意するよ。
いったん森へ移動ー。
[馬鹿な手下数名がバイクに乗ったまま海に飛び込んだらしい――それが運良く残っていて。
大多数が徒歩になってしまったが、とにかく集団で近くの森に入っていった。]
― 塔(の近くの森) ―
……日が暮れちまう前に陥としたいんだけど。
まだなのかい!?
ったく……あたしとしたことが。
[欲しいのは大きな木材数本。
その資格を有する大木はこの森にはある。
ただ……問題はこれを切り倒すものがまともになかった点であり、釘バットでは切れないことを失念していた。
結局、彼女の長剣がメインで使われることになり……結構な業物はのこぎり代わりに用いられることになった。
切り倒し、尖らせるように加工し――予定より時間がかかってしまった。
あとはこれを縄で縛り、その端末を2本伸ばし、左右から持って引きずれるようにした]
― 塔 ―
ほら行けぇッ!
ぶち抜いてやんなッ!
『ヒャッハー!』
[残った数台のバイクで切り倒した木材、尖った方を前にして引きずる。
目標は塔の門――勢いをつけて木材を突き込んで門を破ろうとする、簡易的な破城槌。
砂塵を巻き上げながら疾走し、塔の直前で急ブレーキ。
縄をたぐり破城槌を押し出しながら自身たちは急ターン。]
……一発じゃ無理そうね、次!
[城門ほど堅固な造りではないだろうけれど、製作に手間取ったために破城槌の本数があまり用意できなかった。
この数で足りるかどうか、ちょっと自信がなかった]
― 塔 ―
あれだけ大きな音立ててりゃ……ね。
[破城槌と門の我慢比べが続いている頃、数名を引き連れて塔の裏側へ。
騒動のおかげか守備兵も門のほうに注意力を奪われているようだ。
鉤爪でもあればいいが、手持ちにはなかったので――破城槌を縛るに使った縄の余りを用い、これを自分の長剣に結ぶ]
せーのっ!
……よし、行くよ。
[長剣を投げ込み、縄を引いてみて引っかかったのを確認すると唐の外壁を登りはじめた。
数名の手下が彼女に続く。
破城槌は陽動で、潜入が本命の作戦――。]
― 塔 ―
奇襲と乱戦で賊が負けっかぁ!
[裏から塔への侵入を果たせば均衡は大きく崩れた。
騒ぎの起こし方、混乱の拡大のさせ方、そのどさくさに紛れて門を開けるまでのノウハウ――この手際の良さは賊ならではであろうか。
立ちはだかる守備兵たちはもちろん阻害してくるわけだが、彼女は手練というには程遠いにせよ雑兵と一対一ではさすがに遅れをとらない。
やがて門を開け、外にいた主力を雪崩込ませれば勝敗は決した。
守備兵がどこの兵士なのかは見ても分からなかったし、ことが落ち着いて精査しようとした頃には消えてしまっていたので記憶の隅に引っかかることはなかった]
……最上階に行けない?
そーゆーところにおたからがあるに決まってんでしょが!
罠が怖くて墓荒らしができるか馬鹿ッ!
[――制圧後、手下に塔の探索を命じて。
外観から比べて内部はかなり複雑な構造らしいというのは分かっていたが、行き詰まった報告を聞けば彼女は不機嫌を顕にした。
曰く、螺旋階段を上がって行った奴が何故か地下から1階に上がって来たとか、開けた部屋にいた法衣をを着た小柄な人物になんとかかんとかディロマトとか言われたら入り口に戻っていたとか――あまりにバカげたことを吐く顔面を殴り倒そうかとしたけれど]
まー、日も暮れたし今日はいいわ。
とりあえず見つけた物は?
ほっほぅー……分かってるわよ、あんたたちの分はちゃんとやるから。
[殴っても仕方がない話なので、それは明日に持ち越すとして。
現状で得られた物を見てみれば……どうやらワインの貯蔵庫のようなものがあったらしい]
見たことないラベルねー……こっちか、それともこっちか、うーん……。
おし、こいつだな。
あとはあんたたちで好きにしな。
……いいじゃない別に、すぐに飲まなくたってさ。
[普段で略奪品で酒が手に入った場合、首魁である彼女が一本選び、残りを手下たちが飲むのがいつもの流れである。
たまにはプレミアが付く逸品が混ざっていることもあるのだが、美味そうな酒を売却して金銭を得るという発想は賊にはない。
というわけで手下たちは高級そうな酒をその価値のわからないまま、安い酒と同じように下卑た宴の騒ぎとともに飲んでしまう――そんな中、彼女は自分で選んだ一本の栓を開けようとしなかった]
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