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— 地下迷宮・中庭 —
[青薔薇の園に突如として黒が散り、
乱れ舞いの黒羽根を纏い、漆黒の影が現れる]
熟し切らぬ新酒の味は、新鮮で口当たりは良いが、
複雑さとまろやかさに欠けると相場が決まっている
[半ばほど綻びかけた
羅馬式に少し熱を加えて、スパイスが欲しい
……それより、
[ふ、と唇綻ばせ]
戯れ――戯れ
[くつりと笑みは深くなる]
御心を計りかね、言葉遊びに紛らわせましたが、
私は、
戯れてはおりませぬよ、梟殿
[穏やかな微笑にあって、漆黒の双眼には笑いの欠片もなく、
添うた細腰を掴み、引き寄せた。*]
― 中庭 ―
[ざらりと顎を舐める舌にほんの僅か目を細める、
吐息の掛かるほど近付いた唇に、
詠うように笑い含んだ睦言を吹き込む]
私が梟殿を愛していないなどと
どうしてお思いになるのだか
[やわらかく朱唇啄み、
感触を愉しむよに幾度も。
その間も片手は爪紅の指先を捕らえて絡め、
口元へ]
あなたの翼をもぎ取り
私の
あなたの肚を断ち割って腑分けして
内腑に口接ければ
私の愛を信じていただけましょうか
[かり、と淡く食んだ* ]
― 城・上部 ―
[――城の至る所、
隅の暗がり、明かりの届かぬ暗所にばら撒かれた鴉の"目”が、
きろりきろりと開いては瞬かぬ眼で逐一を主に伝える。
《 クァアア…… 》
《 カァ…… 》
《 カアァ…… 》
乱れ鴉の音無き啼声は、漆黒の翼の主の耳にのみ届けられ]
――おお。
ようやっと、待ち望んだ稀酒を味わえる刻が巡ってきたか。
稀少なる血華の蜜をひとつ壺にて混ぜ合わせ、
永の歳月醸されたる類稀なる蜜酒、
その封を切る栄を得たとは、
何という幸運、何という逸楽。
[些か狂躁じみて真黒の手袋に包んだ両手を揉み絞る、
舌舐めずる赤き口腔に、長大な牙が真珠の艶放って]
― 小部屋>>68 ―
[今宵、黒の猛禽の狩るは兎、
伝説の同族喰いの魔獣。
きろり、と烏羽玉の瞳が兎と愛らしい少女の居る小部屋の天井に開く、
次いで獰猛に嘴開いた猛禽の頭部が出現すると、
薄闇を糧に瞬く間に膨れ上がって黒翼を広げ、
極彩色の小柄な身体に襲いかかった。
闇色の翼が兎の肩を打った瞬間、
力強い男の腕に変わり、抱き竦めて腕の中の牢獄に囚えた。
同室の少女が驚愕の瞳でこちらを見つめるに、
揶揄の一瞥をくれ。
仰け反らせて露わとなった首筋の頸動脈に
己が色を裏切る真白の牙を深々と打ち込んだ]
― 小部屋 ―
[封印のなかった昔ならいざ知らず。
体格に勝る大鴉は小柄な体躯を押し潰し、ベッドの上に伏せさせた。
豊潤にして富貴なる、複雑なまろみを口中で転がし、
絹のごと滑らかで濃厚なそれを喉奥に滑らせる。
胃の腑にしみ渡る極上の甘露。
懸命にも娘はすぐさま逃げ出す方を選んだ。>>78
去り際に投げていった本が近くの壁に当たったが、そんなものは些事、
目もくれず、一心不乱に血蜜を飲み続けた。]
最初のひとくちを啜り終えて後も、しみじみと舌に残る甘味を味わって。
ひとごこちついてから一度牙を抜き、柔らかな耳朶を淡く食んだ]
『躾』の時間だ。
教えられたことをちきんと憶えているかな?
守れるかどうか、試験をしよう。
[情欲に可擦れて濡れた囁き、
首にグチャグチャに開いた牙痕を舐め上げた。]
[――続くは暴虐の嵐。
柔らかく敏感な粘膜ばかりを狙った牙の襲撃、
下肢を押し開き、肉を穿ち、内腑を刮げて執拗に蹂躙し、
跳ねる四肢を力づくで捩じ伏せ。]
佳いね、凄く良いよ、
やわらかくて弾力があって、靭やかで。
[獲物に伸し掛かり、嘴を突き立てる、
鴉は兎の総身を食い荒らし――文字通りの蹂躙。]
[銀の火傷で赤斑になった膚を容赦なく掴んで鉤爪食い込ませて、
尖った兎の耳をくちゅくちゅと噛む。
銀鎖を巻いた手首が逃れようと激しく軋むたび、
その身に過酷な『躾』を加えた。]
駄目。
大人しくしなさい。
[微笑みながら、深く抉った。*]
― 中庭 ―
[大鴉の牙は余の吸血鬼と比べても長大なもの、
歯列をなぞる指先を自らのそれに触れさせ]
鴉は貪欲、
故に
[密やかに笑み、秘事明かすように声潜めて告げた。]
けれど、愛おしい梟の君、今だけは
[組み掴んだ手、ぐいと後ろに引き、
懐深く誘った]
[懐中に抱いた紅の華を
暫しの間、慈しみと恍惚の眼差しで見つめ、
徐ろに朱唇に喰らいつき口を塞ぎ、
絡めた舌を貪った存分に舐めずり突付き、
自らの口中深くに導き入れて。]
お約束通りに
[ぶつり、と噛み切った]
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