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[はぁ…と悴む左手に白い息。
宿への道を一人、ゆるゆると歩く。
朧に見える道は一面真っ白に染まっていて、
――視力の定かでない少女の目には、いくらか眩しい。
右手持つのは一本の杖。
その用途は、身体を支えるというよりは目の代わりとも。
視力に頼ることができない分、耳を澄ます。
……あぁ、何処かから薪を割る音が聞こえてくる。]
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うあぁぁぁ本当にごめんなさいごめんなさい…
昨日、ちゃんと入村できていれば良かったのですが…。
そして、もう一人の見物さんがCO取り消してる、だとっ
まだ入ってないしいいかなぁとか思ってた自分を殺したい…w
事前のマメなwiki確認、大事。螢覚えた。…くすん。
[背後から、足音がしているのには気付いていた。
――杖と。そして少しばかり、左足を庇うような靴音に。]
…シモン?ふふふ、宿にね、行こうと思ってるの。
だいぶ雪が深くなってきたでしょう?
今年も、一人で越すのは不安だから…
[声をかけられ>>402、くるりと振り向き微笑む。
真っ白な視界に、インクを落としたように黒い人影が滲んだ。
彼は元々兵士だったと聞いたけれど、
纏う空気にはそこまで殺伐としたものを感じない。
こちらの視力が弱いこと、耳がいいこともすぐに察してくれたのか、
余計なことを言わないでくれる優しさを持つ人でもあった。]
[毎年冬になると、レジーナの宿で世話になっている。
長期滞在となってしまうが、客人が少なくなる時期でもあるので構わないと。
彼女の厚意に甘えて、冬服や身の回りの品はいくらかあちらに置きっぱなしだ。
だから今は必要最低限の荷物を詰めた鞄を持って、宿へと向かっているのであった。]
シモンも何処かお出かけ?
さっきまで、薪を割ってたでしょう。
音が聞こえてきたわ…たぶんこのタイミングなら、貴方かなって。
だいぶ寒くなってきたけど…
左足、大丈夫…?
[寒さが増すこの時期になると、彼の足音は微妙に変化するから。
怪我をして運び込まれてきたのは数年前のことだけど、まだ痛むのではないかと。]
[談話室のドアをそっと押し開けて、顔を覗かせる。]
こんにちは、レジーナさん、ディーター。
すみません…今年もお世話になります。
[ちょこっと頭を下げて。
申し訳なさそうに、毎年告げる来訪の挨拶。
ディーターがここに住み込むようになって3年、寂しい冬を共に過ごせる人が多いのは、素直に嬉しい。]
これは…パウンドケーキの香りでしょう?
ふふふ、急いで荷物、置いてきますね。
[レジーナの焼くケーキはいつでも絶品だから。
ちょうどいい時間に宿に着けて、内心ほくほく。]
あ、やっぱり天気、悪くなってたんだ…
ちょっと風の音が煩かったから、もしかしてって思ってたの。
シモンがここまで送ってくれたわ。
そういうことだったのね…彼に感謝しなくっちゃ。
教えてくれてありがとう、ヤコブ。
…一度部屋に行ってくるわ。また後でね。
[そう告げて、毎年借りている101号室へと向かった。]
―101号室―
[毎年借りているこの部屋は、今年も変わらず綺麗に整えてあった。
衣服や生活雑貨、ブランケットなど、毎年冬場に使うからと預けてあった品も、
きちんと定位置に収まっているという徹底振り。
視力の悪いパメラの為に、何かあった時すぐに声をかけられるようにと、
支配人室の隣部屋を空けてくれているレジーナに、深く感謝。
部屋の向かいはすぐ女湯、部屋を出て右手に真っ直ぐ進めば洗面所と、生活に極力支障がないようにと――毎年滞在しているとはいえ、やはり嬉しい――様々な配慮がなされている。]
[今年の宿は、存外に賑やからしい。
ここ3年ほど宿に滞在しているディーターと、
母親の不在時だからとやってきたヨアヒム。
泊りこそしないけれど、宿の手伝いに来ているカタリナとヤコブ。]
…ふふふ、楽しみっ
[みんなで暖炉を囲んで楽しく談笑する、
そんな温かな冬の日々を想像して、思わず独り言。
外は悪天候の様相らしいが、パメラの心は晴れやかだった。]
[両親が他界してからというもの、一人暮らしは少々心細くも感じていて。
もう長年のものとはいえ、不鮮明な視界には不安もある。
家の中にただ独り、他に物音もせずとなると、
その沈黙は酷く寂しさを呼ぶものだと、この数年はヒシヒシと感じる。
だからパメラは冬が好きだった。
ここでの暮らしは、毎日賑やかで楽しい。
ずっとここにいたいと思ったこともあったけれど――さすがにもう子どもではないのだからと、それをレジーナに告げるのは憚られて。
…冬場の長期滞在と、ただでさえ甘えているのだから。]
[持ち込んだ鞄から、こっそりとあるものを取り出す。
――毛糸と、編み針。
編んでいるのは単純な網目模様のマフラーだ。
毎年の宿への滞在。
ずっと、レジーナに何かお礼がしたいとは考えていて。
目が悪いから、宿の手伝いは殆どできない。
最初の冬、掃除や料理に手を出して余計な仕事を増やしてしまったことを思い出す。
「見えない」自分に、できることなんてあるのだろうか。
ずっとそう思ってきたけれど、こういう形で感謝を表すこともできるのだと。
――とある人にこっそり、編み方を習ったりして。
これが完成するまでは、レジーナには内緒の約束だ。]
[編みかけのマフラーをこっそり棚の中にしまって、談話室へ戻ることにする。
…ちょっとばかり、急ぎ足。
先程レジーナは、肩を叩きながら「ケーキは逃げやしない」と言ってくれたけれども。
――私が到着する前に誰かの胃袋に収まっちゃう可能性だって、十分あるでしょう?]
…ケーキ♪ケーキ♪
[年頃の乙女が色気より食い気とは、なんと嘆かわしい!
でもそれほど、レジーナの焼くケーキが好きなのだ。]
まだ残ってる?…良かったぁ
[満面の笑みで、談話室に戻る。
人の気配の無い―つまり空いている―席を見つけて、腰を下ろす。
その時、部屋には誰がいたか。
暖かい部屋で皆とひとしきり談笑したことだろう。]
[談話室に、ヤコブの姿はあっただろうか。
先程、部屋に向かう時――
彼がぽつりと、呟いたこと。
――人の顔がわからなくて、怖くないのかと。
…どういうことだろう?
幼い頃から殆ど、人の表情というものを視認できずに生きてきた。
そんなパメラにとって、人の表情とはずっと、『声』で測るものだったから。
彼の言葉は、純粋に疑問に思った。]
[ヤコブを見かければ、周囲に聞こえないようそっと声をかける。]
ねぇ、ヤコブ。
さっき…ごめんなさい、ちょっと聞こえてしまったのだけど。
…えぇっと、あのね。
人の顔、わからなくても、私は怖くないよ。
もうずっと、みんなの顔とか見えなくて、それはそれで、不安ではあるのだけど。
でもね、『声』があるから。
みんなの声が、誰なのか、どこにいるのか、
…それから、何を想っているのか。私に伝えてくれるの。
だから、怖くないわ。
私、みんなの声を聞いてるのが好き。
見えなくても全然、怖くないのよ?
[そう、微笑んでみせた。]
[外から、カタリナの歌声が聴こえてきて。
――それはとても、懐かしい記憶を呼び覚ます。
パメラにとって、『音』はとても大切なものだから。
想い出はいつだって、様々な音や香りで彩られている。
…たしか、4年ほど前のこと。
あぁ、豊かなヴァイオリンの音色が、今でも聴こえてくるよう。
村のあちこちで、新緑の村の噂を耳にする。
たしかあの演奏者も、あそこから来ていたのではなかったか…?]
[ここ最近、頻繁に耳にするようになった「噂」。
村の何処だったか、あまり聞き慣れない声が、
ぼそぼそと呟くように悪態をついていた。
「――人狼だ。くそ、奴らのせいで新緑の村は…」
随分と気配の希薄な人だったけれど。
声の聞こえてくる方に顔を向けたところで見えるはずもないので、印象に残るのは必然的にその言葉だった。
…時々いるのだ、そういう、気配の薄い人というのが。]
無事だと、いいなぁ…
[思わず声に出してしまって、はたと気付く。
もしかしたら顔も、難しい表情をしていたかもしれない。
取り繕うように、]
あ、天気が悪くなる前に、
無事に、カタリナ達が来た、かなー?
[会話する声から、来客は複数人のようだった。
出迎えようと、ゆっくり席を立つ。
止められるようなら、その場に再び腰を下ろすだろうけど。]**
―ヤコブとの会話―
[伸ばした手はどうやら顔の一部を掠めて肩へと触れたようだ。>>552
華奢な自分とは異なり、彼の肩はどこか頼もしさを感じさせる。
ほろほろと零れ落ちてくる愚痴のような言葉には、ゆるく首を振った。
せめて自分との会話では、そんな気を張らずに済むように。]
私の声?…ふふふ、ありがとう。
嬉しいな。声、聞いてくれる人がいるの。
[自分にとって大切な『声』。
でも「見える人」にはそこまで重要でもないのだと思っていた。
――ヤコブの見ている世界を、パメラは知らない。
自分の声が好きだと褒められて>>553、なんだかくすぐったかった。]
[お待たせ!とパウンドケーキを運んでくるレジーナ。
その味を想像するだけでほっぺが落ちそう!待ちきれない!
しかし彼女の声は、いつもの明るさを伴っていたけれども、
どこか揺れるような、そんな響きを帯びていて。
無理にでも大きな声で呼びかけた時のような。
彼女らしくないと、少し不安に思う。誰か、気付くだろうか…]
えぇ、聞こえるわ?
…宿のお客様?
ごめんなさい…全然気付かなくて、私…
[聲が聞こえるのかと、たしかにその男性は、そう言った。
どういうことだろうか?
暫くして、聴こえてくるのは懐かしいヴァイオリンの音色。
そう、それは4年前に聴いたものと、全く同じ音――]
――新緑の村の、音楽家さん?
[思いの外大きな声が出た。
この声を誰か聞いていたものはいただろうか?]
―しばらくのち―
[楽しいひとときは瞬く間に過ぎ。
皆思い思いに、部屋に、家へと帰って行く。
101号室に戻ってしばらく。
ふと、大事なものがないことに気付く。
いつも肌身離さず持っている、両親の形見だ。]
どうしよう…探さなきゃ…!
[心配をかけないように、こっそり裏口から、そとへ――]
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