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16人目、挙動不審な乗客 ベネディクト が参加しました。
挙動不審な乗客 ベネディクトは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
― メインサロン展望ラウンジ横・レストラン内 ―
[ボックス席に独りで座って居る眼鏡の男は、ドロイドが給仕したブラックコーヒーを未だ一口も口にせず、かれこれ30分近くカップの縁を凝視し続けていた。
席の近くを横切れば、膝に置いた両拳が激しく震えて居るのが分かるだろう。額には冷や汗が滲み、唇を固く噛み締めていた男は、やがて震える唇でこう呟く。]
……殺される…… 軍の狗《ガルー》達に……
― 回想:紅華軍本星基地内某所 ―
[ベネディクト・チャン准尉が、所属する紅華軍の特級機密事項を手に入れてしまったのは、全くの偶然であった。然しながらその内容は、士官学校を卒業して半年も満たない若者が抱いた軍への信頼を失墜させる、また彼の真直な正義感を奮い立たせるには充分なものであった。]
『ケルベロス計画』……ガルー種の兵器転用だって……?
そんな事……決して実現させる訳にはいかない……!
[チャン家は代々連邦議会議員をはじめ、政府の要職を輩出してきた名家である。その家の三男坊として産まれた彼は、50年前のチグリス会議に出席していた祖父より、ガルー種の恐ろしさを事あるごとに聞かされていた。
正義感に衝き動かされるままに、機密データをコピーしありったけの有休を注ぎ込んで本星から逃げ出したのが3日前の事であった。]
[――この機密データを、連邦政府に暴露する。それが彼の企みであった。
連邦議員の父や、政府官僚、又は警察の要職である兄達を頼れば事は早く進んだ事だろう。しかし家族に、栄誉あるチャン家に迷惑をかける訳にはいかない。
ありったけの情報をかき集めた結果、新進気鋭の社会派ジャーナリストとコンタクトを取る事に成功した。
内戦の取材のためにアースガルドに滞在している彼の元へデータを届ける。それが今の彼の使命となっていた。*]
― 現在:レストラン内 ―
[ジャーナリストとコンタクトを取って一息ついた頃、(ちょうど本星から脱出して24時間程経過した辺りか)
無意識に抑え込んでいた不安が急激に膨らんで爆発した。
――そろそろ軍部は僕の動きに気付いたかもしれない。
――軍部は僕に追手を放ったに違いない。
――追手はすぐそこまで来ているかもしれない。
――何時どこで僕を殺そうとしているか分からない。
それこそガルーが。
軍に手懐けられたガルーが、僕を殺しに来るに違いない!
子供の時分から、思い込みの激しさは人一倍であったが、今や半ば被害妄想に近い精神状態である。
そんな訳で、心落ち着かせようと折角注文した(尚且つ、ドロイドが調理した安心安全な)コーヒーも
(……もしかすると毒が入れられているかもしれない。)
と妄想して、口を着けられない状態な訳である。]
[彼の席の横の通路を、幾人が通り過ぎたか、彼には気付く由もない。
冷えたコーヒーと対峙して早40分、いい加減喉が乾いてきた。
意を決して震える手を伸ばし、カップをカチャカチャ言わせて口元まで持っていき、震える黒い水面を吸い込もうとした時]
ブホッ、ゴホッゴホッ!
["大丈夫ですか?>>247"という声に驚きむせこんでしまう。]
すっ、すみません!すみません…!
テーブル…!すみません…!!
[気が動転して着ているシャツが茶色に濡れたのにも気が付かず、女性に平謝りしてコーヒーまみれのテーブルを拭いている。
どう見ても大丈夫ではない。]
いえ、あの、具合が悪いわけでないんですが、その…
[彼女の落ち着いた声で徐々に平静を取り戻す。
しかし不安の原因は、誰にも打ち明けるわけには行かない。]
…すこし心配事があって、気が気でなくて……
[
(第一、目の前の彼女が追手《敵》じゃない保証があるか?)
頭に思惑が過ぎるが、今はぎこちない微笑みを返すので精一杯*]
― 同・レストラン内 ―
[ベネディクト准尉が座るボックス席の、通路を挟んだ向かい側。
赤いジャケットを着た男が、丁度ベネディクトの対角線上、彼の顔がよく見える席に座って、黙々と食事をしている。
ドロイドに運ばせた紫色に茹で上がった宇宙ロブスターを、慣れた手つきでバリバリと殻を剥き、次々と口に頬張る。
男の首に巻かれた黒いチョーカーに、一瞬赤い基板のような模様が浮かぶ。男はロブスターを剥いた手指をお絞りで拭くと、チョーカーに親指を押し当てる。
ナノマシンによる無線回線である。]
――こちらディースリー、目標を確認。
ここまで他者との接触なし。
…コーヒー相手にブルブル震えてやがるぜ。ビビリかよ。
"ご苦労様です、中尉。そのまま監視を続けて下さい。"
中尉、ね。50年で2階級しか昇進しないとは、亀よりも遅い
"コールドスリープ期間を除けば、貴殿の実質覚醒期間は50年中7年程度。そこそこ妥当な昇進スピードでは?そもそも、貴殿の素性を鑑みれば、異例の昇進となります"
分ぁってるっつの。冗談だよ。
[ころころ声色を替えながら、冗談交じりの通信を続ける]
しっかし名家の坊っちゃんが機密パクって脱走とはよぅ。休み返上で追跡任務とか、しょっぱすぎるぜ。
さしずめ思春期特有の青臭い自己満足さ。
紅華は軍需産業が主幹の傭兵国家だ。これくらいの事で安っぽい正義感振りかざしてるようじゃ、どのみち長くはなかったよ。
"ケルベロス計画は私達が50年かけて育ててきたプロジェクトです。正式リリースにはまだ早いのは、貴方がたもお分かりのことと存じ上げます"
こういう船内でデータの受け渡しが、我々しては一番回避したい所ではある。船内は密室であるがゆえに、下手に騒ぎを起こせないからね。
何よりここは『シルバーメリー』だ。僕らはこの船では何も出来ない。
"アースガルド空港にギムレー基地の部隊を配備させました。
入国審査にて捕縛後、本星に送還、処分いたします。
万が一対象が抵抗及び逃走を図った場合、状況により中尉にはレベルBからAの行動許可を与えられます"
ヒヒッ、嬉しいねエ。
まあ空港に着いた時点で袋の鼠だろうけど。僕らの胃袋に入るのがもうすぐなのかちょっと後かの違いだけさ。
あっ、…!
[ドロイドがテーブルを掃除し始め、上体をテーブルから離したら、彼女の手が濡れ布巾で茶色くなった胸周りを拭ってくれる。
小さい頃母親に良く同じことをしてもらったのを思い出し、気恥ずかしいやら嬉しいやら。]
あの…、すいません。
[再びの謝罪の言葉には温かみが増し、青ざめていた顔には、いつの間にか赤みが差していた。
言われるままに席を移る>>278]
ええ、ここ数日ストレスが…
…メディカルチェック、ですか?
[医務室>>279、という言葉に、また良からぬ想像が働く。
薬と偽って毒を盛られやしないかとか、手術と称して切り刻まれやしないかとか…
けれど、]
…そう仰るなら、ちょっと寄ってみようかな…
[不思議と彼女の言うことなら、きっと大丈夫だろうと思えた。
差し出されたメニュー>>280も、今度は毒の心配もなく注文できそうだ。
その後、胸焼けしそうなパフェを食べきったら、医務室とやらに行ってみよう。彼女が付き添ってくれるなら一緒に、そうでなければ名前を聞いて別れるだろう*]
[通信を保留にして、カフェオレを一口飲んでホッと息をつく。]
しかし…
[言いかけてふと外に映る銀河の煌めきを眺める]
……50年経って、ようやくここで食事が出来たよ。
――本当は、二人で――
[ブホぁという声>>256に、再び視線をベネディクトの方に戻し、通信を再開する]
こちらディースリー、対象に動きあり。
コーヒーでむせて添乗員と思しき女性に介助されてます、どうぞ。
畜生結構美人じゃねぇか、胸拭いて貰って赤くなってっぞ分かりやすい
機密に関する会話はなされていない模様。
添乗員と共に席を移動した。こちらの目視の範囲であるので、ここから監視を続けます。
"了解しました、引き続き動きがあれば教えて下さい"
― 少し後、廊下で ―
[医務室に行く途中、大名行列と思しき集団とすれ違った]
あれは…ベルガマスコ議員?
[連邦議会議員の父から、何度かその名を聞いた事がある。
もしかすると一度くらいは付き合いで実家に来たこともあっただろうか?
彼に直接機密を渡せば…?]
べ…!
[呼びかけようとして、やめた。
仰々しいSPたちに気後れしたのと、父の言葉を思い出したからだ。
曰く、『彼には"義"というものがない、"正しき義"を旨とする我がチャン家とは決して相容れない男だ』と…*]
― 医務室への道中 ―
[さて、医務室に向かうと言ったものの…肝心の用向きが決まっていなかった。
機密の内容を下手に口外する事は出来ない。相手が敵だった場合はもちろん、寧ろ敵でなかった場合に巻き込んでしまう。
薬を貰いに来ましたと言おうか、何の薬を?
いっその事素直に彼女に紹介されて来ました、と言えば良いような気がする。]
prrrrr…!
[通信機がけたたましく鳴り響き、(同行者が入れば配慮しつつ)慌てて着信に出る。相手はコンタクトを取っていたジャーナリストのチャーリーだ]
お世話になります…!
はい、はい…もうそろそろ亜空間に入る頃です。
はい、データの方は肌身離さず。
…はい!必ず、必ず公表しましょう。
こんなこと、許しておけません…!
ありがとうございます!
では、空港で。
[電話を切った後、彼の表情はわずかに自信を取り戻したようだった。]
――大丈夫。僕は間違ってない。
間違ってなんか無いんだ…
[果たして医務室に着いたなら、メディックはどんなふうに迎えてくれるだろうか?
(もふもふ好きとかちょっとユニークな人とか、そういう前情報は全く聞いて無いのだが)
だがとにかく、彼女が信頼の置ける先生だと言うのだから、きっと悪い人ではないのだろう**]
― 医務室 ―
すみません、医務室はこちら、で……?
[医務室のドアを開けて眼に飛び込んで来たのは、ひたすらに毛玉をもふもふする銀髪の男]
…… あ〜……
[白衣を着用している事からも、恐らく彼が医師であろう。
チャーリーとの通話で自信を取り戻し、僅かに警戒心が緩くなっていたとは言え。
その光景は
(あ〜大丈夫だわ〜、この人が敵とか追手とか、そう言うの絶対無いわー)
そう確信するに至るには充分だった*]
― 医務室 ―
[随分取り乱した様子の医師の姿>>397に、段々おかしみすら覚え始めて]
はあ、メディカルケア。
[(ケア対象は自分…?)と口から溢れるところであった。やがて医師はわざとらしく咳払いをすると、平静を取り戻していかにも医者らしい穏やかな口調で"問診"がはじまった]
え?なんでそれを?
はい、あの…ナネッテさん、に信頼出来る医師が居ると聞いて。
[なぜレストランにいたのが分かったのかと首を傾げながら、彼の問診に答えていると、呼び鈴がなり、医師は慌ただしく出ていってしまった。>>425]
[医師が出ていってる間、医務室の中をぼんやり眺める。
机に目をやると、先程医師が確認していた端末に、乗客プロフィールが表示されたままになっていた。]
(少しくらい触っても、バレないかな…?)
[恐る恐る端末に触れようとした時、ストレッチャーと赤髪の女性と共に医師が帰ってきた]
!!ベルガマスコ議員!?どうして…!
[医務室の隅でオロオロしているうちに、議員は医療用コクーンに収容され、然るべき処置を施されていった。]
副艦長さん、ですか…?
お勤めご苦労様です…
[名乗られたので名乗り返す。男女平等社会とは言え、女性の副艦長とは未だ珍しい。
(やはり…?)
という言葉に、再び首をかしげる。
自分が思っている以上に"視られている"という事に、イマイチぴんと来ていないのだった]
[治療の邪魔をしてはいけないと、ベルガマスコが目覚める前に医務室を後にした。
医師と議員との『ガルー』に関する会話は、聞くこともなく…**]
― 医務室前廊下・尾行する中尉 ―
[医務室近くの廊下の壁の凹みに身を隠す男が一人。]
――こちらディースリー。
対象が医務室から出てきた。乗務員との接触が何度か見られたが、機密に関する話題は口にしてないようだ。
途中で対象の接触相手との通信が入った。通信相手の特定には至らず。
"了解です。引き続き監視を続けてください"
一つ気になってんだが、いいか?今回のこの便、警備が厳重過ぎる。
それは僕も感じていた。平時の倍以上の警備だ。お陰で尾行がしづらくて困る。
"ギムレー基地より情報が入っています。
その船に積載物リストに、地球発アースガルド行きの特急機密クラスのコンテナが積まれている模様"
軍絡みか。そういうのはもうちょっと早く教えてくれよぉ。
[外周通路から外を見れば、警護艇の群れが物々しい隊列を組んで船の傍を付かず離れずで飛んでいるのが見える。]
さて、何も起こらなければ良いのだけど。
(――この船で面倒が起こるのは、もう懲り懲りだ。)
[医務室を出て船内をあてもなく歩き回る。
頭の中は先程感じた"違和感"について延々考えていた。]
(なぜドクターも副艦長も、僕がレストランにいた事を知っていた…?初めて乗った船で、初めて会う人だのに。
"二人"もだ。二人もが僕の事を知っている。
なぜだ?
僕の事を視られている?
僕は――この船に監視されている!?)
[勿論そんなことはあり得ない。
初対面の人物二人もに声をかけられたのは、自分の挙動>>223が余りにもアレであったためであるし。
ドクターが彼の事を知っていたのは、たまたまドクターもレストランにいたからで、副艦長の場合は部下からそういう報告が上がってきて然りというものである。
しかし、そういう方向には思考がたどり着かない。
生来の思い込みの激しさは、常に最悪の想定へと考えを捻じ曲げる]
[ハッと顔を上げて周囲を見回す。]
(監視カメラ…!至る所に設置されている。
こいつが僕の動きをつぶさに監視している!)
隠れないと…カメラの…監視のない場所へ!
[ダッシュで第二エリア――自室に駆け出した]
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