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― 307号室 ―
[目を覚ましてまず一番目に思ったのは、
ああ、私は死んだのか…。
という感想だった。
あれだけの銃弾の雨の中ですら生き延びたというのに、
こんなにも簡単に凍死してしまうとはなんとも皮肉なことだろうか]
だけど、だけどな……。
私は自分がやったことに、何一つ後悔していないんだ。
だから、お前のせいじゃないんだよペーター。
[自分が死ねばよかったなどと言う、子供の姿をした青年へ女は笑いかける]
謝らなくてもいい。
私は好きに生きた。
だからペーターも、お前が思うままに生きればいい。
[届かぬとわかっていて、告げる言葉。
触れられるぬ手でその額を弾いて、女は悲しげに笑う]
[そして少年がさったあと。
人目を偲ぶようにやってきた、古馴染の情けない顔に。
くしゃりと苦い笑みが浮かぶ]
………やっと来たか。
この馬鹿野郎が。
[いつものように殴りつけてやりたかったけれど、
触れられぬ手はすり抜けてしまうから。
突き出すこともできないまま、力なく、手が落ちる]
[そして伝えられる告白には、薄く笑い]
……知って、いたさ。
[彼が人狼であることなど、とうに気付いていた。
どうしてって?
ローゼンハイムの部屋は自分の部屋の正面で、
そして彼の部屋は隣だったのだ。
夜半に部屋を抜け出す音に、気づかないわけがなかった。
だけどそれを皆の前で言えなかったのは]
……だから言っただろう、リーザ。
私は強くないんだよ。
[少女と交わしたいつかの会話を思い出し、天を仰いだ]
[無事戻れたなら、彼に告発を促すつもりだった。
その代わりに見逃すから、逃げろと。
伝えるつもりで。
ああ、だけど――]
詭弁だな。
私はただ、お前を殺したくなかったんだ。
[どれだけ自分の手を血で汚したとしても。
彼だけはきっと無理だった]
[悲しい遠吠えが聞こえる。
獣となった古馴染みの葬送の咆哮に、
女はいつもと変わらぬ笑みを浮かべて]
……無事生き残れたら、さ。
いい嫁さん貰えよ。
お前に人間を襲わせたりなんかしない、
いい嫁さんをさ。
[闇の中に掻き消える獣へと告げて。
女の意識は闇に溶けた*]
[再び人の姿をとって女が現れたのは、
聖者達が互の主張を言い争う現場だった。
同じように見守るアルビンの肩へ、
女はとん、と手を乗せて]
……同感だね。
ヤコブがアルビンを弑したというのならばそれは許されるべきことじゃない。
だが、ヤコブは人狼ではないな。
あいつが人狼なら、殴り殺したりなんてまだるっこしいことはせずに、
お前の喉笛に食らいついているだろうさ。
[人の手でアルビンを殺したというのなら、
ヤコブは人狼ではないだろう。
ならば、人であるヤコブが誰のために、なぜアルビンを手にかけたのか]
……ヨアヒムか。
[互いをかばい合う青年たちを、つまらなそうに女は見る。
そしてディーターの方へちらりと視線を向けて]
お前が守りたいといった絆は、
狂人一人見捨てることのできない、つまらないものだったのか。
[嘲笑うように、くつくつ嗤う]
情というのものは、お互い厄介だなあ。
[くつくつと響く、嗤う声。
もはや見守るしか術のない女は、まるで観劇でもするかのように。
ソファの空いた席に座り、楽しげな笑みを浮かべたままゆっくりと膝を組んだ*]
[涙をこぼすクララへ、女は変わらぬ笑みを浮かべる]
何を泣いているんだい、クララ。
彼らは選択しただけだよ。
誰の命を選ぶのか、そして捨てるのかをね。
[組んだ足の先がリズムを取るように、わずかに跳ねる。
くつくつと、楽しげな響きのまま。
すい、と視線をディーターの方へと向けて]
君はあいつを。
ディーターを人間だと言っていたね。
その意味がなんであるのか、わかっているんだろう。
狂人の娘。
[再び眼光がクララへと戻る]
君も選んだはずだ。
捨てる命を。
そんな君が彼らから捨てる命だと選ばれたからと言って、
悲しむ必要はあるまい。
彼らは君と同じことをしただけさ。
[違うかい?と。
女はくつくつと笑う声を響かせた]
人の肉はうまかったか?
その手でお前を選んだ幼馴染を殺すのは、楽しかったか?
と、尋ねたい。
苦しいか?なんて優しい言葉はかけないよ。
愚かだな。
[自らも人狼だと告解する古馴染みの男に、女は嗤うのをやめると瞳を伏せた。
突然の告解は、彼が自棄になったのか、その他に理由があるのか。女にはわからない。
だけど、ただ一つ分かるのは]
狂人の娘は、無駄死だったということだな。
[せめて彼だけでも人のままであれば。
彼女は神の信徒として荼毘にふすこともできただろうに]
[だけどクララを見るその瞳に同情の色は映らない。
目をそらす元相棒と違い、
そういう点において女はひどく酷薄だった]
…………。
[ただただ、つまらなそうに。
この滑稽な観劇を見つめるのだった]
[悲しい笑い声が聞こえる中、
女は無言でこの滑稽な自白劇を見つめ続けている。
ただ、シモンの手から。
乾いた音が聞こえた時だけは、瞳を伏せて]
…………すまない。
[汚れ役を押し付けてしまった彼へ。謝罪の言葉をこぼした]
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