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[アレクシスは溜め息を葡萄酒とともに飲み込みつつも。
懐から包み紙を取り出す。一見するとそれは丁度キャンディーのようなそれ。金箔を施された、やたらと豪華なキャンディーを、政治家のふくよかな手に渡す。]
また、北の国民は信仰心は高いのは言うまでもありませんが。
南の国民はやはりその恩恵を感じにくいというのもあります。
彼等に威光を示すというのも偶には必要です。
………ところでおひとつキャンディーでもいかがですか?
この葡萄酒とよく合うんですよ。
[政治家はその包み紙を確かめるように握ると、厭らしい笑みを湛え、頷いた。それで良い。貴様たちは、2:8:2の『要らぬ方の』2だ。そのまま甘い蜜を啜って、王府の上っ面を整えておくだけで良いのだ。]
『しかしだね、万が一、巫女姫に何かあっては………』
[まだ足りぬのか。アレクシスはさらにキャンディーを彼に乗せると。些か細い目に冷たい炎を宿して、反し諭すような優しい口調で。
物分りの悪い生徒に説明するかのような丁寧な口調で、論じる。]
万が一、巫女姫が、道を誤った学徒に弑されたとします。
それは此方にとっても手痛い損失ですが、代わりに彼らは義を失います。希望の象徴たる巫女姫を、一時の激情で除けてしまうなどという野蛮な行為の果てであれば――…
幾ら甘い夢を語ったところで、平和を愛する国民の皆様が、反乱勢に素直についてゆくとは思えません。
―――……これは巫女姫自身のご意志で有る事も、付け足しておきましょう。貴女は巫女姫のお言葉に、逆らう気ですか?
[巫女姫よ。安心して行って下さいませ。王府への説明は、私がしますゆえ。*]
― その時・ベルサリス学館にて ―
――――……ッ、はぁ、
[ユレ家は学者の家系であり、多くの知識をナミュールに与えていった。
その意味では名門の家系ではあるが、然しあくまで庶民の血。
そのアレクシスが、ベルサリス学館で学び、そして教職に就くのは、必然とも言えるものであった。
決して金持ちではなかったので、王府の学館に入れるはずもなく、誰でも門戸を開いている此処が、最もユレの性分にあっていたのだ。]
頭が重い……
[アレクシスはこめかみを抑え、学館の廊下に依り掛かった。
気分を晴らそうと、ポケットから飴玉を取りだし、舐めてみる。
けれどもなかなか、気分が晴れる事はなく、細い息を吐いた。
―――…… 耳鳴りがする。
しかも何だか、誰かに呼ばれているような。
頭の奥で、凛とした声が響く。一体なんだこれは。
アレクシスは至極真面目で、そのユレの教えに従って今の今まで生きていた。庶民である事に特段何の不満もなかったし、きっとこれからも平々凡々で生きているのだろうと。そんな風に、ぼんやりと考えていた。]
――――……ッ!
[それが、]
ッ、あ、貴女は……?
[あの時の事をどう評すれば良いか分からない。
自分よりもずっと若い、麗人。
少女にしか見えないその人に、ただ、アレクシスは震えた。
一目惚れにも近い感情とも言えるし、蛇に睨まれた蛙のような威圧感とも言える。
ただ一目見て分かった―――――……
この御方が、私を導く神だと。*]
ああ、せっかくですから櫓は残しておきましょう。
春の花も飾られて、嗚呼、なんとも美しいではありませんか。
[春の祭りが終わり、櫓も崩されようとしていたところにアレクシスは立っていた。
―――……良いではないですか。
花が咲けば、蝶は蜜を吸いに寄りますし。
蜂もその匂いに釣られてきます。
そしてその櫓は目立つ上に、花の
影の軍師 アレクシスは、栞を挟んだ。
ああ、せっかくですから櫓は残しておきましょう。
春の花も飾られて、嗚呼、なんとも美しいではありませんか。
[春の祭りが終わり、櫓も崩されようとしていたところにアレクシスは立っていた。
―――……良いではないですか。
花が咲けば、蝶は蜜を吸いに寄りますし。
蜂もその匂いに釣られてきます。
そしてその櫓は目立つ上に、大きな花の櫓は、兵を隠す影になります。
或いは、混乱した民衆の、良い目印になりますから。
[こうしていないとアレクシスは不安に押し潰されそうになるのも、また事実であった。
南の故郷では今まさに
影の軍師 アレクシスは、栞を挟んだ。
― 首都ブラバンド:王府軍基地 ―
ああ、せっかくですから櫓は残しておきましょう。
春の花も飾られて、嗚呼、なんとも美しいではありませんか。
[春の祭りが終わり、櫓も崩されようとしていたところにアレクシスは立っていた。]
―――……良いではないですか。
花が咲けば、蝶は蜜を吸いに寄りますし。
蜂もその匂いに釣られてきます。
そしてその櫓は目立つ上に、大きな花の櫓は、兵を隠す影になります。
或いは、混乱した民衆の、良い目印になりますから。
[こうしていないとアレクシスは不安に押し潰されそうになるのも、また事実であった。南の故郷では、今まさに敬愛せし巫女姫が先陣切って戦っているというのに。自分は呑気に城下町見物ときたものだ。否、そういう訳ではないのだけれども。
政治家どものご機嫌取りを図りつつ、民衆の士気も落とさず。
且つ、来るべき戦いに備えようだなんて。アレクシスと言えど、幾ら身体があっても足りない。しかも、]
『本当に戦争なんて起きるんですかねぇ……』
[北の民の一部はまだ内戦に疑心暗鬼ときたものだ。全く、呑気なものである。つい先日、我等の巫女姫が南下したというのに。
南の民が見れば、鼻で笑うに違いない。これでは負ける。
或いは、まだ何処か信じたくないのかもしれない。
悠久の時を護りし巫女姫がその座を喪う日を。
いや、
――――させるものか。
アレクシスは穏やかな口調のまま、然し、有無を言わせぬような強い口調で、]
備えあれば憂いなし。
最悪、首都がブラバンドからシュビドに変わる日もあるかもしれませんよ。
[半ば脅し文句のようなそれを告げ。防戦に備える。
然し、それだけでは足りぬ。まだ――――……]
『アレクシス様!大変です!』
[兵の一人が慌てた様子でアレクシスに耳打ちする。
刹那、アレクシスの細い目が、大きく見開き、]
何ッ!―――――……ステファン・オレイソンが…
[>>1:458 優秀な将を喪った事を知る。思わず声が震える。
32の若さにして、親征軍一隊の将を勤める有能な男であった。
年が近いこともあって、何度か彼と飲み交わしたこともあったが……]
………ブラバンドの周りの城壁を高くしておきなさい。
あと、櫓を増強しておくこと。
全ての櫓に見張りの兵を置く必要はございません。
一部はフェイクに使います。
[立ち止まってはいられない。
戦友の一人の死を嘆いているようでは。
大切な人は―――――守れない。*]
-少し前:シュビド南下中>>=7-
…………ッ、いえ。
ただの庶民である私が、こうして巫女姫の声を聴く事が出来る。
それだけで………
[少し高鳴る胸を静めつつ、深呼吸をしながら、]
本当に、
――――……本当に幸せなのですよ。
[確かな想いを、敬愛せし人に伝える。
良くも悪くも杓子定規で、どこか冷徹で、そして計算高い軍師アレクシス。
目的の為なら、どんな汚い事にも手を染めてきた。
けれども、この緑の世界では、少しだけ昔出会った時のような。
教師であり、庶民であり、あのシュビドの青空の煌めきを携えたような。
そんな一青年、アレクシス・ユレに戻ってしまうことも。
――――……時には、許して欲しい。]
[そして巫女姫、否、シルキー・の回答は百点満点だった。
ただのお飾りの人形姫では無い事は、その聡明な答えからもよく解る。
>>=11>>=12>>=13 しかし、その答えは、]
………間違っては、いません。
間違ってはおりません。……完璧な答えです。
―――――……然し、
[唇を舐め、答えをおずおずと告げる。
嗚呼、本当は私は貴女に人形姫であって欲しいのだ。
聡明な貴女も勿論素晴らしい。さすが姫王の器を持つ御方。
然しその聡明さゆえに―――――……]
私は―――……
私は―――……
貴女に行って欲しくは……無かった。
[なんて、なんて、儚く見えるのだろう。*]
―首都ブラバンド港:オプティモを目指して―
――――……では私はそろそろ行きます。
[コバルトブルーの海が朝日を受けて煌めき。
ナミュールの港に、爽やかな潮風を運ぶ。
影のような黒い髪が風に靡き、それを手で抑えながら、見送る兵に一言告げる。]
大体の手筈はお伝えした通りです。
あとは私が居なくても大丈夫でしょう。
……その位、死守しなさい。
いずれ巫女姫も戻られるでしょうから、その時は手厚く迎えて差し上げなさい。
長旅と、激しい戦いで体力を消耗しておられる。
人目に付かない地下通路などを使って、城にお連れしなさい。
そして、何かあれば、その箱を開けなさい。
……もうお分かりですよね?
[そう言って、伝令蜂を入れた小箱を手渡し。
アレクシスは小隊と共に、船へと乗る。]
[目指すはオプティモ近郊。クレメンス領。
巫女姫のお言葉によると、シュビドの決起集会はただの学徒の集まりではなかったそうだ。
マチュザレム共和国大使カナン・リリや、その副官シメオン・オリオールも目撃されており、どうやら一枚噛んでいる可能性が高いとのこと。
このまま野放しにしておくと、最悪、彼等が同盟を組む恐れもある。
ただの学徒の集まりだけならば、か弱い蝿の集まりにしか過ぎない。
しかし武器をもたせ、外部の知識を備えた日には――――……
蝿は虻と化す。
また、領主であるラウド・レイ・クレメンスが学徒側に着けば、オプティモ一体が敵地へと変わる。
そうなれば、距離的にもブラバンドへ一気に攻めやすくなり、王府側にとって非常に不利な状況となる。
そうなる前に、手を、打たなければ。]
………――――出航!
[汽笛を鳴らしながら、ゆっくりと船は出航する。
ウミネコが切なそうな声を上げて、見送る。*]
巫女姫――――……
至極、聡明でいらっしゃる。
その判断も間違いでは無いでしょう。
[>>=18 潮風を受けながら、アレクシスは声に問う。
もし反応があれば、おおよそブラバンドで自分が為したこと。
そしてそれらを終え、指示通りオプティモに向かっている事を告げただろう。]
然し、巫女姫――――……
[躊躇うように視線は彷徨う。
然し、届けられるのは声だけ。
視界は相変わらずの青で。
愛しい金糸は当然見とめられるはずもなく。]
貴女は、ブラバンドへお戻りなさい。
シュビドの動乱?
貴女一人で抑えられる訳ないでしょう。
貴女がどのような御立場なのか
―――――……もう少し、自覚をお持ちなさい。
[冷たく、然しどこか狂信的なまでの言葉で、物申した。]
――――……ふぅ、船旅とは懐かしいですね。
[少年時代の頃を思いだし、ふと、アレクシスは微笑んだ。
海洋学の第一人者であった父に乗せられて、よくシュビドの海を探検したものだ。海なんかより自分は虫が居る森や、山、沼の方が好きだったのだけれども。ウミネコの声を聴き、イルカが跳ねるのを見やれば、やはり心躍ったものだ。
もう久しく、シュビドには戻っていない。今頃、巫女姫は、学館の皆と争っているのだろうか。
かつては同じ門戸で学んだ者同士だというのに―――――]
皮肉なものですねぇ。……ねぇ、マーティン?
[>>1:451 手紙を読みながら、そんな風に同僚に問いかける。
彼がブラバンドに来るのは果たしていつになるのだろう。
その時には、文の通り、酒を飲みながら昔を語る事が出来るのか。
それとも、敵同士の、腹の探り合いになっているのか。]
っふふ、彼がブラバンドに来る前に話がつくと良いですねぇ。
[風で乱れる髪を掻き上げ、水平線の向こうを眺める。*]
― その時・ベルサリス学館にて ―
――――……ッ、あの、
[>>503 流れる金糸。ナミュールの夜の海を思わせるような深い宵藍色。傍で心配そうに見下ろす姿。声は然し、心に凛と直接響くような。
何故このような力をアレクシスが持ってしまったのかは、分からない。
アレクシスはただの一般庶民であり、そのような気高き血は持ち合わせていない。
強いて言うならば、信仰心の薄い南方の民衆よりかは、多少、信仰心を強く持っていただけだ。然しそれも、ユレの教えの一つであるから、真面目な男はそれに従っただけだ。]
貴女は―――……確か、キール君ですね。
貴女は―――……一体、何者なのですか?
[口ではそのように一般的な文句を告げつつも。心の裡で問いかける別の言葉。
言葉を紡げば紡ぐほど、心が共鳴していくような不思議な感覚がして。僅か、15歳ほどの少女に、ここまでの敬愛と畏怖を抱くだなんて。アレクシスは指先が震える思いだった。]
あの………何処か、お話でもしませんか?
[アレクシス・ユレが巫女姫の信奉者となるのは、ある意味、運命の悪戯とも言えるし。必然だったのかもしれない。
果たしてこの出会いが、アレクシスにとって、そして巫女姫にとって幸せなものだったかは―――これから紡ぐ、
未来。*]
-オプティモ港-
では皆様。船内で指示した通りに動いて下さいませ。
第一部隊は市街地に向かって下さい。
第二部隊は郊外に。
第三部隊は主要道路を囲むような形で。
特に事を荒げる必要はございません。
王府軍が居る事を、見せつけるだけで良いのです。
[それは一つは、巫女姫の指示通り。
ラウド・レイ・クレメンスと交渉し、オプティモの地の利を此方に持って来させようと言うもの。
ひいては、そのクレメンスがカナン・リリや、クロード・ジェフロイと結びつくのを防ぐため。]
ああでも、逆らってくるようであれば構いません。
遠慮なく切りなさい。
………見せしめになるように、ね?
[そしてもう一つは、シュビドに拠っている学徒の意識を此方に寄せ、巫女姫を安全に王都に帰すため。
巫女姫は、まさに敵陣のなかにひとりで突っ込んだようなもの。
彼女を守る多くの優秀な兵は確かに揃っているが、それ以上に優秀な人材が向こうには揃っている。
緑の世界で幾らか、その事を咎めてはみたが―――……
果たして、あの姫がどこまで自分の言う事を聞いてくれたかは分からない。
あの様子だと、再びシュビドの鎮圧に向かいそうな勢いだ。
そんな最前線にクイーンを据えてどうする。ならば、帰ってくるように仕向けるだけだ。
そしてもう一つは――…… ]
では私は――……
先ずは、領主様へご挨拶にでも向かいましょうか。
[オプティモ港に着くや否や、手早く散っていく王府軍の兵を見届けたあと。まさに影のような所作で一人、アレクシスは路地に入り、そして民衆へと混じる。
もう一つは――……
派手な王府軍を煙幕に、アレクシス・ユレが動きやすくするため。
存在感の無いアレクシス。
庶民生まれだからこそ、為せるような。薄羽の影。*]
>>#1
・演出が村の主旨にそぐわない(非熱血など)PC
私な気がする……
選ばれたら、大人しく死のう
すいません、シルキー……
-オプティモ:領主邸宅-
――――……はぁッ?!
[閑静な街並みに響く、素っ頓狂な声。
わざわざ堂々と、茶菓子を手土産にしてまで玄関から礼儀正しく"お邪魔"しようとしていたのに。
玄関から現れた小間使いによると、]
………温泉、ですか。
[流石の軍師もただ、ただ、呆れるばかりであった。
然し、ほんの少し羨ましいだなんて、
――――思ってなんか、
きっと、
多分、
メイビー、
……な、無い。**]
影の軍師 アレクシスは、栞を挟んだ。
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