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[酒に酔っている間は嫌な事を忘れる事が出来るとアルビンは言った。だがそれは一時的なものだともアルビンは知っている。
飲んだ後は嫌なことも忘れ良い気持になれるが、酔いが醒めれれば現実に戻される。結局、何も解決はしていない。]
ただ、酒の量には気をつけろよ。モリス爺みたいにボケちまうぞ。
ディーターまで「人狼が〜」って訳の分からない事をぶつぶつ言い出したら溜らないからな。
[先程のモリス爺との会話を思い出しながら、そう言った>>154。
だが、ディーターが人狼の事をどう思っているか知らないが、コイツがアル中になっても訳の分からない事をぶつぶつと呟くよりは酒を求めて暴れ出す方がお似合いだろう。
それにアル中になるなと忠告してもコイツは手遅れかもしれない、とか失礼極まりない事を考えている。こちらは勘づかれたかもしれない。]
[もう少し負けろという言葉にアルビンは仕方ないといった様子で差し出された一枚の札と酒を交換する>>155。
実を言えば、酒の仕入額を考えれば始めに出された額でも充分足りた。むしろ、ディーターはお釣りを請求しても良かったぐらいだ。
アルビンは受け取った札に内心しめしめ。]
ったく、何だかんだでディーターはお得意様だからだな。
ん?分けてくれるなら後で貰おうかな。
[けれどもディーターに渡した酒が美味だというのには嘘はなかった。それこそディーターが言う様に酔っぱらいがその味が分かる程に。
きっと、ディーターにも満足して貰えるだろう。アルビンは自分の商品に自信を持っている。分けて貰えると言うならば喜んでと。]
ああ、こちらこそ今後ともご贔屓に。
[最後にアルビンは気持ち良く買い物が出来たお客の気分を損なわない笑顔を浮かべた。]
― 村中、宿屋に向う道中にて ―
[ディーターと別れてアルビンは宿屋へ向う。
ディーターに言った通り、教会には後で向うつもりだった。まだ村に住んでいた頃、アルビンは足繁く教会に通っていた。傍目からは熱心なクリスチャンに見えたかもしれない。
らしくもなく、神父となったジムゾンの事は神父様と呼んで敬っていただろうか。
殆ど欠かさず日曜日には教会に行ってミサを聞いていた。
小さな教会、だけども神聖な空気を纏うその場所で静かに幼いアルビンは祈っていたものだ。]
[宿屋へ向う道中、アルビンは白い息を吐きながら呟いた。]
人狼、か。
生き物をそのまま凍りつかせるほどの氷に閉ざされた時、
銀色に輝く月に照らされた「人狼」がその血に目覚める、だったけな――。
[其れは村の図書館で見つけた本に書かれていた。初めてその文章を見つけた時に確かめる様に印刷された活字を指でなぞり言葉を紡いだ。
その時、クララが傍に居たのだったけ。彼女がどんな表情をしてアルビンの言葉を聞いたか思い出せなかった。]
― パン屋の近く ―
[さて、宿屋を出たアルビンは今度はパン屋へと向った。其処には幼馴染みのオットーが居る筈だ。
モーリッツに売り損ねた香辛料をオットーに売りつけようと企んでいた。
だが、店の前には”只今配達中。少々お待ちください。”と看板が置いてある。]
何だ、今はオットーは出掛けちまってるのか。
アイツはとろくさいからな、何時戻ってくるやら。
[おっとりとした性格をしている長馴染みをそう嘆いてはどうしたものかと首を捻った。*]
[そういえば、去年もアルビンは碌でもない品をオットーに売りつけようとしていた。
殆どの商品に自信を持っているアルビンではあるが専門の書物になると判断は難しくなる。旅の途中で手に入れた、とある町のパン屋が生み出した幻のパンのレシピ集もその一つだった。他にも多くの土地についての知識やスケッチが納められた本も扱っていたが内容の方はさっぱりだった。
眉唾ものの書物達はアルビンの手にも余っていた。故郷の村に帰る時期になってオットーにレシピ集を売りつける事を思い付く。
オットーはお人好しだ。少なくともアルビンは長馴染みのことをそう思っている。これが幻のレシピ集だと言えば本を買ってくれるだろう。
そしてアルビンの読みは当たり、字が余りにも汚くて読むにも苦労しそうなレシピ集をオットーはレシピ集を買ってくれた>>208。]
[今年も香辛料をオットーに売ってやろうと企んでいたのに。
出鼻を挫かれたアルビンは頬を掻いた。
もしも、オットーがパン屋に居たらアルビンはこう声を掛けただろう。去年、アルビンが店に来てオットー一人しか居ないのを見て言った台詞と同様に、「親父さんは居ないのか。お前一人でも大丈夫なのか。」
冗談半分、残りの半分は本気でそう思って。幼い頃のアルビンはおっとりしたオットーのことをのろまだとからかった事もあっただろう。
幼馴染みとは言え、アルビンが村を出てからは交流は随分と減った。アルビンの中ではオットーは子供のままなのだ。
今でもパンを焼いたと聞けば、焦がすんじゃないか果ては火事を起こすんじゃないかと揶揄う。
今朝オットーがウェルシュケーキを焦がした事は知らないが、彼の父親が店を任せる程に信用しているという事もアルビンは気付かないでいる。]
[腹が減ったと聞けばくすりと笑って、]
ふふ、腹が減ったんですか。
調度、教会でスープが配られていると聞きましたがね。
後は宿屋に行けば料理を出してくれるでしょう。
[既に旅人がどちらにも寄っている事を知らずにそう言った。
ふと何処かで羊の声を聞いた気がした。]
おや、羊の声が聴こえますね。
カタリナの羊が逃げ出したのかな。
[此処の出身かと問われればゆるりと頷いて>>238、
まだ相手の名前を知らない事に気が気が付けば名前を尋ねる。]
故郷と呼べますか。貴方にも――、失礼お名前をうかがっても?
貴方も故郷に帰られたりはするんですか。
ええ、暫くの間は居ると思いますよ。その間は宿に泊まります。
[どうして淋しいだなんて、という問いかけの様なニコラスの言葉には、
寒空の下、灰色の空と同じ瞳で何処か遠くを見つめながら。]
……どうしてでしょうね。
確かに此処の村人は良い人ばかりで、その皆が助け合って生きているこの村も良い村なんでしょう。
けれどもね、ニコラスさん。冬になると雪に覆われる光景を見ると溜らなく淋しいと思ってしまうんです。
もしかしたら、親しくしていてもある事をきっかけに崩れさってしまう儚さを私が知っているからかも知れませんね。
[アルビンは其処まで話して一度口を噤む。初対面の相手に話しが過ぎたと恥じらう様に顔を背けた。]
なんて、私は初対面の貴方に過ぎた事を。
そうですね、この村は良い村です。けれども娯楽は無いですから些か退屈してしまうかもしれません。
ああ、教会には行かれたんですか。スープにはパンが良く合いますからね。
ニコラスさんも今の鳴き声を聞きましたか。多分、この村の羊飼いの娘が逃がしたんだと思いますよ。
無事に捕まえられたら良いんだが――、おや。
[ニコラスの話し>>243に相槌を打ちながら話しを続けていると道の向こうからオットーが帰って来るのが見えた>>237。]
おや、パン屋が帰ってきたみたいですよ。
よぉ、オットー。久しぶりだな!
あー、さっきな。で、宿に荷物が置いて此処へ来た訳だが相変わらずオットーはのろまだな。
そう、今年はやけに雪が多いって言うのにお前が配達が遅いから身体が冷えちまったよ。
[会って早々、大して待ってない癖に文句をつけた>>252。
レシピ本の話しを持ち出されれば、早速と言わんばかりに香辛料をオットーの前に差し出して。]
そうそう。今度は珍しい香辛料を見つけたんだ。
パンの新作にひとつどうだ。スパイシーなパンを作れば客も喜んでくれるぞ。
いやあ、久しぶりに俺もオットーのパンを食べたいな。
[嫌がらない様なら親し気な態度でオットーの肩に手を置いて香辛料を勧める。アルビンはこういう時ばかり調子が良い奴だった。]
― 少し前 ―
[教えられた名前に何処かで聞いた覚えのある名前だと思ったんだったか>>272。
続いてアルビンは自分の名前をニコラスに告げただろう。故郷には帰えるのかと問えば思いかげず首を振られる。失礼、と短い謝罪を口にした。
アルビンの視線は遠くにありニコラスの異変に気付ける筈も無かった>>274。]
本当に変わったお方だ。
退屈したら何をなさるおつもりなんです?
折角同じ宿を借りるんだ、酒の酌や話し相手位はしますよ?
[ニコラスの冗談めいた言葉にアルビンも笑って返事をした。
羊飼いの娘を心配するのには「まあ、大丈夫ですよ。」とおざなりな返事をしたが返ってこの村の日常だと言う事が伝わって相手を安心させただろうか。
そうしてお喋りに興じている内にパン屋の主人が帰ってきた。]
[弱々しい否定の言葉にアルビンは「嘘付け」と一言でぴしゃりと撥ね除ける>>278。
オットーが自分の嫌みを不服に感じている事にもアルビンは気付いていない。いや、気付いているのだが気にしていないと言う方が正しいだろう。そういう無神経な所は嫌われていたかもしれないが、どうだろう。
親し気に肩に肩に手を回せば自然と距離も近づく。目の前にある好奇心で目を輝かせるオットーの顔にアルビンはこくこくと頷いて、]
ああ、此処らじゃ見かけない香辛料だよ。
それを使ってのスパイシーなパンなんて滅多に食べれない品物になるに違いない。
だろう、試したいよなあ。
[そう、相変わらず調子の良い返事をしながらも、内心こいつは大丈夫だろうかと心配していた。]
[パンを焼いたオットーを茶化すとボケた返事ばかり>>237。昨年の香辛料といい、今回も早々に買う気になっているオットーは矢張りお人好しだ。
けれども同情しながらもアルビンは香辛料にしては高い値段をふっかけた。オットーはどうしただろう。]
そういえば、去年のレシピ本のパンは作ったのか?
えっ、仲が良い。……まあ、そう、ですね。
[オットーに質問しつつ、飛んで来た言葉に思わず反応してしまう。少しだけ間を置いてアルビンは頷いた。そうですね、と答えたオットー>>293より歯切れ悪く聞こえただろうか。
おっとりしたオットーをのろまだと呼び、彼がドジを踏んだのを見れば馬鹿にした子供時代。幼馴染みに間違いないが仲が良いのかと訊かれると分からなかった。
オットーが扉を開けようとすればアルビンは彼の肩から手を離した>293。]
[すんなり承諾してしまうオットー>>304にお人好しというか馬鹿だなという感想をアルビンは抱く。扉を開けようと後ろを向けたオットーに呆れた眼差しを向けた。中に入る様に促そうとこちらを向いたオットーにまた笑顔を貼付けた。
けれども、頬を赤らめるオットーの答えに冷めた表情になってしまう>>305。]
まだ作ってないのかよ。それじゃあ宝の持ち腐れだぜ?
早く作れよな。お前が作ったの食いたいって言っただろ。
……やっぱり、お前は馬鹿だな。
[あのレシピが本物の宝かどうかアルビンは知らないけれども。昔と変わらず罵倒した。
けれども馬鹿にした態度を取りつつもオットーがレシピ本のパンを作ったら食べたいという発言はアルビンの本心だった。]
[まるで逃げる様にアルビンの横をすり抜けて店内へ入って行くリーザ>>316。過去に自分は何かしてしまっただろうかと肩を竦めて、やれやれ。最後にアルビンは店の中へ入って扉を閉めただろう。]
今日のおすすめは、アプフェルブロートと白ぱん、玉ねぎぱんか。
それじゃあ、それ一つずつで良いや。……で、香辛料の代金頂戴。
[オットーがニコラスにお勧めしていたパンを思い出し其れ等を注文する。金を支払う前に香辛料の代金を要求した。早々と買い物を終えたリーザには「気を付けてなー」と声を掛けて。
お互いの代金を支払い終えれば自分もまた店を出て行こうとする。]
― 街中 ―
[パン屋を出て行く前に見たオットーの怪し気な笑みにぎゃふんと言わされるのは別な意味じゃないだろうなと訝しんだ眼差しをアルビンは隠さなかった>>349。
行儀悪くも買ったパンを頬張りながら街中をぶらぶらと歩き出す。美味しい。もぐもぐ。
所でアルビンがついついをからかってしまうのは、オットーを突けば彼が面白い反応を示すからかもしれなかった。むきになってしまう所と言い、他愛無い嘘にもころりと騙されるオットーは純粋でアルビンの目には眩しく映ったんだったか。決して羨ましいとは思わないけれども。
そんな風に散歩をしていれば、もう一人幼馴染みの姿を遠目に見つけた。ヨアヒムだ。]
[面倒見は良いが少しばかしお調子者の青年。現在のヨアヒムは色々な人々の手伝いをして暮らしいた筈だった。
何と言うか、アルビンはヨアヒムの事が苦手だった。どうしてか分からないが。
同年代の子供だから一昔は一緒に遊んだり悪さをした事もあっただろう。もう一人の幼馴染みとはまた別の険のある態度を取っただろうか。
パンに齧じりついたままヨアヒムを眺める。彼の方は気付いたかどうか。]
[腕が上がったと思わないかと訊ねられて>>386アルビンはまだ手に持っていたままの齧りかけのパンを一口で平らげてしまう。もぐもぐと数回だけ咀嚼して直ぐに飲み込んでしまう。]
まあ、下手なりにな。美味くなったんじゃねえの?
[本当は美味しいと思っている癖に本音は言わなかった。素直ではない。長い付き合いだ、アルビンの馬下手な嘘なんてヨアヒムは見抜いてしまうかもしれなかった。
ヨアヒムの返答には村人達の手伝いをし彼等に慕われている姿を思い浮かべた。
ヨアヒムに何故この時期に戻って来たのか質問されればアルビンの心臓がどきりと跳ねた。]
別に。偶然、帰る時期がこの時期になるだけだよ。
こんな寒々しい村なんて俺だってお断りだよ。
[もう何年もこの時期に帰ってきているのに。こんなに偶然が重なる訳がない。馬鹿馬鹿しい誤摩化しだった。
冬になれば雪に包まれるこの村なんて大嫌いだと。だから、この村を出て行ったのだと。
けれども毎年律儀に帰ってくるアルビンを知っているヨアヒムにはさぞ滑稽に映っただろう。]
[腕が上がったと思わないかと訊ねられて>>386アルビンはまだ手に持っていたままの齧りかけのパンを一口で平らげてしまう。もぐもぐと数回だけ咀嚼して直ぐに飲み込んだ。]
まあ、下手なりにな。美味くなったんじゃねえの?
[本当は美味しいと思っている癖に本音は言わなかった。素直ではない。長い付き合いだ、アルビンの馬下手な嘘なんてヨアヒムは見抜いてしまうかもしれなかった。
ヨアヒムの返答には村人達の手伝いをし彼等に慕われている姿を思い浮かべた。
ヨアヒムに何故この時期に戻って来たのか質問されればアルビンの心臓がどきりと跳ねた。]
別に。偶然、帰る時期がこの時期になるだけだよ。
こんな寒々しい村なんて俺だってお断りだよ。
[もう何年もこの時期に帰ってきているのに。こんなに偶然が重なる訳がない。馬鹿馬鹿しい誤摩化しだった。
冬になれば雪に包まれるこの村なんて大嫌いだと。だから、この村を出て行ったのだと。
けれども毎年律儀に帰ってくるアルビンはさぞ滑稽に映っただろう。]
[ヨアヒムのからかいの言葉にはチッと舌を打った。>>391]
お前こそ若い癖にこの村で満足する気か?
人や物の流通の少ない。冬になれば雪に覆われて他には何にもありはしない。
俺は、此処の冬景色を見ていると……、どうしようもない気持ちになるよ。
[辺境な村だからこそヨアヒムが感謝している事は知らない。アルビンはこの村について嘆く。共感して貰えたか、どうか。
それから、アルビンがヨアヒムとパメラの元の関係を知っていれば「彼女が居るからか?」とでも訊ねただろう。
幾らかヨアヒムと会話を交わした後にアルビンは立ち上がる。]
それじゃあな。俺は用事があるから行くぞ。
[特に用事なんてありはしないのに。小さく手を挙げて背中を向けてしまった。**]
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灰は四月馬鹿にすると決めていたのに。
アルビン、可愛い。
狼希望はヨアヒム、ジムゾンではないかと思っている。
寝ます。
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