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― 食堂 ―
[ああ、また増えた。
今度は6体、お鍋やフライパンやソーサーなんてものまでが、ガチャガチャと音立てる。]
キリがない、なぁ……。
んじゃ、ま、練習がてら……うまく、やれるかなっ!
[足元、赤の熱線が円を描き、ぱーっと少年を照らす。
体温の上昇とともに産生される脳内麻薬が、痛みを和らげ、身体能力も向上する。]
……遅いっ!
[向かってくる泡立て器が到達するよりも早く、少年は刃で貫き、そのままの勢いで駆け、前方のゴムベラを切り捨てる。
横から殴ろうとやってきたフライパンは咄嗟にメスの柄の方で殴り倒し。]
[やがて残るのは、20個のジェムと無音。]
あ……。
[軽くよろけて、テーブルにもたれ掛かる。
魔力の消費は軽めとは言え、その代わりとして肉体に無理させるような魔法。
拾い集めたジェムの半分を肩口押し当て、大きく息を吐いた。]
ん、大丈夫……これなら、十分使える……。
……っ?!
[人の気配、気づくのに遅れ。
身構えるより早く扉は開かれ。
それでもメスの刃先を扉開ける人物へと構えるも、声の主がセルウィンとわかれば、戦意がないことを示すべくひとまず刃先を下げた。]
……やぁ、ついさっきぶり?
もしかして仇討ち、かな?
生憎僕は、君と戦う気はないんだけど。
[彼が人狼じゃないなら、戦う必要などないのだから。
とは言え、戦いを挑まれたら致し方なしだが。]
[露骨な不機嫌顔>>49も仕方ない。
自分だって今は、笑みを浮かべる気分でも無し。]
損害、か……。
[それだけなんだろうか?
目の前の彼と、ユーリエやコンラートとの関係は。
それなら少し寂しいと思いながら。
今は事を構える気はなさそうだと判断して、メスを手の中からかき消して。
シェイの脱落を問われれば1つうなづいた。]
ま、そういうこと……。
かと言って、このままでは合格できないし、
仕方ないから、一人であの二人とやり合おうかな、ってね。
[真顔のまま、軽く肩を竦めれば、残る人狼がカスパルだと知らされる。]
……そっち、か。
[では、ローズマリーは、正体を知らぬままでカスパルとともに行動しているのか。
それとも、目の前のセルウィン同様、知ってなお、か。
考えながらも、セルウィンの言葉に耳を傾けておれば。
沈んだ声音に告げられるのは思いがけない共闘の申し出。]
……なるほど、ね。
[罠かも、と一瞬よぎるも。
相変わらず不機嫌そうなその表情、逆に信じられると判断する。
騙す気ならきっと、もっと愛想よくした方が確実だろうと。]
……乗った。
僕も、負けるわけにいかないんで、ね。
― 食堂 ―
意外だった?
[凝視されて思わず目をぱちくり。
少年からは、セルウィンから申し出があったことは意外ではあったけども。]
……まー、このまま1vs2よりも、君と利害が一致してると信じて2vs2のが勝率が高いだろうしね。
きっと、あいざ……カスパルさんのが、僕よりずっと強いだろう。
最初の試練の時だって……さ。
きっちりアレに一撃食らわせてたしさ。
[セルウィンの口元が僅かに緩むのを見れば、少年の口元も同じように緩む。]
こちらこそ、ね。
[会澤の行そうな場所を考えようとした頃、場が変わる。
気だるい暑さは失せ、透明な水晶とすっかり様変わりした学校を月の光がきらりら飾る。]
……だね。
ありがたいな……。
[先よりずっと、身体が軽くなった様。
もっとと望むように月に両手を差し伸べながら、セルウィンの提案に耳を傾ける。]
確かに、ね。
狭い場所だとその……僕の魔法は下手したら巻き添えにしちゃうかも、だし、さ。
んじゃ……いこっか。
[月へと差し伸べてた手には、いつしかメスが握られて。
少年は食堂を出て玄関を目指す。*]
/*
うーむ、コンラートの願いとか、セルウィンの願いとか、聞き出したいと思ったが。
こいつではセルウィンは本当の願い話さんだろうしなぁ。
コンラートのなら、話してもらえたりするんだろうか?
そういやさ……。
[グラウンドの道すがら、セルウィンへと問いかける。]
……や、話したくないなら、話さなくていいんだけどさ。
セルウィンくんって、ユーリエさんとも仲良くしてたんだよね?
コンラートさんと、ユーリエさんの願い、君は知ってるの?
[僅かに目を細め、息を吐く。]
―――僕が、折ってしまった願い、聞いておきたいな、って。
私の手持ちの魔法は現在四種類。
ただし、その内のひとつは戦闘には向きません。
これは存在しないものと考えて下さい。
ひとつめは、いつも使っていた水の人形を操る魔法です。
私は操り人形の
ふたつめは『万華鏡の
属性は金。こちらは魔法を反射する光の花ですね。
あくまで反撃にしか働かない魔法ですが、もしかしたらあなたのレーザーを任意の場所に跳ね返せるかもしれません。
[跳弾のように、レーザーを曲げて何かを狙う事も可能かもしれない、という話だ。
必要な時が来るかはさておき、可能性として告げておく]
最後のみっつめは、まだ使ったことがないのでどの程度の威力が出るかわかりません。
ただ、これだけ言っておきます。
――彼岸花が咲いたら、その近くから退避して下さい。
[それを使う時は、周りへの配慮は切り捨てる、と言う事だ]
[そらされた視線、聞かないほうが良かったかと一瞬後悔するも、セルウィンが口を開く。
最初は、それが作られた声音とは少年には気付けなかったけども。
ユーリエとの関わりに次いで、コンラートの事に話題が移った時、声音が揺れた気がした。]
……そ、か。
ん、ごめん。そうだね、その方が、いっか。
願いって、きっと痛みでもあるだろうから。
―――ありがと。
[言いながら、けども少年はホッとする。
きっと、先に聞いた大損害という言葉、それだけじゃないんだ、と。
一歩遅れ、セルウィンの背を見つめながら、少年もグラウンドへと。]
[ヴァイオリンという楽器は、知ってはいても、実際に触れたことはおろか、間近で見たこともなかった。
きっと繊細な楽器なのだろうか、と手入れする様子に思いながら、少年は月光浴をしながら校舎を見ておれば声が掛かる。]
そだね。
合格するためにも。
[ひそり、声は密かに。]
水の人形……、光の華……
[最初に見たのは、騎士と淑女のマリオネット。
そして、会澤宅で見たのは、竜の形をしていたか。
生憎、先の戦いではコンラートに向き合うのに精一杯で光の華がどんなものかまでは見れなかったけども。]
反射、かぁ……。
[ふむ、と考え込んでおれば、告げられる三つめの魔法。]
……了解。
どんなのか期待しとく。
[威力の強さ故、制御しづらいのだろうか?
ともあれ、すなおに警告は受け入れる。]
水の人形……、光の華……
[最初に見たのは、騎士と淑女のマリオネット。
そして、会澤宅で見たのは、竜の形をしていたか。
生憎、先の戦いではコンラートに向き合うのに精一杯で光の華がどんなものかまでは見れなかったけども。]
反射、かぁ……。
[ふむ、と考え込んでおれば、告げられる三つめの魔法。]
……了解。
どんなのか期待しとく。
[威力の強さ故、制御しづらいのだろうか?
ともあれ、すなおに警告は受け入れる。]
こちらは、二つだけ、だね。
僕のも一つは戦闘に使う類じゃないや。
一つは、最初あった時に使ってたアレね。
反射を狙うならこっち。
基本直線だし、角度さえ間違えなければ面白い事が出来そうかも?
もう一つは……うん、簡単に言うならドーピング?
ただ、終わったあとの疲労がキツいんで多分連発するのは無理かな。
[無理はする気はない。勝ち残って合格する事こそが目的なのだから。
それでも、いざとなれば躊躇わずに使うだろうけども。]
[ひそり、話しておれば、校舎から飛び降りる二つの影。]
ああ……来たみたい、だね。
[迎え撃つべくセルウィンの前に一歩進み。
まずは軽く小手調べ、射程内に入ればふたりの足元狙う。]
レーザー照射《レーザー・ラディエーション》!
[ひそり、話しておれば、校舎から飛び降りる二つの影。]
ああ……来たね。
[セルウィンの前、一歩進む。
どうせあちらもまず突っ込んでくるのは会澤だろう。
ならば、前を引き受けるのは自分だと。]
ん……僕の、願い?
聞きそびれた白鳥の歌を、ちゃんと聞きたくてね。
[白鳥の歌、それがなにかまでは説明する余裕はないけども。]
後悔がないように、か……。
了解。
―――なら、僕は、僕の願いの為だけに。
[かけられる声。
後ろのセルウィンとは対照的に、少年は顔を強ばらせながら、メスを両手で中段に構える。]
いえ。
どうせ授業のチャイムもここでは鳴らない。
時間の概念なんて、あってないようなモノでしょうし。
待たされてはいませんけど、でも……
そろそろ、終わらせましょうか?
[突き刺されたチェーンソー、一瞥してから視線は会澤へ。]
……それは、ごめんですね。
ここで落ちたら……なんもかんも無意味ですから。
[ぶつかる視線。呑まれそうだけども。
なんでもないことだと言い聞かせながら呼吸を鎮め。
響くヴァイオリンの音色に合わせ、少年もゆらりゆらりと会澤へと向けた刃先揺らして間合いを図れば。
影が舞う。
とっさに少年は影へと刃先を振るうも。
会澤自身は動かない。]
[かち合うチェーンソーとメス。
その瞬間、視界に鮮やかな赤を見た。]
―――!?
[飛び退ろうとするもわずか遅れ、半身、炎に曝された。]
っ……ぅ。
[炎の中、影は踊って消えた。
喉が焼かれたような感覚。
それでも、武器を引き抜くのを見れば即座に刃先を会澤に向ける。]
レーザー、照射《レーザー・ラディエーション》!
[唱えた魔法が当たるのを確かめるよりも早く。
少年はメスを頭上でくるり。]
高周波浸透《ハイパー・サーミア》!
[薄れる痛み。
そのまま駆けて、会澤の首元めがけ刃を水平に薙ごうと。]
中学二年生 イェンスは、国語科教員 カスパル を投票先に選びました。
[さて、どこまでもつか。
一種の賭け。
躱されるなら、反撃されるよりも先に更に刃を振るおうと、幾度も幾度も繰り返す。
先の、会澤宅での戦闘時よりも、その刃は幾分疾く、重い。]
[感じる熱。けども。
脳内麻薬がその痛みを少年にまで届けはしないけども。
手が震える。
動きは落ちる。
それでも、少年は、自分の願いを貫くべく、メスをカスパルめがけて突き出した。]
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