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― とある学校の図書館 ―
[男が転移した先は、ずらりと本棚の並ぶ部屋だった。
男にはその背表紙の文字を読む事はできないが、棚にぎっしりと詰まった本は、その殆どが大なり小なり魔力を宿していた。
辺りが薄暗いのは、本を日に曝さないためだろうか。
少し離れたところに、人の気配がする。
男は足音をさせないように、ゆっくりと移動した。]
[静寂の本棚の森を抜けた先は、机の並んだ広場だった。
そこでは、若い少年少女が腰掛けて、本を読んだり、広げた紙に何かを書き付けたりしていた。
――図書館、という言葉が遅ればせながら浮かんだ。
男は小さく唸った。
この場所は、転移の現場そのものではない。
だが、関係のある場所ではある。
人か、物か、場所か。
此処に連なるものの因果が、水脈となって残っている。]
[――否。
痕跡だけではない。
すぐ近くで、転移門の開く気配がする。]
誘いか、罠か……
我が女神の祈りが通じたと思いたいが。
[穏やかならぬ事態を想定しつつも、剣呑な笑みを浮かべてしまうのは、どうも性らしい。]
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