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― 回想:一年の秋 ―
[それまで地道に練習を重ねていたが、皆の前で演奏するのは文化祭が初めてだった。
真理が見に来てくれることになった影響もあるのか、ステージに上る前は、カッコ悪いところ見せたくないという思いで、随分と緊張していたが。
いざ演奏が始まってみると、メンバーと息を合わせて一緒に音楽を作り上げてゆく楽しさと、身近に感じるオーディエンスの熱狂が緊張など忘れるくらいサイコーに気持ちよくて、
一段と練習に身が入るようになった]
素直に、かっこいいなんて……。
………………そんなこと。
言えるわけないのに……ばか。
[暫し硬直の後。]
そんなことないもん!!!
[そう言いはしたものの。
文化祭の後、しばらくは赤くなってしまって
まともに万里の顔が見れなかったのはここだけの話。]
そ、そか。
わりぃ……。
[真理の様子にこれ以上突っ込んだらいけない気がして。
その場はそれで終わりにした。
冷静に考えれば不躾な質問だったよななんて思ったのは、その日の深夜。
ベッドで今日のライブのことと、真理のことを思い返していた時だった。
その後、しばらくは真理が視線を合わせてくれなくて、大いに反省したものだった]
[数日、なんとなく気まずく過ごしていた。
万里の顔を見てしまうと、どうしても意識して
顔が赤くなってしまう気がして。
かといって、そのまま彼とぎくしゃくしたままなのも嫌で。
調理実習でチョコチップ入りのマフィンを作った時。
ふと、メッセージカードを添えて、彼の机に忍ばせた。]
[ある日の教室。
机の中に何か見慣れぬものが入っていた。
なんだろうと思って取り出してみると、可愛らしいラッピングにつつまれたいい匂いのするなにかと、メッセージカードだった]
……?
[訝しげにカードを開いてみて]
[……うまく渡せたっぽいのは良かったが。
それによって更に恥ずかしくなって、
やはりまともに万里の顔を見れないのであった……。]
[周囲に気づかれないように、包みとメッセージカードを鞄の中に入れて、その日の夜、家族にも見られないように自分の部屋で包みを開いた。
包みを開けて出てきたチョコマフィンは、しっとりとしていてほんのに甘かった。
それからルーズリーフを小さく破ると何かを書き込んで、次の日]
朝雲、悪い。
数学のノートちょっと見せて。
え? あ、う、うんっ
[翌日万里に声をかけられれば、
幾分緊張した面持ちで頷く。
なるべく自然に……と思いはするものの。
ノートを渡す時に久しぶりに万里の顔を間近で見れば、
つい見入ってしまうのだった。]
[ノートを渡される時の真理の表情にまで気が回らなかった。
なにせこれからする作戦が成功するかどうか。
そっちのほうが重要だったからだ。
真理のノートを開き、それから自分のノートを開いてせっせと書き写して。
その合間に昨日メッセージを書いたルーズリーフを置いて、パタンと閉じる]
はい、ありがと。
[なるべくさりげなさを装って、ノートを返す]
[昨日書いていたメッセージは]
『チョコマフィン、サンキュー。
すっげぇ美味かった』
[それからライブの度に真理を誘うようになっていた]
[昨日書いていたメッセージは]
『チョコマフィン、サンキュー。
すっげぇ美味かった』
[それからライブの度に真理を誘うようになっていた]
[ノートを渡した後、彼に視線を向けてしまう自分に気付き、
意識して視線を逸らす。
なんでこんな風になってしまうのだろう。
暫しの自問自答の後、ノートが返されれば。]
あ、ううん……。
[その時は、すんなり受け取りはしたが。]
[その後、ノートに挟まっているのに気付き、
こっそりメッセージを確認すれば。]
………………………………。
[赤らんだ顔を、ノートで隠すのだった。
……思えば、もうこの頃から、彼のことばかり考えていた気がする。
が、自覚を持つのは、もう少し経ってからのこと。]
― 三日目・朝 ―
[一昨日の夜があまり眠れなかったのとよく歩いたせいもあるのか、夜は比較的よく眠って、とうとう修学旅行最終日]
しっかし、奈良から自由行動で京都で集合ってさ。
ホントこの学校って生徒の自主性を重んじてるよなぁ……。
[ここまで徹底されると、逆に信頼を裏切ってはいけないと思うのだから、効果はあるのだろう。
もはや当然のように、真理と一緒に行動する予定にして旅館のロビーで待ち合わせをしていた]
の、呪い……?
え。それってどういう……?
[そもそも身体を離そうと試しすらしていないので、『お主ら身体が離れんじゃろう』なんて言われてもぽかんとするばかりで。
さすがに何かの冗談だろと思って、真理の肩から手を離してみせようとしたら本当に離すことが出来ない。
唖然とする目の前で、僧侶はそれ見たことかという表情で、呪いの解き方を教えて去っていった]
ふむふむ。
[真理の検索してくれた画面を覗き込み]
ああ、なるほど。
属性が方角にも関係してくるのか。
南だから朱雀門……。
[納得して頷く。
と、いつもより近い距離で真理と顔を見合わせ、同じく頬が赤くなった]
よし、じゃあひとまず平城宮跡にもう一度行ってみようか。
[このまま見つめ合ってるとこのままでいい気になってきそうだが、呪いと名がつくものが、こんなに幸せだけくれるはずがない。
今はよくても、後でしっぺ返しを喰らったらたまったものではないので、今は呪いを解くことに専念しよう]
[たとえ呪われてなくても、
ずっとこうしててくれたのかな……なんて。
そんなことをつい考えてしまうのだった。]
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