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── 第二閲覧室 ──
[アデルとアイリを弔った後、第二閲覧室に戻ると活発に議論が交わされているようだった。
しばし耳を傾けてから、大きく息を吸う]
──僕は、失われた命の真実の声を聞ける。
[広い閲覧室の中、出来るだけ皆に聞こえるよう声を張った]
[手の甲を見下ろし、握りしめていた指をゆっくりと開く]
僕の端末には、特殊な機能が備わっている。
……皆の話を聞くに、どうにも半信半疑というか……。
表立っては伏せられている技術だけに、仕方がないことではあるのだけれど。
議論が停滞しているようだから、……告白することにした。
[辺りを見回し、アデルの持っていた書籍に目をとめて]
本に書かれていた内容のうち、少なくとも一つは本当のことであると僕は知っている。
実際に、能力を持っているという者が出ることで、皆の状況認識も変わるだろう。
[手の甲を撫でる。感触も熱も、他者とも何ら変わらない]
僕の持つ機能……能力は、死した者がバグ保有者であるか否か判断できるというものだ。
生きている者のスキャンは出来ない。
先ほど正常に機能することも確認した。
アデルとアイリはバグに感染をしていなかったよ。
──純然たる、犠牲者だった。
[息をつく。再び書籍へと視線を移して]
僕が存在するということは、生体のスキャンが可能であるものも──……。
[言葉を継ごうとした最中聞こえたゾフィヤの声に、弾かれたように振り向いた]
[目の前の黒髪の少女を見下ろす。手指は氷のように冷えていた]
……僕と同じ型の者が生み出されたという報告は受けていない。
そりゃあ、いち翻訳官でしかない己に全ての情報が知らされるなんて思い上がってはいないけれど。
けれどこの機能を保有する者が極端に少ないからこそ、他者に知られれば──……異端視もされる。
[名を呼ばれたのに気づいても、向けられるオクタヴィアスの視線を見返せない。
いつも親しげに輝いていたそれが、嫌悪や忌避や疑惑に染まっていたら?
死した者の判断しか出来ないこの能力は、テオドールが発した「容疑者を完全機能停止させる」という提案を肯定しかねない。力を明かすということは、その流れを肯定することに繋がるのではと。恐ろしい。──恐ろしくて堪らない]
……ゾフィヤ。
君もこの能力を持つのは一人だと、そう言うんだね。
[自身の持つ認識も、アデルの持っていた書籍も、ゾフィヤの主張も、考えたくない事実を指していた。
……ああ、この少女は]
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ト書きでの内面描写はグレーかなあとも思うんだけど、狼側だけセーブしてるとしんどいかなということで、こう。
/*
バグに思考まで侵されて、能力が使えると思い込まされている、とかかな。理由をつけるとすると。
記憶の改竄もされていたり?
……矢面に立つつもりで告白したけれど、失われた命の真実の声を聞ける者が二人出た以上、僕が場をまとめることも出来ないか。
[ため息。独りごちてから、辺りを見回し]
誰を信じていいか分からないこの場では、持ちえる情報は開示してしまった方がよいように思える。
どんなタイミングで告白するか、スキャン結果を知らせるか話しあおうにも、意見をまとめる段階で混乱してしまって、情報が開示される前に生体スキャン能力能力がバグにやられてしまってはことだ。
[あと……と言葉を継ごうとして、たたらを踏んだ]
……ごめ、ん、ちょっと疲れてるみたい。
考えが纏まりきっていないけれど、少し休む。
[数歩歩いてから、目についた赤い上着──オズワルドの上着に手を伸ばした]
肩、貸して。
あっちの椅子まで連れてってくれると、嬉しい。**
/*
オズとノーレへの表での接し方はライン切りつなぎの意図も含んでるんだけど、こう……自分でやっておきながら気恥ずかしくもある。
彼の桃的なフラグをへし折る要因にもなってそうで、申し訳ないなー。こっちは存分に楽しんでるごめん。
……ん、と。まず、主張したいことは。
[オズワルドに連れてもらった自身の席。
謝罪の言葉や、向けられた物言いたげな視線のことは、深く考えないようにする。
机上に突っ伏したまま並べられた飴玉を指先でつついて、眼前で転がした]
生体スキャン機能保持者は早期に名乗り出てほしいこと。
機能を持たないものは、その旨申告して欲しい。
失われた命の真実の声を聞ける機能……非生体スキャン機能についても、その有無の言及はあった方が皆の思考を整理しやすいかも知れない。
[発した声は気だるげで、疲労の残るもの。
けれど皆に聞こえるよう、一言一言丁寧に発声する]
それから。
……生体スキャン能力がどんなものであるかは想像するしかないけれど、高確率で万能ではないと考えられる。
高度な処理になればなるほど、処理には負荷がかかるはずだ。
一瞬で全員のスキャンを完了出来るとは考えにくいから、スキャンにかける優先順位について話し合ってはどうかと思う。
だれからスキャンにかけるか、その最終決定権は機能保持者に任せることになるとしても、僕達の話し合いは参考になるだろう。
[ゆる、と腕を上げ、自身の机上に置かれた真っ白な紙束を指さし]
多数決を行うなら、意見の収集漏れがないよう、投票用紙でもつくるかい?
……誰を再優先で生体スキャンにかけるべきかはまだ固まりきっていないけれど、僕はマリエッタ書記官、オクタヴィアス書記官、次いでアプサラス司書官、オズワルド司書官のスキャン優先順位は低めて良いのではと感じた。
[瞼を伏せて、頬を机に触れさせる]
理由についてはまた、……後に……。**
[うたた寝から覚めて、まず聞こえたのはセルウィンのスキャン能力は持っていないという自己申告。
活発に議論が進む周りを見渡して、ICレコーダーの側へと寄った]
カーク翻訳官と、ソマリ翻訳官が生体スキャン機能保持者……?
……ふたり。
[それ以外の人物の宣言について、聞き逃しはないだろうか。ざっくりとひと通りの録音を流して、状況を把握していく]
…………そう。
[ため息が漏れる。生体スキャン機能保持者も、書籍の記述によれば一人きりのはず。懸念は現実になってしまった。
ICレコーダーを聞き直すため、指先を伸ばし]
[どんどん増えていく録音に圧倒されつつ、手元の用紙に何事かを書き付けている]
──っ、と。
先に誰かにお願いしとく。
誰をスキャンするか話し合いで決めたい、もしくはスキャンする先を合わせたいなら、手が空いているものは集計を行って欲しい。
僕は今のところ、そこまで手が回り切るか怪しい。
既に誰かが行っているならごめんね。聞き逃してる。
[辺りに向かって声を張った]
[シャープペンシルのキャップ部を口元にあてつつ、首を傾げ]
ん、と。
ざっと録音を聞いて、新たに印象が増えたのはエレオノーレ書記官。
まずソマリ翻訳官とカーク翻訳官、次にソマリ翻訳官とオクタヴィアス書記官、その次にはオクタヴィアス書記官とアプサラス司書官……ところころ切り替えているところが、偽物を出すなど状況を操作しようとしているはずのバグ発生者らしくはないかもと感じた。
スキャン機能保持者同士スキャンするなんて策を取らない限り、自分たちの仲間から偽物を出しているなら、後々変更を余儀なくされることはわかるだろうし。
バグ発生者でないにも関わらず、バク発生者の手引をする者──そんな者が本当に存在するかは疑わしいところだけれど、もし居ると仮定して。
書籍によると、手引をする者もアンダーグラウンドで情報交換出来るとは書かれていないから、連携はとれていないのかもしれないよね。
であれば、バグ発生者は手引をする者のことを探すだろうし、真に能力を持っている者のことも勿論探すだろう。
それにしては、彼女はスキャン能力保持者にたいして無頓着ではないかなと。
状況に応じて希望を変更することにてらいがないというか、思考を晒すことに無防備というか。
だから、彼女のスキャン優先順位も下げていいように思う。
あとは……。
[顔を上げ、直近の議論に耳を傾け]
オクタヴィアス書記官を気にしてる子が多い?のかな。
ちょっと彼について録音を聞き返してみる。
[カークの質問に顔を上げ]
ふむ、その質問回答についてはちょっと待ってね。
確かドロシー翻訳官とテオドール書記官が僕について話してたことについても補足しようかなと考えていたから、合わせて思考の流れについては開示する。
今は優先的に、スキャン先を誰にするかについて話したい。
[時計をちらと確認する。何故か急かされるような心地があり、手元の紙束をめくった]
先に簡易に希望を出しておいた方がいいか。
僕はセルウィン司書官のスキャンを希望する。
オズワルド司書官、エレオノーレ書記官、テオドール司書官、マリエッタ書記官、ドロシー翻訳官に関しては、程度の差こそあれ最初のスキャン先にする必要はないと感じた。
アプサラス司書官……については、率先した宣言以外に判断要素が増えなかったのでやや落ちる。
オクタヴィアス書記官については、希望が集まっているのを見て見直しの必要ありか?と考えているところ。
[ドロシーの問いかけに振り向き、瞬いた]
……ゾフィヤ司書官が?
[ペン先を再び口元に当てる]
ん、ん。そうか。
彼女の正体については、まだはっきりとは予想が付けられていないのだよな。
バグ発生者か、手引をする者──そんな者が居ると仮定して、だけれど。
彼女がどちらにしても、僕の宣言のすぐ後に出てくることで、繋がり合っていない者に動き方を示そうとしたのかなと考えていた。
……仮定に仮定が絡まり合って、この辺りは上手く話せないのだけれど。
確か、カーク翻訳官もセルウィン司書官を占いたがっているのだっけ。
ソマリ翻訳官は……?
[ICレコーダーへと手を伸ばし]
[レコーダーに手を伸ばしかけた時、テオドールから集計結果の発表があった]
ああ、テオドール司書官ありがとう。助かった。
ゾフィヤ書記官の希望は第一がオクタヴィウス司書官、次点がセルウィン司書官。
ソマリ翻訳官の希望はテオドール司書官。
カーク翻訳官はセルウィン司書官を希望。
……うーん、この希望に思考を囚われても判断を誤りそうというか、せめて誰かの正体の予想がつけば参考にもするけど、第一希望はこのままにする。
第二希望は悩んでるよ。何故か胸騒ぎがして、早くスキャン先を決めないとという気がする。
うん、ん。時間がないかな。もっとオクタヴィウス司書官について考えたかったんだけど、希望の集まり方と、彼のスキャン結果、それから希望者の思考がどう変化していくかに興味がある。
ただオクタヴィウス司書官の希望の出し方や、随所に見られる無防備さがバグらしくもなく思えるんだ。
だから第二希望はアプサラス司書官で。
オクタヴィウス司書官へスキャンを行使するのはちょっと抵抗がある。
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