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[嘗ては至って健康児であった身が、ある日を境に身体を崩したのは、余人の知る所だろう。
寒い日には、肉体の抵抗力を無くし、怪しい咳や発熱が起こりやすい。
そして、これが何よりも奇怪な現象だが。
まるで、突然に成長阻害が発生した様に、成長の傾向が見られなくなった。
食療法、薬療法、先代であるゲルトの父も、尽くすだけの手尽くしはしたと受診した当事者は認識しているが。
生まれ付きの障害で時折みられる小人症や、純粋な栄養欠落でもない。
1年前、失くした父の後と共に、各所管理されていた、患者カルテの中にも、ペーター・セルピエンテの成長阻害は、原因不明との匙投げの後が遺されていた事だろう。
そのお陰で、医療の雑学のみ、詳しくなった時期も存在したが。
この数年は経過確認の様に、こうして軽い検診を受けるだけが殆どだ]
[既に本人も、原因究明は諦めた。医学的見地でも特定不可。
だが、こんな与太話を耳に掠めた者も村にいたかも知れない。
丁度、ペーターの身体が変になり始めたのは。
正確な情報では無いが、大体思春期の成長期頃では無いか?と。
人間とは、思考に連想を連ねる生き物でもある。
大体その頃と云えば、村人の記憶に鮮やかな出来事。
10年前に、新婚したてだった宿屋の主人や園芸館の妻子が。
銀嵐に、冷酷な吹雪の洗礼に見舞われて、その命を無惨にも散らした年。
あの日の銀嵐は、何人ものの命を掠め取った、凶悪な物だから。
科学的な根拠もないくだらない噂だが。
銀嵐にでも呪われたのではないか、と…]
[珈琲の苦味に眉を顰めて、ふと思い出した。
そういえば、最近数年は、珈琲に砂糖とミルクを混ぜた覚えが無い]
逆に怖いけどな。
今更伸びられる方が。
[保証なんて無い方が寧ろ安心できる物だ。
聴診器に手を伸ばすゲルトに従い、衣服の前に手を掛けた]
もう諦めたさ。
……どうせ俺は。大人になる前に死んでくから。
[そう、達観した息を零しながら聴診器の肌寒い感触を受けていた。
聴診の結果は、少し宜しく無いか、それとも此処まで来れる分、マシだろうか。
風邪薬があるなら苦く無いと助かる、なんて考えていた**]
― 診察室 ―
[成長しない自分。抵抗力の弱い身体。
時々、死生観的に投槍な様子を見せるのは、主治医のゲルトなら気付いているか]
それじゃあ、俺はこれで。
ゲルト、珈琲ご馳走様。
今度はお茶菓子もつけといてよ。
[そして、やはり忘れる事も無く、子供の自分とそっくりな人形を片腕に、診療所を後にした。
成長しない、そんな自分と良く似た人形を日常的に持ち歩くのは、どういう心理なのだろうか。
例え誰かが面と聞いた事があったとしても。それに対して真面目に答えた事は、無かったが]
― 村役場の近く ―
[さて、寄り道して帰ると告げた物の、どこに寄り道するか。
余り人の多い場所は嫌だ。教会は比較的落ち着くが、宿屋の活気は少し息苦しい]
ヨアヒムでもひやかしにいくか……
……あぁ。だめだ。
あのダメな子、宿屋さんにお世話されてるんだった。
[宿屋には、絵で釣れる中型犬を現在お預かり中です。
こう云うと酷いが、良い意味でもダメな子なので、接する苦は少ない。
だがそのヨアヒムが宿屋にでもいるなら、さて、どこに寄り道しようか。
そんな事を考えていると、みにぺた君(の操縦者たる本体)が、珍しい人の姿をみつけた様子で、ふりふりと人形の手を振る]
アルビン! 何時の間に来てたんだよ?
[町役場の方から、急ぎ足かそそっかしい足取りで駆ける緑衣の姿。
慣れと耐性が無ければ、右耳は驚くと思う。事実子供時分には自分も、右耳に視線を注ぐまいと子供心に空気を読もうと苦心した相手だ]
そうか。あにぃは年中冬眠生物だから気付かなかった。
もう、本当に冬眠の季節になってるんだよな、うん。
[何気なく、この村に長年いる感じのする相手。一応兄と同い年の筈だが、人付き合いは正直、俺以下だと信じたい。
だから商売人だと知ると、今でも耳を疑うが、この6年程は冬に必ず姿を見せる。
彼の訪れで、奇しくも本格的な冬の始まりを実感するここ数年な気がした。
ふりふりと、みにぺた君の手を振る事で挨拶していた**]
/* カタリナ・・・どうみても、やんごとない人だよっ!!?
護衛や射殺やを考えると
もしかして:王女様
うわあい、現在の縁故の組み方的には、カタリナとあにぃが蘇生最有力候補なのかなかな。
とりあえず、コミュ障が何かこじつけてでも無理矢理にコミュを図りに逝くターンでござる!!
…所で、パメラにもあいたいしニコラスにもあいたいなぁ。
ニコラスみえてもいいのかな。
ええ、洗礼者だけど、このペタ。そういう生命物体だからとかこじつけちゃ。あ、でも変に視えても今後の死体で困るか・・
[実際、毎日家で顔を合わせる兄よりも、この男は冬眠らしく冬眠をしている。
元来冬眠する動物とは、雪の奥や穴倉や。後自宅に身を隠す為に、めったに他人様の視線には触れられないのだ。
もし用事があり、冬眠生物と触れたいならば、直接寝倉を掘り起こすのが最善である]
[とは言え、過干渉は残念ながらお互い望んでいない様だ。
商売人の癖に、実際、薬を扱う仕事場面を見た事はあるかないかだし。
売り物の薬程度で治る病気なら、初めから苦労なんざしていない]
[始めて出会った頃の、好奇心で脳内が構成されていた頃と違い、自分は既に23歳。この成りでも9歳の時分とは違う。
いや、寧ろ、"この成りだから"かも知れないが。
お互い触れられたくは無かろう、「傷持ちの脛」が厳然と存在している分、アルビン・ドルニャークと云う男は、寧ろ今の方がとっつき易い相手とも云えた]
[と、軽く扱き下ろしたが、アルビンの事が結構好きなのだ。此方側は。
若干、普通の村人より遭遇頻度が高い、とアルビンが感じた場合は、それは気のせいでは無いかと思われる]
えー?寧ろ逆じゃねえ?
俺、あにぃが無休労働してる姿なんて想像できねえよ。
それが存在するとしたらそりゃあにぃじゃなくて何か別の生命体だ。
[或いは、彼が兄の実態を知らない事は織り込み済み故に。
「一度コイツを、家に泊まらせてみてえ…!」等と考えているが。
兄の同意は無問題でクリアしても、眼前の当事者へ同意を求める事こそが、そう。
『銀嵐の真只中の夜、全裸でベリーダンスを一晩踊り明かせ』
そんな系統の、インポッシブル・ミッションに等しい難易度に思われる]
[そんな阿呆い事を考えて何も話をしなければ、村長の行方を問われただろう。
が、残念ながら村長は何所に存在するか。少なくとも今日は視ていない。
村役場は…?そう、無人状態デスカ]
何だかんだ、夜は寒いから気をつけなよー。
内の月替わりパン、今月は栗のカンパーニャな!
[店の宣伝だけ残して、歩みを速めたアルビンを解放する事にした*]
[さて、アルビンと別れて、次はどうするかと考えるより前]
…… …… …… 銀嵐の中 ……
…… …… …… 全裸でベリーダンスするアルビン ……
…… ……
…… ……
…… …… ぶふーーーっ。
[笑いすぎて、さっきゲルトに渡された薬袋、落としそうになった。
もう片腕のみにぺた君は死守したが、両手塞がってるのでバランスくずしそ。
つまりはまあ、暇には事欠かなかったのだ。人知れず燃料にしたアルビンへ心の中だけで合掌]
[あぁ、でもアルビン、爪先を頭の上まで上げれるのかな。
結構身体、ガチガチに硬そうだよな…とか、馬鹿い事を引き続き考えていると。
大声、大降りで存在アピールする見慣れた姿]
お、ヨアヒムじゃん。やった。
今日は宿屋に預けられてたんじゃなかったのか?
[ひやかし、とかダメな子、とか。
基本的に、出来ない子程可愛い、を地で行く目線が標準装備された瞳で
にこにこしてるヨアヒムに、みにぺた君の腕で応えた。
ああ、想像より村にも人残ってるんだな、なんて似た事を奇しくも考えていた]
[母親と共に、この弟分が村へ訪れた時、既に自分は7歳。
勿論同い年のヤコブもだが、子供心に、年下の男の子は、どちらも別のベクトルで抜けてる所があると勝手に考えてた。
特にこいつだ]
[正直、彼らが自分の背丈を追い越す、第二次性徴頃の二十歳前。
流石に複雑な感情を抱えて、疎遠になる事を考た時期もあるが。
ヤコブの方は…どうだろうか。
然し、ヨアヒムの場合、結局此方の根折れの方が早く。
こう、背伸びして頭を撫でる行為に抵抗が消えたのは、二十歳を越えた頃に、漸く]
[だからもあるのだろうか。根底が子供の頃と変わらないと捉えているから。
当時7歳の誕生日、事実会心作だが、現在と比べては稚拙が未だ視れる、薔薇の水彩画。
子供の頃に渡されたそんな絵を、額入れにして未だに部屋へ飾ってるのは]
へえ、図書館の柱にででん、と。
それじゃあ、身体の調子を見て、図書館覗きに行くかな。
最近は、クララとも会えてないし。
[別に大した事は無いけどな、頭を撫でる手の為、みにぺた君と一緒くたにした薬袋を軽くだけ示していた]
…で、今からお前は宿屋に帰る所か?
[空気読めたのか、本能なのか、身体の事や気にする素振りを見た事はない。
だから尚付き合いやすく、心持気さくに肩へぽん、と手を置いた]
[正直常々、アホの子ダメの子と可愛い物を視る瞳で内心扱き下ろしてるが。
別け隔て無く、無邪気で朗らかなヨアヒムの性質は、得難い美徳と認識してはいる。
ヨアヒムは比較的特別な方だろう。
アルビンは云うなれば同属意識的な理解感情。
ゲルトは主治医で、オットーに至っては毎日顔を合わせる家族だ。
まあ、何だかんだと、人周りに付いては、不幸ながら恵まれてる方かも知れない。
精神的には大人の落ち着きを覚え出してから、逆説的にそう考え出してきた]
[但し他にはそう易々といかない事も、何より事実として存在している。
元より、23にもなり、それこそリーザと変わらない見た目。
奇異の眼でひとたび視られた相手とは、極力接触を断つ事にしている。
何も自分は、望んでこの姿でいる訳ではないのだし。
基本的に、村全体との関係からは足ひとつ分引く事にした、自分がいる。
…この辺りが、アルビンに好感を勝手に覚え出した起因かも知れない。
ヤコブは年下の弟分で。クララは子供の頃から随分確りしてた同い年の友人。
カタリナは少し特別な意味で気にした時期もあったか。
パメラは…この時間の流れない姿が見えない分、接しやすかったけれど。
……ああ、リデル様は、身体云々以前に、元々恐いから別の意味で疎遠だ。
幼少期のトラウマは大人に成れども根付く物なのだ]
[でもそういえば……。
変動した関係性の中、ひとりだけ、また別の意味で特別な子はいるな。
こんな村に、どこの呆れた奴が捨て去ったのか。
教会で、今の神父に拾われ育てられた、まだ幼い少女。
リーザ・フローリア。
大人しいが、優しくて気立ても良い、最悪ヨアヒムより出来てるかも知れない子だ。
流石にそこまで言えば、ヨアヒム泣いちゃうので言わないけど。
それでも子供は好奇心が何よりも先につくものだ。
物心ついた頃からいる。
村の、大きな大人の人たち、お兄さんやお姉さんと比べて唯ひとりだけ違う。
子供のままの、"少しだけ年上のお兄さん"。
子供心の好奇心を出される前に、だから先手を打っていた]
[子供の頃から、聴かせる様に、こうリーザには教えていただろう]
『俺はね、吹雪が踊る、雪の聖霊さんなんだ。
だから、普通の人間とはちょっと違うんだよ』
[それを聴かされて、そして10歳、多少は思慮も形成されてきた今の少女は
雪の聖霊なんて名乗った自分をどう認識しているかは、さてどうだろうか*]
……お前、本当相変わらずだな。
[図書館から宿屋を結ぶ直線を考えると。
ああ、コイツ寄り道しやがったか。そう苦笑を零して。
失礼します、そう早足で宿屋へ向かう姿に、みにぺた君で手を振り見送る]
ああ、それじゃあヤコブと レジーナにも宜しくな。
今度は寄り道せずちゃんと帰るんだぞー。
[さて、俺も家に帰るか。そんな様子で、みにぺた君と薬袋を引き連れて、パン屋へと向かう]
― 家への道すがら ―
うわっ……
…… げほ、こほっ!!
[突然風が唸りをあげて、身体に吹き付けた。
風邪と診断された身。寒く冷たい、身を切る風を浴びて
二度、身を曲げて咳き込んだが]
[雪の粉が、歌声を響かせる風の中、空を躍っていた。
未だ、"嵐"じゃないそれは水を泳ぐ魚か、空を翔る鳥の様に軽やかで]
…… …… …… 綺麗 だ
[喉が息苦しさで詰まりそうに成るのにも関わらず。
風花が謳う、銀色の舞に魅入らされた様、ぼう、と眺めていた]
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