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14人目、ウルケル海軍提督 ゲオルグ が参加しました。
ウルケル海軍提督 ゲオルグは、共鳴者 を希望しました(他の人には見えません)。
― 旗艦ヴァンダーファルケ艦上 ―
[足元から、微かな振動が伝わってくる。
緩やかな波の起伏にも打ち消されぬそれは、鉄の塊の下で轟々と燃える炎の存在を思わせた。
慣れた振動だ。地上の静けさより、もうずっと、心にも身体にも染み付いた、揺りかごの如き馴染みの響きだ。
艦はアーレン島の北東を南に向け進んでいる。
やがて進路は緩やかに西に向かい、アーレン島の南を抜けて西へと向けられるだろう。]
やれやれ……。
[その艦上、男は息を吐いて行く手を見据えた。
今はごく平穏に映る海上の、未だ目には映らぬ遥かなる波の先には、つい先日宣戦布告を寄越したばかりのモルトガット帝国艦隊が布陣しているはずだ。]
こうなるッてことくらい、
分かりきってたんだろうに、なあ?
[軽い調子で背後の腹心へと声を投げた。
タクマ・ナギ。
男の副官であり、文字通りに”心”預ける腹心である。
最初にその特異な絆が顕現したのが正確にいつだったかを、男は覚えてはいない。あの乱戦の最中であったことだけは確かだ。
16年前、島国オルヴァルを巡ってモルトガット帝国と激しい戦火>>55を交えた。ウルケル海軍は傭兵としてこの戦いに加わり、激烈な戦いをオルヴァルの海軍と共に帝国相手に繰り広げたのだ。
その最中、ある男の命を───彼の艦を救難せんとし、辛うじてではあるが───どうにか救った。それがタクマだ。戦いの最中に”声”を聞いた。
夢中になって戦い抜き、どうにか生き延びたと息をつき、やっと、彼と特殊な声が交わせる事実に気付いた。当時は随分と仰天したものだが]
政治家どもが、吹っかけやがって。
[肩を竦める調子で今は慣れた声を投げる。]
[そう、こうなることは分かっていたことだ。
モルトガット帝国が日の沈まない国を目指し、即ちウルケルの掌握するグロル海峡の開放を目指してやってきた時。
軍艦に先立って、最初に齎された開放を勧告する帝国の使者にウルケルが突きつけたのは、およそこの先ウルケルの国庫を半世紀ほどは支えるあろうと思われる莫大な保証金と、年毎の非常な額の海峡使用料だった。
曰く、ウルケルが過去にこれを許した例のひとつもないこと。
曰く、よってモルトガット帝国の掲げる理想に加担する形を取る以上、それに応じた相応の保険料が必要となるであろうこと。
更に、これに不服ある場合、ウルケルは力を以ってモルトガット帝国の干渉を排除すべき用意のあること。
ひとつひとつの主張は、まあ良かったのかも知れない。
だが最大の問題はその額と、ある種傲然と思われる程の対応だった。
つまりこれは、ウルケル側にグロル海峡開放の意思がないことを示した。来るなら来い、力で応じるという構えである。]
[ウルケルが強気に出るのも、まるで根拠のない話ではない。
ウルケル海軍は古くより、その海軍力の精強なるを知られている。
近年では16年前のオルヴァルでの海戦に参戦しては暴れ周り、10年前には島国フェリシアの海戦で前モルトガット皇帝率いる正規軍に勝利すら収めている。
───ゆえに、戦場を知らぬ政治家たちは高を括った。
モルトガット帝国はそう容易く素早くは行動すまい、よしんば寄せ来てもウルケル海軍の敵ではあるまいと、軍人ならざる政治家たちは帝国を見くびったのだ。
その上で彼らは、海軍最高司令官たるゲオルグを議会へと呼んだ。
今後の方針について話を聞いておきたいという。
軍人としての立場ではそれどころの話ではなく、政治の話が決まれば後は実務の世界の話なのであり、今は少しでも早く海峡外に展開させているウルケル守備隊を増強し艦隊を整えばならぬ。
そう、苛立ちを抑えて諄々と説く間に報>>24が届けられた。
モルトガット帝国からの宣戦布告、それに続いて思わぬ速さの守備隊敗残の報、シコン港陥落の報───凶報である。]
……ま。
タダで通してやるわけにも、そりゃいかんけどな。
[当然だ。政治家のやり方に多少問題があったとはいえ、ゲオルグとて黙って帝国をただ通してやる気などないのだ。
凶報は速やかに男を政治家どもから開放してくれた。
それが喜ばしいかどうかは兎も角として、漸く自分の居場所に戻れたということだけは確かだ。
潮風が男たちの顎を過ぎ行く。
その頭上には赤地に碇の意匠を施したウルケルの旗、また黒地に片側に少し寄せた十字をあしらったシンプルな提督旗が共に潮風に靡いている。
その目線を下に転じれば、艦橋の近くには堂々とゲオルグの使う斧が木棚に掛けられてある。
船上では、これが提督座乗の証でもあった。
この重い武器が実際に振るわれることは滅多にない。
故にゲオルグが常に携帯するのは、持ち運びには軽い銃に軍刀だ。
けれどこの戦斧は象徴であった。
歴戦の海軍提督、ゲオルグ・ヒューベンタールそのものの。
その為に男が艦に座乗する折には必ずこの戦斧が、乗員の目にも留まりやすいこの場に置かれる慣習となっている。]
しかし、派手にやられたよなあ…。
ちょっとでも無事で居てくれると助かるんだが、
[どうだろうなあ。と、口にするのは守備隊の行方である。
ウルケルは海峡の外におよそ4000、巡洋艦数隻に水上機母艦を交えた守備隊を置いていた。
常ならば充分な守備、だが本気になった帝国艦隊相手ならば恐らくひとたまりもなかっただろう。
幾分か意地を見せたもの>>5はあったか。
それでも、僅かな足止め以上のものになったとは考え難かった。]
[ゲオルグは現在、3隻の戦艦を率いている。
これに巡洋艦が4隻、水雷艇母艦が3隻、水上機母艦が1隻。
大型艦そのものより、小型艦を搭載した艦が多めであるのはウルケル海軍の特色でもある。
戦闘ともなれば艦艇総数は大きく膨れ上がり、小型の艦が快速を飛ばして波間を縦横に駆け巡る。
これに加え、今はリオレ西の洋上に巡洋艦が2隻、水上機母艦が2隻、更にはリオレの軍港にも無事な巡洋艦が2隻と水雷艇母艦が1隻は温存されているはずだった。
恐らく彼らは、守備隊の残存部隊やシコン港を脱出してきた部隊の確保と警戒にあたっていることだろう。
そしてこの他にも、ウルケルにはストンプ港という拠点とそこに浮かぶ軍艦がある。これらを糾合し、纏め上げることが当面の急務であるかと思われた。]
タクマ。お前さん、ストンプで造られている、
新型の巡洋艦と小型戦艦の話を知っているだろう。
ほら、改良型の。
あれがもうじき仕上がるはずでな。
ウェルシュ…あー、ストンプ侯から一昨日、
手紙が届いていたんだが。
[首都カルボナードには、殆ど帰らぬゲオルグの屋敷がある。
普段は屋敷守の老夫婦と、知らぬ間に増えたり減ったりする猫が住んでいるだけの家だ。
その昔は妻という人が住んでいたこともあったが、今はそれもない。
その屋敷に滞在中に、折り良くウェルシュの手紙は届けられた。
従来よりボイラー室を大きくした巡洋艦>>28、そして機関を改良し船体を小型化して、従来よりも高速化した新型戦艦。
そんな船の様子をあれこれと綴った文面は楽しげで、いかにも船を好む彼らしい内容だった。]
お前さん、ちょいとそいつを受け取りに行ってきてくれないか。
ついでにあの辺の艦を、集めて来て欲しい。
[ついそこまでのお使いを頼む口調で告げて、彼を見遣った。
口調とは別の、思慮を含んだ視線が彼の黒い瞳と交わる。]
…新型艦を遊ばせておける余裕があるほど、
敵さんも悠長じゃないだろう。
整備に入っていた艦も何隻か港にあるはずだ。
あまり日数がない。
お前さんの目で見て、使えそうなら持って来い。
[遠征の多いウルケルでは、艦隊は比較的柔軟に都度編成される。
ゆえにこうした編成命令も特別なことではないが、しかし新型艦を港まで取りに行って編成するなどやはり異常である。
しかし今はそう言っていられなかった。非常の時なのだ。]
ついでにストンプの様子も見てきてくれないか。
守備隊の残存部隊、リオレにも退いただろうが、
相当数がストンプにも流れたはずだ。
ウェルシュがいるが、あいつはちとまだ頼りない。
軽く顔を見てやってくれ。
[告げる様子はどこか柔らかくなる。
ゲオルグは長年、ストンプに──土地と、そこを治める家との両方に出入りしてきた。ごく親しくしてきたと言っていい。
だからごく当然に、男はウェルシュのごく幼い頃からを知っている。
タクマもそうした事情には通じているはずだった。
何度か過去に、副官を伴って訪ねたことがあるのだから。]
ついでにこれ。
[ごそごそと胸ポケットのあたりを探ると、やはりお使いの調子で少し皺になった手紙をぽいと寄越す。
その中身は短い挨拶に続き現在の状況、ついでストンプの工作船を出して欲しいことなどが書かれている。
戦闘が激しくなればストンプ港までの往復時間はいかにも惜しく、損傷軽微な艦を修理・整備する工作艦の需要も高まってくるはずだった。
ストンプの持つ技術力は、高い。ウルケル随一と言っていいだろう。
それを発展させ推し進めたのは、前ストンプ侯、つまりウェルシュ・ストンプの父である。>>29]
ウェルシュに届けてくれ。
こいつと、えーっと……ああ、荷物もひとつ。
[あとで届けさせると口で言い、実際に届けさせるつもりでいるのは小さな麻の小袋ひとつだ。
中にはぶどうが入っている。
いいというのに、庭で採れたからと屋敷守の老婆に押し付けられた果実を、丁度いいとばかりに手土産にさせる魂胆だった。]
艦隊を編成後、追いついてくれ。
それまで前線方面は、どうにか面倒見ておくさ。
[相変わらずの口調で告げて、副官の肩に頼むとばかりに片手を乗せる。そうして、はたと思い出したとばかりに彼の顔を見直した。]
───ぶどう。お前も食っていいぞ。
今年のは結構甘いそうだ。
[これで良しとばかりに、大いに真顔で*頷いた*]
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行く手じゃなくて、眺めるのは西ね西。
ww現在地慌てて書き足したら、このザマですよ!!!!!もーーー
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本気で算数間違えたので、どうしようか。
工作船も大型艦に含まれるなら、本気で足らんな…
た、戦わないならどうですか駄目ですか。
www消しゴムで数減らしてきたいwww 最悪はメモ……
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