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中学二年生 イェンスは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
― 自室 ―
[きょろきょろりと見回せど、声の主を見つけられず首を傾げれば。]
『ああ、ここだよ、こ・こ。』
[開けっ放たれた窓の外、電線に一羽の鴉が一声、かぁ、と鳴く。
窓枠へ、そして少年のいる傍らへとぴょこぴょこと飛び移った。]
……この夢、続きがあったんだ。
『いやいや、夢じゃねーから。
……って、まぁいっか。普通の人間なら俺が喋るのなんて受け入れがたいだろうしさ。
ところでどんな夢だ?
なんだかやけに魘されてたみてーだが。』
[普段の少年なら。
気を許した相手にすら、それを話すことなどない。
けども。
これも夢の続きだとまだ思い込んでる少年は、つい漏らす。]
――僕が、人を殺した時の夢。
ああ、うん。
正確には、違うかもだけどさ。結果的に、って意味でね。
[僅かに口元を*歪ませた*。]
― 自室 ―
[傍らの鴉は、少年には不釣り合いも思える口元をじっと見上げる。]
『ふーん……。
誰を、どうやって?』
んー……。
[夢の中でなら、吐き出すのも容易かも、と思っていたのに。
少年は内心で己を嗤いながら、大きく息を吐いてから、重い口を開く。]
……学校の先生。
僕の身代わりになって、ね。
― 回想・3年前のある夕方 ―
[小学生の頃からすでに、父親と同じく医者の道を目指していた少年。
絵に描いた様な優等生。
欠点といえば、運動が苦手な事と、真面目すぎる事くらい。
そんな少年は、その日も放課後に図書館へと立ち寄り、何冊かの本を借りてから、自宅を目指していた。]
[通い慣れた道、なんともない筈だったのに。
中央通りに差し掛かる頃、強い風が吹き抜けて、少年のキャップを攫っていった。]
あっ……!?
[少年は、キャップを追いかけ中央通りを駆け足で横断していく。
向こうから大型トラックが走ってきていることに気づかないまま。]
[誰かに抱かれているのに気づいたのはしばらくしてから。
恐る恐る少年は目を開け、痛む体をそっと起こす。
すぐそば見えたのはまだ若い音楽教諭の血の気無い顔。
代わりに、アスファルトは赤く染まっていた。>>22]
や、ヤダ……ウソ……。
[もし、無知な子供であればわからなかったかも知れない。
けども、少年には分かってしまった。
すぐそこに死が待っていると。]
あああああああーーーーっ!
やだ……死んじゃヤダぁーーーーーーーっ!
[伏せた音楽教諭の身体に取り縋り、泣き叫ぶ。
受け入れがたい現実はやけに遠く思えて。
音楽教諭の唇がなにかを告げたのに、それすら少年には届かない。
やがて、その瞼が閉ざされると同時、少年は意識を手放した。*]
― 現在・自室 ―
『なるほどなー……。
で……お前は、それに縛られてる、って事か。
夢に見るくらいに。』
うん、そういう事、なんだろね……。
だってさ。
僕が飛び出さなきゃ、あの人は死なずに済んだ。
こうやってさ、自分責めてたって、どうにもならないってわかってるけど……。
けど、……ね。
[俯けていた顔を僅かにあげる。]
せめてさ……あの人の、最後の言葉でも聞けてたら、ちょっとはマシだったかも、ね?
知ってるかなー?スワンソングって。
白鳥って鳴かないんだ。けどね、死ぬ間際にだけ綺麗に歌うんだって。
もしかしたら……あの人の最後の言葉は、そんなモノだったかもしれないのに。
もしかしたら、誰かに伝えたい大事な言葉だったかもしれないのに。
―――僕は、それすら聞けてなかった。
『……聞きたいか?』
聞けるなら、ね?
『魔女になれば、聞けるかもな?』
あははー、なにそれ……
……って、そっか、夢だったっけ……。
随分酷いオチだなぁ。
僕、その手のアニメとか興味ないんだけど。
ま、いっか……。
[朝になれば忘れてるだろうか?
覚えているなら夢診断でもするべきか?
そんなことを思いながら、少年は再び布団を被る。]
『ん、……いつものことか。
おやすみ、少年。続きは明日だ。』
[鴉は慣れっことばかり、とん、とベッドボードに飛び乗って、目を閉じた。
やがて聞こえる*寝息は二つ。*]
― 朝 ―
[目覚めたばかりの少年は憮然とした表情をしている。
それもその筈。
目覚めた瞬間、夢の中の存在だと思っていた鴉が、ベッドボードに止まっているのが見えたのだから。]
『おはよう、少年。
ちったぁ信じる気になったか?』
[表情の無いはずの鴉が、笑ったように思えた。]
『まー、とりあえずはさぁ、俺の話、聞いてくれよな?』
……いいけど、学校があるから。
『じゃぁ、勝手に話してるからさ、聞いててくれよ。
俺は、普通の人間には見えない。
そして、君と俺の会話も、声を出す必要はない。
伝える意識があれば、それで届く。
いわゆるテレパス、みたいなもんだ。
……便利だろ?』
[学校の道すがら、そして休憩時間に。
鴉が語ったのは、魔女と言う存在、力、理。
そして、日没とともに始まる試練の事。]
[そして、放課後。帰り道。
年に一度の祭りの準備で、どこもかしこも騒々しく浮かれているように思えた。]
『ま、そういうわけで、だ。
こうやって俺が見えたのも縁だし。
……契約、結んでくれねぇか?』
……いいよ。
[あっさりとした返事に、鴉は思わず、羽を強くばたつかせた。]
[まだ半信半疑のままではあれど。
これが夢の続きならそれはそれだし。
現実なら……。]
僕には、こういうのって不向きな気がするけどさ。
『なぁに、そのへんは俺もサポートしてやる。
試練中も、試練が終わって魔女となった後だってな。
そのための契約者だ。』
ん、なら心強いけど……。
[はた、と顔をあげる。]
ところでさ……貴方の名前ってなぁに?
『ははっ、そういや名乗ってなかったな。
俺は、ハスティ。
ま、よろしく頼むわ。少年。』
[言いながら、鴉は少年の左腕に止まり、嘴で左薬指を啄む。
淡い光がこぼれて、指輪と化す。
同時、右の肩口、小さな違和感。
目線はそちらへと。
鴉もその目線の先を見る。]
『あー、少年のジェムは肩かな。
帰宅後にでも確かめるといいさ。』
ん?『ん?』
[一人と一羽は、同じように呟いて顔を見合わせる。
視線の向こう、商店街のど真ん中でうずくまる誰かの影>>263。]
……。
[それは、場所柄もあり、あの事故の時の自分と、音楽教諭を思い起こさせそうだったけども。
あの時と違って赤はない。
ぎゅ、と手を握り締め。なんともないような顔でそちらへ足を向ける。]
[後5mほどの距離になった頃、突然張り上げられる声>>275。
思わず少年は足を止める。
うずくまってた人物がふらりと立ち上がる>>276のを見て、思わず少年は足早にそちらへ向かう。]
あ、あの……大丈夫、ですか?
[コンビニの壁に持たれたその人へと、思い切って声を*かけてみた。*]
[声をかけた瞬間、その人の肩が跳ねた>>282気がした。
おや、と思えば、この春引っ越してきた、服装に特徴のある一つ上の先輩。
まさか名前を覚えられてると思っていなくて、少し目を丸くしつつも頷いた。]
あ……はい、そうです。
ええっと、糸瀬、先輩、でしたよね?
大丈夫、ならいいんですが……。
[自分よりも少し背の低い先輩の顔を覗き込むように伺う。
額に汗。顔色もあまり良くなさそうだし、浮かぶ笑みも不自然>>285に見えて。
ましてや、うずくまるくらいなら体調はよろしくないだろう?
相手が男子であれば、額に手を伸ばして熱を確かめたかったけども、女子相手には流石に無理な事。
ともあれ、風邪か何かからくる体調不良だと思い込んだまま、少年は言葉を続ける。]
その、最近寒くなりましたし、もし体調が悪いのならすぐに病院に行ってくださいね?
今ならまだ夜の診察時間に間に合いますし。
ああそれから、あまり汗が酷いようなら、常温のスポーツ飲料飲んどくといいです。
……無理しちゃったら明日のお祭り、回れないですしね。
[小さく肩をすくめつ。
そういえば糸瀬の家はどこだろう?住宅街のどこかかな、などと考えながら申し出た*。]
……えーっと、もしよければ、お家まで送りましょうか?
それともどこかのベンチで休んで行きます?
[零された笑い声>>318。
けども、やはり力なさそうな声に思えた。]
あ、お手伝いされるんですね。
なら尚更……ね?
その……うん、大したことじゃないですから。
侘びはいらないけど、お礼だけ素直に受け取っておきます。
[僅かに笑って、歩き出そうとする糸瀬を見送ろうとすれば。
糸瀬が再び壁に体をもたれさせる様に、思わず"あ"と呟いて手を差し伸べた。]
[伸ばした手が肩に触れた。
支えてたのはわずかな時間。
完全に壁に身体を預けるのを確かめれば、そっと手を離す。]
ん、弱ってる時はお互い様です。
肩、貸しましょうか?
[もし何か荷物を持っているなら、荷物も引き受けて。アパートの方へと二人足を進めたか。]
[糸瀬と小悪魔の会話に気づく事など、勿論なく。
少年は糸瀬の歩幅に合わせながら、アパートの方へと歩いていく。]
そういえば……
先輩って、前はどちらに住んでらしたんです?
[黙ったままもなんだか気まずい、なんて思いながら、少年はなんともなしに問うてみた。]
[鴉は、今は空高く、二人を追うように飛んでいる。]
[糸瀬と小悪魔の会話になど、気づく事は勿論なく。
荷物を引き受け、糸瀬の歩調に合わせて隣を歩く。]
あはは……。
もしかしたら、僕だっていつかどっかでへばっちゃっうかもしれないですし。
そのときは、是非助けてやってください。
……約束、ですよ?
[生真面目な性格なのかな、と思いながら、笑って答え。]
そういや先輩って、前はどちらに住んでらしたんです?
[なんの気なしに問うてみた。
鴉は今は空高く、二人を追うように飛んでいる。]
[糸瀬と小悪魔の会話になど、気づく事は勿論なく。
荷物を引き受け、糸瀬の歩調に合わせて隣を歩く。]
あはは……。
今はそうかもですけど。
もしかしたら、僕だっていつかどっかでへばっちゃっうかもしれないですし。
そのときは、是非助けてやってください。
……約束、ですよ?
[生真面目な性格なのかな、と思いつつ。
冗談めかして返し。
やがてはアパート前。]
ゆるキャラショー?
あー、確かお昼でしたっけ?
はいっ、見に行きますっ!
[元気よく答えた後に、顔色を伺うべくじと見つめ。]
だから……先輩も本当にお大事にしてくださいね?
それじゃ、また明日。
[荷物をそっと手渡して、頭をひょこと下げて、少年は自宅へと向かっていく。
空を飛んでいた鴉は、一声鳴いてその後を追っていった。]
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