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声無しの タクマ は 碧眼 シルキー に投票した
声無しの タクマ は、兎 ツェーザル を護衛している。
― 廊下 ―
[ともかく早くこの血を洗い流してしまいたい。
その一心で廊下を駆けたが、ほどなく足が緩んだ。
自分が、城のどのあたりにいるのかわからない。
獣化して移動していた最中の記憶がおぼろげで、
とても、位置関係まで把握できなかった。
できたとしても、この城では無意味だったかもしれないが。]
[そもそも集合場所と言われた書斎にも戻れるのかどうか。
考えながらもともかく歩いていたら、
目の前の窓からコロンとなにかが落ちてきた。]
…!
[目に痛い極彩色は風呂で見かけた相手だ。
あの時はだいぶ飢えている様子だったが、と
観察していれば、矢継ぎ早に質問が飛んできた。]
[風呂に行くというのに頷いて、
着替えのことには肩をすくめて、
最後の問いには、暫し固まる。]
………。 ……。
[たっぷり5秒ほど考えてから、
片膝をつき、ちょいちょいと手招いた。
相手の方へ、左腕を差し出してみる。]
[幸いにも今の自分は余裕があるし、
一応は服をもってきてくれた恩もある。
なにより、飢えた吸血鬼を放置するより、
多少は安全だろう、との判断だった。]**
[夢中になっている頭にそっと手を置いて、
幾度か軽く撫でる。
柔らかで手触りのいい髪の毛は、やはり兔を思わせた。
子供がいたら、あるいはペットでも飼っていたら
こんな感覚なんだろうか。
おおよそ、らしくない感慨に耽りながら
自分の正気が保てるうちに、ちょいと相手の首筋を掴む。
そして、ゆっくりと腕を引いた。]
[吸血に夢中な相手の視線が胸に向いて>>+62
早く体を流して服を手に入れねば、と思い出す。
素直に口を離した相手は、
手首は離さずに立ち上がって満面の笑み。
チェーザル、と唇で名を綴ってから、
行こう、と指で廊下の先を示した。
風呂に連れて行ってくれるのならば、たいそう助かる。]**
― 温泉の前 ―
[ツェーザルに手を引かれるまま歩いていけば、
やがて、確かに湯の気配が前方から漂ってきた。
何処をどう辿ったのか定かではないし、
前回来た時とは、周囲の風景も違う気がする。
だが、間違いなく、自分が来たことのある温泉だ。
ひょっとしたら、強く行き先をイメージすることができれば、
いずれはそこにたどり着けるのではないだろうか。
もし、脱出するための出口を求めれば、
あるいは、扉を開く鍵を求めたならば。
思考は、異様な音を耳にして途切れる。]
[全身を焼く痛みに耐えながら、前方へ突進する。
スライムの大半を纏わりつかせたまま、
湯船まで強引に進み、湯の中に盛大に飛び込んだ。
この手のスライムが熱に弱い、とは知らなかったが、
なんとなく、お湯で溶けそうだの直観を実行に移したまで。
結果として正しかったのは幸いだろう。
だが、力技での突破は、酷く体力を消耗させた。]
[ぐったりと湯船につかっていれば、痛みはいくらか和らいでくる。
吸血鬼としての力が傷を癒し始めていた。
それと引き換えのように、深い乾きが意識を侵す。]
……、
[欲しい。
自分にさえ聞こえないほどの声で呟いて、ふらりと湯を出る。
<<兎 ツェーザル>>の血が欲しい。
脳裏に浮かんできたイメージが導くまま、血を求めて風を嗅いだ。]**
声無しの タクマは、ランダム を投票先に選びました。
声無しの タクマは、ランダム を能力(守る)の対象に選びました。
[押しとどめられぬ身体はツェーザルをすっぽりと腕に収める。
薔薇の小瓶から何か飲むのは目にしても、その意味は分からず、
震えながら、肩へ口を付けた。
出よう、と
その言葉に幾度も頷きながら、ゆっくり、牙を突き立てる。
なるべく痛くないように。
そう思う心は、血の味を含んだ途端に吹き飛んだ。]
[飢えた勢いのままに啜り上げ、乾きを満たす。
無駄に傷口を広げることもなかったが、相当に容赦はなかった。
そうして心が落ち着くまで乾きを癒したあと、
今度こそ慎重に、そっと牙を外す。
そのまましばらく、ツェーザルを抱きしめていた。
ありがとう、とごくごく小さく告げた声は、
誓いを立てて以来、初めて意識して発した声は、
酷く、掠れていた。]
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