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便利屋 ユーリエ は 中学三年演劇部 ローズマリー に投票した
― ユーリエの裏話 ―
[20年以上も前、ある日本人のビジネスマンが海外出張のためアメリカに出向した。
が、出向先で電車事故が発生し、甚大な被害が出てしまう。
事故が発生した駅にいた彼は、率先して人命救助に協力した。
その時に、とあるアメリカ人女性と知り合い、以後親睦を深めていく。
そして二人は結ばれ、母親が日本での出産を望み――私が生まれた。
両親は生まれた子供たちを愛情をもって育ててくれた。
子供たちは成長し、それぞれが自分の道を歩み始めている。
大学に進学する者もいれば社会に出ている者もいる。
私も大学に通い、無事に卒業を果たした]
[そんな私の運命が変化したのは、学生時代最後の年。
とある男子学生と、同じゼミに属していた。
私は彼の社交的な性格に惹かれ、次第に友人同然の間柄になっていく。
が、彼に対する友情は、後に負の感情へと変わる。
複数の女性と付き合っていたばかりか、彼女たちからお金を借りたまま、返していなかったのだ。
彼をよく知る学生が教えてくれた。
それを知ってからというもの、次第に彼を許せなくなっていった。]
[エレクトラと出会ったのはその頃。
私は「性根を叩き直したい人物がいる」と告げ、契りを交わした。
例の友人には、ぜひとも一途で誠実な人間になってほしいと思っていたため、彼を改心させるためには手段は選ばないつもりだった。
そして大学の卒業式の日、私は試練に挑んだ。
友人も試練に挑んでおり、紆余曲折の末に共に合格を果たす。]
[が、その試練の最中、私はある事実を知ってしまう。
友人は、関係のあった女性たちを誘惑し、その心を闇に染めたうえで金を貢がせていた人狼だったのだ。
これを知ったとき、友人を罵倒してしまったのは、言うまでもない]
[友人曰く、借りた金は家族との遊びに使ってしまったという。
が、彼は社会に出たらしっかり稼いで、彼女たちに借りた分を返していくと表明した。
友人は誠実な男性に成長しつつあった。
それを嬉しく思いつつも、心の奥底には彼に対する不信感や憎悪が残っていた]
[それから数日後の雷雨の夜、私は友人を呼び出した。
落ち合った先で、私は彼に「これ以上はあなたを信頼できない、縁を切りたい」と告げた。
友人はそれを拒否したが、私の思いは揺らがなかった。
そして、エレクトラが見守る中、私は彼を落雷事故に見せかけて殺害、その魂を食らった。
しかし、ある思いが芽生えたことで、私は我に返り、自分がしたことの重大さを知る。
縁を切ろうと思えばいつでもできたはずだ。
最初に複数の女性と関係を持つような不誠実な人間と判明した時点で、縁を切るべきだった。
それをしなかったのは、友達を失うのを恐れていたからではないか?
縁を切るなら切るで、より穏便な方法があったのではないかと]
[友人を殺害した罪で、私は人狼の身となった。
そして同時に、ある呪いがかかることになる。
人狼となってから、ある魔女と共闘する機会ができた。
我々は強大なディアボロスを相手に戦った。
彼女がディアボロスに襲われた際、私が助けに入り、そのまま共闘することになった。
結果、ディアボロスの撃破に成功し、私はその魔女と仲良くなった。
彼女は魔女の素性を視る力を持っており、私のことも知りたいと言い出した。
私は一度断ったが、彼女の押しに負けてしまい、彼女は素性を視る力を使った。
しかし、私は罪が露呈する恐れからか、意図せずして自身の能力を発動させてしまう。
そして目の前の魔女が断末魔を上げ、命を落としたのは、その数十秒後。]
[私は彼女の死を嘆くとともに、己の能力を自覚した。
それからというもの、単独で振る舞うことが多くなった。
ジェムを封印するその時まで、私の孤独な戦いは続いた。
今思えば、私は様々なことを恐れるあまり、常に何かに執着していたのかもしれない。
大切な人を失う恐れから、彼らに執着し――
魔女の世界に足を踏み入れてからは、魔女の魔法に執着し――
罪が露呈する恐れから、単独での戦いを好むようになった。]
[そして再び試練に挑むことになってからというもの、己の中にある恐れを取り払い、強い女性になりたいと望んだが――
それも今、砕け散った。
雷電の闘士ユーリエ、その性質は『執着』
先祖ゆかりの地で、自らを定義づける「それ」を、手放した。
雷光の魔女の姿は、今はもうない**]
― 旅館の一室にて ―
[ユーリエ、いや、戸張樹理亜は、変身が解けた状態で、気を失っている。
倒れてから結構な時間が経っているはずなのに、未だに目を覚まさない。]
『ユーリエ、いや、戸張樹理亜。私は後で、あなたに詫びなければいけない。
今はただ、あなたが目を覚ますまで待つわ。』
[エレクトラは、ただ心配そうに佇むのみ]*
― エレクトラの裏話 ―
『彼女が私と契りを交わし、1度目の試練を突破して魔女になった後、人狼の身に堕ちた。
その代わりに、彼女は友人を殺めたことで、自分が友人を失うことを恐れていたことに気づいた。
彼女を敢えて人狼化させることで、心の中にある恐れに気づかせる。
それが彼女と契りを交わした目的の一つだった。
でも、実を言うと、魔女候補となる人物と契りを交わす目的は、もう一つあったの。』
『それは、私自身の死を回避すること。
私には、人間界での活動に制約がかけられていた。
その制約というのが、契約相手となる魔女候補に巡り合えなかった場合、あるいは自身の虹色のジェム並びに蓄えられた魔力が無くなった場合、私は消滅してしまう、というもの。
契約者として活動し続ける以上、それだけは回避しなければならなかった。
そこで私は、魔女の素質があり、かつ自分と同じように雷の魔法の力を持っている者を探し出し、契りの話を持ち掛けた。
その相手が、彼女だったというわけ。』
『彼女がこれを知ったら、「自分の目的のために私を利用したのか」なんて言って、起こるでしょうね。
でも、無意識のうちに彼女を苦しめてしまったことに対する罪悪感は、ある。
共に戦ってきた身なのに、彼女には申し訳ないことをしてしまった。
詫びなければならないとは言ったけど、誠心誠意詫びても、詫びきれないでしょうね。』**
― エレクトラの裏話:了 ―
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