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……ご覧になればよろしかろう。
[差し出した親書にエトヴァルトの指先がかかるか。
その瞬間、流れるように左手で手刀を叩き込んだ。]
ふ……すまぬな。
[前に倒れこむエトヴァルトの身体を受け止めようと右手を差し伸べる。]
……さて、と。
偽りの王宛の親書は渡さねばならぬが……。
……彼を送り届けるのが、先かな。
[ともあれ、男はエトヴァルトを連れ、魔術師とともにカトワールを離脱しようと*。]
ん?
[抗議の声と、同時に何か妙な声に首をかしげつ。
男にとってはさして重くも感じないエトヴァルトの身体を易易と受け止めながら、抱えようとして、エトヴァルトの肩にしがみつく何かに気づく。]
おや……お前は彼の……か?
[ペットか、それともいわゆる使い魔などと呼ばれる類か。
そこまで男に判断は出来ずとも。
エトヴァルトになついているであろう事は十分想像出来た。]
……いいさ、お前も一緒に来るがいい。
[順調に事が運んだことに安堵しつつ、男と魔術師、そしてエトヴァルトの3人の姿は転移魔法に*包まれて……*]
― エディの幽閉場所 ―
[魔術に疎い男は、"丁重に扱ってくれ"とだけ指示し、それ以外は魔術師たちに任せた。]
さて、と。
もう一仕事な訳だが……。
[気を失ったままのエトヴァルトの傍ら、彼宛の王子の親書を置く。
懐にはもう一通、ギィ宛の親書。]
カトワールに、これを受け取ってくれる様な人材はいるかね?
ま、いいか。
ダメなら暴れてから帰ればいいかね?
[微かに聞こえるきゅと鳴く声は、くっついてきた生物(?)がエトヴァルトを心配する声かと思いながら、魔術師とともに再度カトワールに飛ぼうと*思案中*。]
― 再びカトワールにて ―
[魔術師とともに男は転移し、再びカトワール。
どこかざわついた空気が街全体に流れている。]
……ま、流石にもうバレる頃合か。
それじゃとっとと用事を……。
って、ああ、見つかったか。
[親衛隊員の制服に、義勇軍の人間と気づかれたのだろう。
敵兵が2人、こちらに駆けてきた。]
[やれやれ、と髪をわしゃり掻く。
さきよりも気楽なのは、エトヴァルト捕縛という一番の厄介事を既に終わらせたからか。
最初に向かってきた敵兵に、サーベルを引き抜きざま、横薙ぎに斬り払い。
ついで向かってきた敵兵は、殺さぬようにと蹴り倒す。
倒れた敵兵の首筋、鋒を突きつけ。]
……すまぬが、キサマらの王とやらに親書を届けてもらえぬかね?
[物を頼む態度でないのは百も承知。
かくして、親書は魔王軍の手に渡り、いずれは届けられるだろう*。]
[騎兵隊に合流すれば、サーベル掲げ、男は声を張り上げる。]
気運は我らの手に!一気に畳み掛けよっ!
[北へと撤退していく敵軍に向けて、一団となり駆けていく。
エルフの弓部隊と更に挟み込み、圧迫していくように。]
[やがて、戦況が一段落すれば、男は王子の元へと向かうだろう*。]
― 川の北側 ―
[王子と合流して、まず報告をと思えば、直様飛ぶ命令。
訝しげに口元に手を当て、しばし考え込む。]
ふむ……?
なるほど……罠にしてもおかしく思えますし……。
あちらに何かアクシデントがあったのか……。
[首尾を問われれば、王子へと顔を向け。]
首尾は上々。
エトヴァルト殿は魔術師たちの用意した部屋に幽閉しております。
また、もう一通の親書もまもなく向こうに届くかと。
……では、我々は早速。
……惨いな。
[眉を顰め、馬を降りながら吐き捨てる。]
この切り口は……ただの刃物ではないな……。
ローランド殿であれば何かわかるやも、だが……。
しかし、頭と……心臓?
大方何かの魔術のため、なんだろうが……。
[魔術に疎い男に判断出来るのはそこまで。
遺体を検分した後に、その傍ら膝をつく。]
失礼いたしました。
……どうか安らかに。
王子を、この国を、これからも見守りください。
[立ち上がり、待たせていた騎士団と合流すれば、そのうちの一人に本隊へ報告を、と指示し。
再び騎士団は北上していく。]
― 街道 ―
[魔王軍に追いつけば、魔物たちは混乱の渦に巻き込まれる様。
足の遅いオークやゴブリン達を切伏せておれば、追いついてきた弓騎兵隊。
忠告にこくりと頷き。]
……ならば。
そちらは敵後方から射掛けてくれ。
我々は撃ち漏らした敵を両サイドから追撃するっ!
決して突出はするなっ!
確実に数を減らすことだけを考えろ!
[そうして、騎兵は二手に解かれ、両サイドからの追撃を。]
[曲がり道を抜ければ、遠目に見えるのはゴブリンたち。
他の魔物たちと違い、撤退するのではなく、足を止めている。
違和感。
周りは山。
奇襲にはちょうどいい場所。
全軍止まれ、と声を張るよりも先、分かれていた一軍が先にゴブリンの元へと到達した。]
[先と変わって、耳障りな奇声立て、ゴブリン達は散っていく。
一部は闇雲に突っ込んでくるとは言え、先までの様子も合わせればやはりおかしいことには変わりない。]
全軍、後退せよっ!
[声を張るが、スムーズにUターン出来るほどの広さではなく、些か手間取ってる間に、矢の雨は容赦なく騎兵隊に降り注いだ。]
ちぃっ!!!!
[自身は咄嗟にサーベルを振るって飛んできた矢を切り捨てるも。
兵たちは傷を負い、射られた馬は暴れ、命を落とす者も少なくはない。
弓騎兵が前方にいれば迎撃が出来たが現状ではそれも叶わぬ。]
ええい!全軍、射程外への離脱を優先せよっ!!!
痛っ……!!
[幾度となく飛んでくる矢を斬り捨てるけども。
石までは切り捨てられる訳はない。
肩に、腹に、容赦なく当たっていく。
後方からは更に蹄の音。
上方と後方からの攻撃に、騎兵たちは更に数を減らす。
やがて、ダークエルフたちの射程を抜け、弓騎兵たちに追いつけば。]
弓騎兵、左右に散開して敵を射よ!
騎兵、戦える者は私についてこいっ!!!
無理なものは、本体への合流をっ!!!
[そうして再度Uターン、駆けるのは、街道ではなく山腹。
ついてきた騎兵は20程。
弓など近づいてしまえばどおってことはないと、木々の間を抜け、やがて斜面を駆け下りて、異形の馬たちの一団に*突っ込んだ*。]
はっ……。
我が名はレト・ヴィオレンツァ。正統なる王の親衛隊員。
貴様の名、覚えてやるが死んでなぞやらんっ!
[クレステッドの透ける身体と、瘴気を纏う剣。
高等な魔物か、それとも人であったものか。
ともあれ、単純な相手でないと、思いながら。
サーベルで弾くのではなく、受け流し、叶うならお返しとばかりその胴を横薙ぎに斬り裂こうとするけども。*]
我が王はホルン王のみ、簒奪者を王と崇める気はないっ。
[受け流せたけども、それでも腕に伝わるクレステッドの剣の重み。
構わぬと叩き込んだ刃は避けられるかと思いきや。]
―――……!!
[手応えは、ない。
驚きの表情とともに、空を切った刃に釣られ、身体のバランスが崩れそうになるのを、必死に両足と手綱持つ手で立て直せば、クレステッドの声が戦場に響く。
なにを、と思うまもなく、クレステッドの手は男の剣へと伸び。]
[ずしり、増した質量は、片手で振るうには少し心もとない程。
明かされた正体、幽鬼に納得しつつ。
勿論、これが罠かと思わなかった訳ではない。
けども、魔法を掛けられていなくとも、攻撃が通用しないなら元々叶う事のなかった相手。]
……はは……気に入った。
なら、貴殿の義に報いるためにも、この刃、届かせて見せるっ!!
[さて、クレステッドはどう出る?
上段?下段?
ああらしくない、余計な事は考えるな、相手が受けきれないだけの重さで振るえばいいと。
男は、重さに任せながら胸元狙い、水平に薙いだ。*]
[剣の速さは十分だったのに、それを交わすだけの判断力と身体能力。
厄介な相手だと思いながらも、心の奥で滾る何かを感じる。
突進してくる剣を下から払う様に受け流そうとして。
いつもと違う重さに剣先は狂う。]
[剣の速さは十分だったのに、それを交わすだけの判断力と身体能力。
厄介な相手だと思いながらも、心の奥で滾る何かを感じながら。
突進してくる剣を下から払う様に受け流そうとして。
いつもと違う重さに剣先は狂う。]
っ……!?
[咄嗟に馬を繰り、横へと避けようとするも。避けきれず。クレステッドの剣は男の左肩先をわずかにまずは斬り裂いた。]
[痛みに耐えながらも少し間合いを取る。
部下たちも確実に倒されているのが見て取れた。
長引かせるとまずい。気が焦る。]
は、は……。
さすが、ってところか……。
それでも……負けるわけに行かぬっ!
[とん、馬の腹蹴り、クレステッドの方へと駆ける。
なら、立て続けに斬りつけて、回避を追いつかなくすればいいと。
両手にサーベル握り、まずは首筋狙い、避けられるならそのまま袈裟懸けに斬りつけた。]
[先とは違う確かな手応え。
口角がわずかに上がるも、それも一瞬のこと。]
ぐっ……!?
[まさか、拳が飛んでくるとは思っていなかった。
上半身をひねりそらそうとするも追いつかず、鞍上で身体が僅かに跳ねる。
一度間合いをとらねば、と。
咄嗟にサーベルの柄を握ったままの両手、拳をクレステッドの肩に叩き込もうとするも。
つきん、と走ったのは、斬れた痛みとは違う類の違和感。*]
[両の手振り下ろすよりも早く、それは終わる。]
ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!!!
[喉奥からほとばしる叫び。
肩に感じた違和感は、鋭く突き刺さるような痛みへと転じた。
クレステッドが、魔法を使う可能性を失念していたのは、焦りからか。ともあれ己の判断ミス。
己の血が、左半身を濡らしていくのを感じながらも、双眸強く見開いて、両の手を振り下ろしたけども、それはただ剣の重さだけを頼りにしたようなもの。
避けるのは容易い。]
ぁ、ぁぁ……っ。
[声を出すことでなんとか気を保ってはいたものの。
突進してきた馬を避ける術も、落ちないように足に力を入れる事も叶わず。
男の身体は音立て、地へと落ち、そのまま組み伏せられた。]
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