情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
― 最期の夜 ―
[誰かのノックの音と呼びかける声>>2:439に目が覚める。
本来なら、この状況で扉を開ける愚など犯さなかっただろう。
だが相手はディーター、妹を亡くしたばかりで。
彼が人だと信じてる訳ではないけども、それでも流石に無碍に追い返す気にはなれなかった。]
なにをしてるんです、もう……。
[眠い目をこすりながら、扉を開けて中に招き入れる。
さて、こういう時ってどう慰めるべきなのか、いっそ慰めない方がいいのか。
そんなことをかんがえながら、置きっぱなしの薬箱の鍵を開けようとして、かけられる声>>2:440。
背筋に悪寒が走ったのは本能的なモノだったのかもしれない。]
― 2-5 ―
[その瞬間に、やってきたのは妙な浮遊感。]
あ、れ………?
[瞬きとともに瞳が開く。
さっきまでいた部屋。けども、視点の高さがおかしい。
自ずと右手が左胸を抑えるけど、なんともない。
足元にゆっくり視線を落とせば。
ああ、僕だ。
ぽかりと開いた穴。心臓をぶち抜かれたのだろう。
血が飛び散り、辺りを濡らしている。
そして、今の自分は浮いている。]
……なるほど?
そうか、はは……。
[現実主義の青年は、幽霊だって信じてなかったけど。
実際にこうなってしまっては信じるもなにも。
これこそが青年の現実なのだから。]
それにしても憎む、か……。
こういう時にはそれが当たり前だろうに。
……そういう感情も、湧いてくれないんだな。
[憎悪がどういったものかも、知識として理解はしている。
けども、理解してるだけで、*実感は伴わない*]
ま、僕はその舞台から下ろされた。
後は天国か地獄か……呼ばれるまでは見守るだけ、ですね。
[自分のことなのに、やはり僕は他人事のように捉えてしまう。
だからこそ、憎悪も湧かないんだろう。
そしてそういう部分も含めて、客観的に見れる人物と思われたのかもしれない、と。]
― 食堂 ―
[やがて、それぞれが青年の自室を立ち去り、青年も一緒に食堂へ。
やはり視線はディーターへと向けられることが多くなる。
観察対象。
人ではない存在が、人をどう欺こうとするのか。]
……しかし、皆僕の事買いかぶりすぎだってば。
僕は誰かを思いやれる感情なんてのがないだけで。
だから……パメラがあんな風にならなきゃ、パメラを処刑するように仕向けようなんて考えてたしね。
殺されたいなんてのも演技じゃないのか、って。
シスターにだってそうだよ。
きっと普通の人なら、あんなものを見たら素直に信じてしまうだろうね。
―――それでも僕は信じきれなかった。
多分、ディーターじゃなきゃ開けなかったかな。
宿の薬箱の傷薬使ってくれ、って追い返した。
けど……まぁ流石に妹亡くしたばかりの人間を追い返すのもね。
慰めれなくても。
もし吐き出したいことがあるなら、聞こうかな、って。
それだけでも、少しは気がまぎれたりするし。
なんせこの状況下だ、変に自棄を起こす人間が増えたら困る。
人狼じゃなく、パニックで殺しあいなんか始まっちゃったら最悪だしね。
……って、言ったところで、神父様には聞こえないんだよね。
[苦笑い。]
― 今は昔 ―
[青年の家は代々薬師で、修道院とも関りが深く、両親は敬虔な信仰者でもあった。
善意の塊。
誰かを助けられる事が喜びそのもの。
そんな両親を見ていたから、同じような振る舞いは身に着いた。
けども、それは空洞で、善意の欠片もなかった。]
[不治の病を鎮痛剤でごまかし続ける老人がいた。
ある日、青年がいつものように鎮痛剤を届けに行けば、
「殺してくれ。」と乞われてしまった。
望まれたなら叶えるのが当然、と鎮痛剤を大量に投与した。
けども長く鎮痛剤を投与する日々が続いたからか、なかなか効かない。
ならばと濡らしたハンカチで老人の口と鼻を覆って殺してあげた。
そのことを両親に伝えたら、烈火のごとく怒鳴られ、青年は家から追い出されてしまった。
青年は今も、なぜ追い出されたのか理解していない。]
[人との付き合いなんて結局はパターンだと。
それでなんとかやってきたのだけども。
だからこそ、オットーのような、いわゆる変人に部類されるタイプは、どうしても苦手意識が*付きまとっていた。*]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新