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[ その終わりは、驚くほど呆気ないものだった。
五行の気によって瘴気を削られ、浄化の水に曝され、相生の力溜めた双剣に喉首切り裂かれた瞬間に、妖魔は形を失い、最初に現れた時同様に、不定形の「影」そのものに変じた。
そうして、風に散らされる霧のように、忽ち薄れて消えていく ]
[ 消え果てる一瞬前に、ゆらり、と薄れた影法師が仙花の方へと揺れたが、無論、届く事はなく......
後には、瘴気の気配すらない、静謐な森の空気だけが残った** ]
[ 玄武神が、姿を見せた直後、ウルズの傍で眠るように目を閉じていた少女が、瞳を開く。
空の青を更に濃く深くしたような群青色の瞳が、ウルズを見上げて瞬いたかと思うと、ふいに、ぎゅう、と抱きついた ]
[ そうして、天に戻り、迎えに現れた花仙の元へと、促されれば、仙花は、一度首を傾げてから、ウルズの手を、両手で握り、すりり、と頬を寄せてわかったと言うように頷いた ]
アリガトウ...
[ やがて、花仙の腕に抱き上げられると、その姿は少女の姿から、同じ程の大きさの蕾を閉じた花の姿に戻る薄い緑の葉と、同じ色の蕾の隙間に、少女の瞳と同じ群青色がわずかに覗いていた** ]
[ やがて、いよいよ間も無く花開くと見定められた「天星仙花」は、定められた祭事の手順により、四神四瑞の祝福を受け、天帝の座所へと運ばれる。
その場へは、四神四瑞と、その妻、従者といった、元からの列席者の他に、仙花探索に向かった者達も、この吉事の功労者として、残らず同席を許されていた ]
[ 奏でられる天上の楽の音の中、最後に天帝の手が、薄緑の蕾に触れると、ふわりと五彩の光が舞って、まず濃い群青の大きな花弁が開いていく。
花弁の数は合わせて八枚、縁には白い裾飾りのような襞を持ち中央にいくほど濃くなる群青は昼から夜へと向かう空の色にも似ている。
そうして、その中央から数限りなく伸びた銀色の花芯が、シャラシャラと、可憐な鈴の音のような音を響かせながら、それぞれに五弁の小さな花を開かせる。
空の色の花弁を背景と成して、溢れるように銀の星が揺れる様は、まさに「天星」と呼ばれるに相応しいもの ]
『おお!これは...奇花で御座いますな』
[ 天帝の脇に控えた占卜を司る文官が感嘆の声をあげたのは、その銀の星の間に、煌めく五彩の星が転々と混在していることに目を留めての事 ]
『天星仙花の花芯は銀一色が常。しかし五彩を伴うとは、誠に目出度い。吉兆中の吉兆に御座いましょう』
[ その言葉に、楽の音も一層華やぎ、天上宮の外までも、その寿ぎの音色は広がっていった** ]
―天上宮/後日 ―
[ 無事に美しく花開いた天星仙花は、しばらくの間、天上宮の高楼に掲げられた鏡に姿を映し、市井の人々にも披露された。
吉兆中の吉兆と言われるその美しさに、祭りは更に盛り上がりを見せることとなったのだが]
(ぴょんぴょん、ぴょん)
[ 小さな群青色の兎が天上宮の廊下を跳ねていく。
目にした女官達は、くすくすと笑いながら、兎のために道を開け「今日はあちらですよ!」などと、道を教える者も居た ]
[ ぴょんぴょんと、楽しげに跳ねる兎は、やがて、一人の武官の姿を見つけると、群青の瞳の少女の姿に変化して、満面の笑みで駆け寄っていく ]
ウルズ!おしごと、まだ、おわらない?
[ 毎日のように、仕事終わりの頃を狙って女性武官を訪ねていく仙花の化身たる花精の姿は、今や、すっかり天上宮の名物と化していた。
仙花が美しく咲き続けるには、必要なこと、と、天帝も黙認する花精の「お散歩」は、どうやら、暫く続きそうな気配である** ]
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仙花の方は、こんな子になりましたwきっと、天上宮に来たら他の人にも懐きにいくw
毎度、てきとーに企画される隙間村に、御参加いただきましてありがとうございます。
まったくもってゆる詐欺村でしたが、楽しんで頂けましたなら村建て冥利につきます。
そのうちまた、隙間が空いたら、似たような村が建つかもしれませんので、見かけたらちょっと覗いてやっていただけると幸いです。
お疲れさまでしたー!
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