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[立ち尽くしていれば、背中でうろたえる気配がする。
…のはいいのだけれども、その、なんだ、
温かくて柔らかくてまるっこいそれを背中に押し付けるのは、
そろそろ止めてくれまいか。
───と、思ったことを口に出すには
言葉を捨てた誓いは固く。]
……。
[溜息ひとつついて上着のボタンを外し、
袖を抜いて背後の彼女へと投げかけた。]
[消え入りそうな声でお願いされて、断るはずもない。
彼女が離してくれたなら、肩越しに頷いて近くの棚を探る。
すぐに目についたのは■salmon色のタートルネックとジーンズだったが、女物にしては少し大きいような気もした。
視線を巡らせれば先ほど躓いた蔦のようなものが
せっせと洋服を畳んでいるのが見える。
ひょっとしたらこちらかもしれないとその服も取り上げ、
大きな籠にふたつを入れて、彼女の側へ戻った。]
…。
[籠を床に置き、籠のふちをとんとんと叩いた後、
少し離れて背中を見せて座り込む。]
[じゃーん、と可愛らしい声が聞こえて笑みがこぼれた。
呼ばれて振り向いたときにも、少しそれが残っていただろう。
大きめの服を着ている彼女は、控えめに言っても可愛い。
うんうんと頷いて、そのあたりから椅子を二つ持ってくる。
ひとつを彼女の前に置いて、自分はもうひとつに座った。
話を聞く体勢になる前にひとつ、
手のひらを立てて彼女の方へ向け、
自分を指さしてから、喉の上に二本の人差指で×印を作ってみせた。]
[───と、
背後から忍び寄る気配に気づいたのは、
まさに飛びかかられた直後だった。
咄嗟に半身をひねって首筋を庇ったのは、ゲームの主旨を思えばこそ。
左の上腕に鋭い痛みを感じながら、
襲ってきたものを振り払おうと強く腕を振る。]
[飛びかかられた瞬間は相手を認識できなかったが、
小さな黒い毛玉、───猫に襲われているのだと理解する。
もちろん、ただの猫ではないだろう。
振り落とそうとすれば猫はますます強くしがみつき
牙を深く食い込ませようとしてくる。
簡単には引き剥がせないとみて、床を蹴って飛んだ。
黒猫が張り付く肩から壁へ叩きつけ、
強引にでも振り落とそうと試みる。───]
― 温泉 ―
[壁に打ち付けて叩き落とさんとすれば、
黒い獣はしなやかに逃れてなお牙を立てる。
逆にこちらは勢い余って壁に強くぶつかりすぎ、
軽くめまいを起こしていた。
衝撃にくらりと揺れた頭が、
すぐに、別種の浮揚感に取って代わられる。
吸われる痛み。流れ出る命の源。
視界が、揺らぐ。]
[はっとして振り向けば背後にのたうつ蔦があった。
蔦の中に先の女性が取り込まれ、
蔦に貫かれた腹部から血が溢れている。
視界の端で黒猫だった男が走り去っていったが、
なおも襲い掛かってこないなら幸いだと思うことにする。
彼女を絡め取る蔦を払おうと手を伸ばしたところで、
自身もまた、死角から這寄る蔦に足をすくわれた。]
[鏡が近くになかったのが幸いだったのか不幸だったのか。
少々―――いやだいぶ足元が涼しい気もするが、
なにも着ていないよりはましだろう。
…たぶん。**]
/*
メモを見るまで自分の胸の刻印を忘れていた奴←
腰にタオル巻いておけばいいじゃんと思ったけど、
なにがあっても肌を晒せないから、ナース服でも仕方ないな!
― 温泉 ―
[改めて自分の姿を見下ろす。
うん。どう見ても女物の服だ。
足回りは動きやすくゆったりめに作られているが、
肩幅や胸回りは少々、いやだいぶ小さい。
実は、腰タオル一枚の方がまだましなんじゃ、
…という考えも一瞬よぎったが、諦めた。
胸の刻印は、そうそう人目に晒していいものではない。]
[なぜ彼は吸血鬼になったのだろう。
かつて、自分は血の親に初めての狩りの獲物に
この友を指定され、それを拒んで逃げ出した。
殺すなど、とてもできなかった。
もしや、袂を分かった血の親が
自分へのあてつけに彼を、…とも思ったが、
そうだとしたら、自分はどんな顔をすればいいのだろう。
ふたりの遣り取りを見ながら腕を組み、壁に背を付ける。
びり、と音がして、肩が少し破れた。]
[ローレルが状況を説明するのを聞きながら、ふと眉を上げる。
吸血鬼ならば、怪我がすぐに治るのは普通ではないのか?
だが、吸血鬼にもいろいろいるから、とも思う。
名を確認されて頷いた後は、また静かに話を聞いていた。**]
/*
きっとおじさんと言われると微妙な顔するお年頃ですが、
正確な年齢はセルウィンのために決めないでおいてやるんだぜ、なのです。
最初から年の離れた友人だった、としておけば問題はないのか。
[口を閉じたまま近くにある小卓に指を置く。
指先が辿る形は、四角の上に三角を三つほど。
足元を指さし、図形を描いたあたりをとんとんと叩き、
別の手で自分と二人を指した後、
小卓の上の指を滑らせて、外側に向かう矢印を書く。
最期に、ゲーム、と綴った。]
/*
飴がぽんぽん飛び交ってるな。
みんな、そんなに話してるのか。
ところで、アルビンの灰ptが枯渇してるとか、なにごとだ…
声無しの タクマは、ランダム を投票先に選びました。
声無しの タクマは、ランダム を能力(守る)の対象に選びました。
[ゲームを楽しむつもりはない。
ローレルに言われて、少し明るい顔で頷く。
少なくとも、そこは一致しているのだ。
少し離れたローレルの方へ踏み出して、
肩を軽く叩くよう手を伸ばす。
感謝の意を込めて。]
[どうしようもない、などと暗い顔をするセルウィンにも、
肩に回すような形で手を伸ばした。
小さく笑いながら首をまた横に振り、
浴室の扉を指してから、歩き出す。
ローレルにも目をやり、手招きしてから外を指さした。]
― 露天風呂 ―
[セルウィンと、ローレルと共に先へ進む。
室内へ戻るのではなく、外へと足を向けた。
自分にも行くあてなど無いけれど、
とりあえずは、城の外に近い場所まで行きたい。
ならば、露天風呂から出てみるのが近道だろう。
そんな考えだった。]
[向こう側を軽く確かめてくると合図を送ったあと、
露天風呂を囲う高い壁を身ひとつでよじ登り、
霧が立ち込める外側へ身体を落とす。
飛び降りた足が地面についたとき、
ぱっと顔を上げれば、下で待ってもらっていた二人がいた。]
………??
[確かに自分は向こう側へ降りたはずなのに、
飛び降りたら露天風呂の内側だった。
一体何がおきたのかと混乱するが、
ひとつ確かなのは、どうも一筋縄ではいかないということ。]
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