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[バシ、と苛烈な音が鳴った。
顔の前へ振り上げた左手が太い糸を打ち払い。けれどしなやかな鞭は手首へ絡みついた、その9秒]
炎はだめだよ
今はね
[チチチッ、小鳥の囀りのように舌を鳴らし、左手はそのまま撚られた糸を握る。
ぐいと後方へ引いた左手に、右手も鞭を掴み。相手が手放さないならば引き寄せようと力比べに至る1(6x1)秒]
[引き合う力が拮抗してから、相手が飛び込んでくるまでが2秒。
両手に掴んだ鞭を緩めながら上方へあげ、迎え入れるアーチを作った]
よかった。火傷は好きじゃなくてね
[蜘蛛の糸で描いた半輪を潜って肘打ちが叩き込まれる。
胸を鎧う筋肉が拉ぎ、胸郭の折れる衝撃が甘く走った]
…
[肘のリーチは短く、突進の威力を十分に通すなら途中で勢いは殺せまい、と。胸を広げた抱擁の姿勢。
飛び入ってきた男は腕と糸で編まれた輪の中だ。
打ち込まれて後方へ弾ける右半身、左脚は強引に前へ出し──]
とらえたよ?
[腕を背に回し、ひたりと腰を引き寄せた。
優しい囁きは重く落ちる]
私達の腕で安らぎ、翼休めなさい
[呪縛と誘惑の力を帯びた声を耳朶から脳髄へ。
意志強きものなればこの程度で堕ちたりはしないだろうが、動きを鈍らせれば十分。
砂時計はおよそ半分まで時を落としていた。
鞭を握ったままの右手で相手の顎を上げ、唇を重ねる。
8(10x1)秒遅れて、こふ、とこぼした小さな咳に、肺からせり上げた血の泡が混じった]
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>>76
やあ、開いたらロヴィンがいた
私達は勢いでちゅーしたことを反省しているけど後悔はしていない!
2,3秒なら挨拶だってことでごまかしがきくけど、8秒もぶちかましといて言い逃れは出来ないね…huhuhu
んっ…
[傷ついた胸を押しのけられて、喉奥で艶に呻く]
私達の牙を与えるのが、首だけだと思うか
…くちづけに応えてくださったなら、その舌が溶けるほどの快楽をあげようよ
[紅い唇を指先で拭う。
喀血の色が爪を染めた]
けれど、噛み千切られるのもたまらないね
私達の血を浴びて、人の子のふりをやめてみるかい?
[向けられる獣の笑みはこの心を弾ませる。
生けるものの躍動。剥き出される牙よ、獰猛の爪よ]
だけど時間がないからね──
[肩へと伸びてきた右腕を、跳ね上げた鉤爪が裂かんとした。
蜘蛛糸の渦が抱擁を求めるならば、先ほどと同じく流し目を向ける。作り出される先から枯らしていく力の行使は、その侵食速度をじわと10(4x3)秒ばかり抑えるもの]
永劫たる孤独と 私達の消えぬ渇きを
ひととき癒す慈雨となれ
[続く言葉は濃密な魔力の練り込まれた睦言。
接吻と、かつて彼の血の一雫を奪ったえにしとに働きかけ、いざなう。
跪いてその身と血を捧げよと。
右の腕は猛禽の爪ではなく、やわらかい指を曲げて拳を作った]
…強い子だね
[自分は自分だと言い切れる自我に、私達は惹かれる。
そして恭順を強いる睦言にあらがう誇り高さにも]
なればこそ欲しくもなる
[言霊に耐えることはできても、震える体は動けない6秒。
梟は右拳を放つ。
こちらへ伸びかけていた左腕をあげさせるようにひとつ、
左脇にひとつ、ふたつ、
半身へ相対するように動いて顔面へひとつ。
流れるように殴りつける重さは容赦など知らぬもの]
……
[呪縛の解けた後の男に、どれほどの抵抗が残っているかが残り5秒の結末を決めただろう。
浴室の床へ蹴倒し、伸し掛かり。
濃藍の髪を掴み上げて晒した喉笛へ鋭利な牙の突をうずめようとした時には、5(9x1)秒が経過していた]
[喉の皮膚を破り貫いた牙の暴虐は
深い喪失の痛みと、淫蕩な獣の快楽とを同時に与えるだろう。
くすくすと笑いながら唇を離すまで、時のとまるごとき吸血鬼との交歓はおそらくは、32(60x1)秒ほど**]
っ、 ぁ あ ……!
[普段触れられることも少ない箇所。
そこに突き立つ牙はささやかなようで遠慮が無い。
喪われ行く箇所に注ぎ込まれるような感覚は知るものと似ているようで違う。
与えられる相反するものを堪えようと、青年の手は相手の胸元を握り込んだ。
縋るようなそれは、長くも感じる交歓が終えるまで続く]
[牙抜いた双穴に舌を這わせ、
胸元を握る手に指を重ね合わせた]
そう?
貴方が可愛らしいから、本当は吸い尽くしてしまいたいほど
[お返しに噛み千切ってくれるの?と問うは笑み咲く声。
鼻先が触れるほど近く顔寄せる仕草は、攻撃を誘うようでも、口づけを強請るようでもあった]
しかし、そう。砂はすべて落ちたのだね
濃藍の君──貴方に是非預けたい土産がある
とはいえあるいは、重荷となるかも知れぬね
[さて、
お互い怪我もしたことだし!というわけで狼君をどーんとスライム風呂に突き落としたりした一幕の後]
……受け取るかは後で問おう
逢ってみるかい?
……それは、勘弁して欲しい
[吸い尽くされるのは困る、と小さく唸る。
お返しに、と問う声には一つ瞬いて寄せられる顔を、その瞳をじっと見遣る]
喉噛み千切っても死なねーってか。
……生ける屍だったっけね。
俺の牙はアンタの程繊細じゃねーぞ?
[血を吸うことなく、溢れさせるだけの牙。
昂ぶった時以外、牙で喉を狙うことは少ないのだが、望まれるのであれば厭うことはない。
是が返るなら、誘うような仕草に応じるように相手の細い喉に牙を当てた。
獣が獲物を仕留めるように、喉に対して横向きに口を開き、引き千切る仕草]
[獲物の喉を食い破る獣へ、悦びと共に身を委ね。
湯霧に混じる紅
やがて満ち足りた猛禽は浴槽に身を沈めて気怠く瞼を下げた。
得た血蜜より多くを失ったが些細なこと]
なかなかに悦いものだろう?
[何が、とは言わなかった。
自慢のスライム風呂は男の傷と消耗を癒しただろう]
[別室へと二本の脚で歩いていく梟は上機嫌。
幸いここでも首刈り兎にエンカウントすることなく、]
先日、貴方からすこし譲り受けた仔だよ
戦いの中で喪ったともさきほど聞いたね
[暖炉の前、古めかしいソファの隅。
クッションに埋もれるようにして膝を抱いて座る、女性とも少年ともつかない細い輪郭を指し示した]
どうも私達の知るスライムとは違ったようで、養殖が効かなくて
それで、古い知り合いが異界の鉱脈を──ああ、これはどうでも良いか
ともかく、ここまでは殖やせたのだけど入浴には使えなかった、というのが結論
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