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― 宇宙船 ―
[現れたのは、ひどくなじみ深い場所だった。
明らかに宇宙船の船室だとわかる内装。
ただ、動力が来ていてしかるべきところに反応はなく、
打ち捨てられて久しいという印象も受ける。
ひょっとして、ここは文明が発達していないのではなく、
一度滅びた世界なのではないか。
そんな気もした。]
[部屋には出入口がひとつ。
花束を抱えなおし、ある種の確信を持って歩み寄る。
スライドドアを引き開けて、その先へと進めば、
果たして、探していた人に巡り合った。]
会いに来ましたよ。陛下。
─── いえ、アプサラスさん。
[言い直して、にこりと笑った。]
えっ!?
サルークさんが、どうかしたの?
[薔薇を摘んでいる間に、ハンスの切羽詰まった声が届く。
なにか変事があったのかと慌てたけれども、
ほどなくベリアン本人の声が聞こえた。]
……ああ、びっくりした。
よっぽどぐっすり眠ってたんですね。
ハンスがあんなに慌てるくらい。
[現場の状況は見えないので、気楽にくすくすと笑う。]
― 宇宙船 ―
[正直なことをいえば面喰ったし、なにごとかと思ったし、
タイミング悪かったかなとか意外と可愛いんだなとか
いろいろ、いろいろ思ったりもしたのだけれど、
それを表に出さないのが政治家家系のDNAというもの。]
おくつろぎ中のところ、失礼します。
あなたと、話がしたくて。
[失礼にならない程度の笑顔で彼女が落ち着くのを待ったあと、いくらか近寄って言う。]
いろいろ、お話ししたいことがあるんです。
あなたのこととか、これからのこととか、この世界のこととか、
なぜ、たたかうのか、とか。
[それが核心だ、というように告げてから]
でもその前に、これをどうぞ。
[相手の呼吸を外すように、前に出た。]
これをお渡ししたかった。
あなたにお会いするというのに、
3回目までも持ち合わせがない、というのは
いくらなんでも恰好がつきませんから。
[両手で抱えていた薔薇の花束を差し出す。]
影武者?
それはすごいね。
[くすくすと笑いが続く。
ベリアンはよっぽど用心深いんだなとか、
実は、国の要人とかなのかな、とか思いつつ。]
そりゃあ、昼寝の邪魔はされたくないだろうからね。
[実感のこもった声で、なにやら頷いた。]
― 宇宙船の一室 ―
喜んでもらえたのなら、良かった。
[花束を受け取った時の彼女の様子を見て笑みを浮かべ、
こちらの問いに答えようという姿勢へ、頭を下げる。]
ありがとうございます。
あなたと話ができるのは、私も嬉しい。
[丁寧な物腰は臣下としてのものではなく、
ひとつの国、ひとつの時代の象徴に対する敬意を示したもの。
もっとも、こちらは上辺ばかりのものではない。]
[彼女から問いを得ると、困ったように眉を下げた。
深い傷を負った左腕を一瞥し、小さく息を吸う。
骨まで届いているのではないかという傷は凄惨だったが、
半面、どこか作り物めいてもいた。
あまり血の流れを感じさせないせいかもしれない。]
……ええ。お察しの通りです。
あなたは、先の大戦で崩御なさいました。
人類を再統一するという「一統」を掲げて
ご自身で軍の先頭に立っての末、です。
[問いを肯定してから、やや複雑な表情をする。]
本当に、記憶を失くしていらっしゃるのですね。
あなたに「至った」者のことも、覚えていませんか?
[わずか、悔しげな色が浮かんだ。]
あなたに問いたい。
この世界に来たとき、
たたかえ、という
あなたはなぜそれに従うのです?
あなたが覇道をこの世界で成就させたいのならそれでもかまいませんが、もしあなたが与えられた
あなたをそのようにしたものに、怒りを覚えるのです。
[飾るところなく心情を吐露して、真っ直ぐに女王たるものの目を見つめた。]
[たたかえという声に従うのも自分の意思で蹂躙するのも同じことだと、言い切った女王の言葉に、身体に緊張が走る。
だが、続く言葉に光明を見た。]
あなたは、───やはり、掴みきれないひとだ。
この世界の意思を、あなたはきっと凌駕する───…
[こちらへ歩み寄る彼女を迎えるために、少し姿勢を正し、]
………!
[頽れた姿に慌てて膝をつき、手を伸ばそうとした。]
声が───?
えっ、た、戦いを!!?
[不意に求められて、泡食った顔になる。
が、緊急を要すると察して立ち上がった。]
あっ…あなたに勝負を申し込みます!
わたしと、ダンスを───…っ!
[咄嗟に口をついたのは、頭の中にぽやんと浮かんできた言葉だった。
なお。ダンスの経験はない。]
[自分はいったいなにを言っているんだろう。
頭の中が真っ白になったが、ふるりと正気を呼び覚ます。
せいぜい、自信にあふれた顔を作ってみせた。]
私も、ダンスは士官学校のパーティー以来ですよ。
でも、身体は覚えているはずです。任せてください。
[宣言したものの、内心は緊張している。
旗艦の艦橋で大軍を指揮しているときよりも、よっぽど。]
音楽なら───
[きっと、そのあたりにあるはずだ。
ぐるりと周囲を探したところで、古い音楽プレイヤーを見つけた。
確か、ラジカセ、とかいうやつだ。
分かりやすくPLAYと書かれたボタンを押し込めば、チープな音質で曲が流れ出す。
覇王であるものと、軍司令官とのダンスの伴奏としては貧弱だが、これはこれでいいような気がした。]
勝負は、こうしましょう。
あなたは、御自分の思う通りに踊ってください。
私は、あなたをリードしようとします。
私のリードを振り切ってあなたが一曲踊りきれば、あなたの勝ち。
私が最後まであなたをリードできたら、私の勝ち。
いいですね?
[差し出された手を取る。
その柔らかさに、一瞬どきりとした。]
提督 ゲルトは、女王 アプサラス を能力(誘う)の対象に選びました。
こんなことなら私も、ちゃんと正装してくれば良かったのですが。
[ドレスでなくても美しい、
なんて気の利いた台詞は生憎浮かばなかった。
曲に乗せ、ステップを踏む。
軽やかさ、優雅さは望むべくもなかったが、
ただ思い描くのは星の海を行く船の姿。
時に激しく、時に大胆に変化するそらを征くように
彼女の動きの流れを読み、その先を行くよう身体を動かす。
長いような短いような一曲が終わったそのとき、前にいたのは─── 1(10x1)]
[ああ、………正直に正確に描写するならば、
最初から最後まで、振り回されっぱなしだった。]
…………これ、は…
[ちょっと動いただけなのに、すっかり息が上がっている。
もう少しちゃんと運動もしておくんだった、とか、今更遅い後悔。]
やっぱり、私はあなたに振り回される運命のようです。
前の戦いの時だってそうだった。
私は、一度もあなたに追いつくことが出来なくて、
ほんの少しも掴むことが出来なくて、
……私の大事な後輩が、あなたの手をとるのを見ていただけだ…
[悔しい、とすがすがしい、の相半ばする表情で言う。]
―――さて、戦いの結果は明らかですから、
なにかひとつ、私に命じてください。
どんなことでも、従いますよ。
[罰ゲーム、の感覚ではあったが、顔は案外と真剣だった。//]
はい、なんなりと。
[2点、命じると言う彼女の言葉に、殊勝に頷く。
死んで来いとか言われたらちょっと困るなぁ、
なんて呑気に考えていたが、]
─── ええ。それは、喜んで。
[命令を出して来るものを征服する。
それを手伝えと言う命に、顔を明るくして頷いた。
「神」への手討ちを宣言するさまを、実に彼女らしいと思いながら眺める。]
はい。──────はい??
[2つめ、という言葉の続きを、これも殊勝に待っていたが、
唐突な告白に、思わず顎が落ちた。]
嘘、って……
───ああ…。
[決着を付けたかったのだという理屈にしばし呆然と耳を傾け、やがてこれはまいったという顔で苦笑した。]
ええ。たしかに私とあなたは敵同士でした。
決着をつけていなかったのも、その通りです。
……まいったなぁ。
ほんとうになにからなにまで振り回されっぱなしだ。
[まさか、彼女の中でシロウと同列に近い扱いを受けるようになった、などということは思いもよらず、ただ彼女が笑うのには、これは振り回されても仕方ないなと実感する。]
では改めて、───
……と、その前に。
[言いかけて、少しだけ表情を真面目なものに戻した。]
あなたに、ぜひ見ていただきたいのです。
本来のあなたがかつて一統を志し、
今なお果てを目指していく世界を。
[言葉とともにイメージを想起する。
できるはずだ。
意志力を持ってこの世界に干渉し、データを書き換え、望む現象を現出させる。
右手を伸ばし、今は動かぬスクリーンのスイッチに触れる。
ヴン……と微かな駆動音とともに周囲のスクリーンが起動した。]
[瞬間、周囲を圧倒的な星空が包む。
どこまでも続く星の海。
その中を悠々と進む、一隻の船。
それは幻影だったのか。あるいは…]
───ここが、あなたの世界です。
[部屋の風景が元に戻ったあと、少し疲れた顔でそう言った。//]
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