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[遠い記憶の中心に焼きつく人も、ずっと変わらない。
――あの日左手に嵌っていたものは、少し違うものだけれど。
幼いながらに気取った一人の男児のプロポーズに、
ままごとだと思い込み、いいよ、とあっさり首を縦に振ろうとした日。
小さな花婿候補が、せっせと砂場に拵えた教会を踏み躙り、
無自覚な花嫁を略奪に兄が乱入したのは、間一髪のタイミングだったといえる。
裏庭に攫われ、懇々と言い含められる間も、
何故兄がお説教を始めたのかは、実のところあまり理解していなかった。
――それでも、懸命な顔が可愛らしく、愛おしくて。
無性に嬉しくなって、じゃあお兄ちゃんと結婚する、と応えたのを覚えている]
[――幼い求婚者を突き飛ばした兄が、挙式後まもなく
先生に叱りつけられたのは、碌に覚えていなかったが。
少し不器用に編まれた白詰草の指輪が、しっくりと薬指に収まる様を、隣で満足げに眺めてばかりいたから*]
……ああ、あれは。
別に使おうと思ったんじゃなくて、
[――より鮮明に、覚えておきたかっただけ。
書き散らしたのは、人伝の情報と、八つ当たりめいた恨み言。
持て余したものを、ただ吐き出しただけ]
お好きにどうぞ、読み物にもならない自信あるけど。
[予想はついた兄の行動、提出前にその手に回収されるレポートを見送って立ち上がる>>590]
…何かそういう事らしいから、お説教好きな先生に
ちょっと呼び出されてくるね。
[同席する友人達に渋面を向け、ご馳走様、と食堂を後にする]
[距離を空けず、兄の後ろを大人しく歩く。
傍近くで振り返った長身に、思わず上体を反らして、何とかその場に踏み留まる。
直に一歩を踏み出し、兄の歩む先へ。
レポートの冒頭をわざわざ読み上げ始める横顔を、
一度尖った視線で刺して]
……音読の教材にするとまでは、聞いてないけど?
とりたてて珍しくもないでしょ、大概は無難にこなしてる。
[すい、と泳ぐように赤毛が抜けて行く。
己も歩みを再開させ、夜の中庭が全面硝子に映る廊下を渡る。
特段行く宛ても無いが、部屋に戻れば妹とは別れねばならぬ。
それが惜しくて、引き止めるように声を続けた。]
―――…無難でも悪くないさ。レポートなんてそんなものだ。
ただ―――…、お前が如何思った、と云う感想は無いんだな。
[朗々と語るような真似はしない。
彼女の気が惹けたなら、それ以上朗読で辱めることなく所感を添え。
アウトプットに難がある己ならいざ知らず、それらは妹の領分だ。]
源氏物語まで引き合いに出したのにな。
六条御息所に興味が?
[少しだけ、意地悪な口調で首を捻る。
彼女を追い抜くことなく、半歩後ろを歩む兄。
今となっては何時もの光景だ。
少し前は隣を歩み、ずっと前は彼女が後ろに居た。
すれ違うように変わってしまった距離を、
未だ埋められないのは、禊きれなかった悪癖の所為か。
僅かに瞳を揺らしつつ、細い溜息を吐き出した。]
……え、全部、あたしの感想じゃない?
印象に、発見に、興味関心。
情報源はネットだけど、そのへんは全部自前だもん。
[兄の示唆を薄ら察しながら、要点だけ答える]
それ以上は、今必要じゃないでしょ。
求められてないものをわざわざ付け足すなんて、…面倒。
……ああ。
どっちかというと寧ろ嫌いだな、ああいう人。
[無自覚に恋敵を呪い殺す程、独占を求め焦がれる男に、
唯欲しいのだと強請る事も叶わなかった東宮妃]
嫉妬深くて、煮えきらなくて、そのくせ未練がましい。
[引け目と臆病を理由に、別離を選ぶ独りよがりも、全て]
[半歩後ろから追い着く、微かな溜息。
突き放せば、惑うか呆れるのが当然だと理解している、けれど]
――――……、
[中庭を透かす硝子に、知らず兄の面影を探し求め、
ふらりと視線が惑う]
つまり、書けなかったのではなく、
面倒だから書かなかったのか。
―――…クラスでも優等生の琉璃がな。
[回りくどい言い方で、声が彼女の背中を舐め。
へぇ、と余計な一言を皮肉屋然と足すのは趣味の悪さ。
因みに男子に限定すれば、最優良とされるのは皇だが、
その名が脳裏を過ぎると、彼女の背より視線を外し、一時遠泳。]
/*
うーん……おにいちゃんのこの、読み……
相変わらず、おにいちゃんはおにいちゃんである。
描写かなり最低限なのに、距離のとり方まで、今ので何故そうも綺麗に察して…
しかしシリアス成分増やしてしまったよ、ごめんね…!
ポーカーの流れにぶち込んでしまいました。
そこまで綺麗に拾ってくれるとは予想……してたけど。
斎王の母でも、人の業や変わらず。
俺は源氏の方が余程と思うが、これは琉璃との性差だろうな。
[引き取った娘を、やがて子として見れなくなった邪な男。
あそこまで腰は軽くないが、妹に注ぐのは親愛ばかりに非ず、
己も思うところが無くはない。
不意に浮かぶのは、先ほどクラスメイトにやり返された言葉。
瞬きで、意識を引き寄せ、頭を振った。]
―――…ああ、此処から中庭に出れるようだ。
琉璃、涼むにはもう寒いが出てみるか。
秋だ、高殿の姫君ほどじゃないが月が美しい。
[いつも彼女に差し出していた掌は今も変わらず、
『宵散歩』と題された中庭の遊歩道に続く扉へ誘う。
紅葉シーズンを前に極控えめながらライトアップされてはいるが、
青い葉もまだ多く、その上、木枯らしが冷たい為に人気は無い。]
無難にこなした結果、偶々そこに落ち着いただけで、
元々品行方正やってるつもりないもん。
そもそも同じクラスで幸兄と並んでる時点で、騒々しい
問題児枠に入ってもおかしくないと思うんだけどなぁ…
[皮肉る気配に、嫌味たらしく応酬し]
………、
[彷徨う彼女の眼差しを視線絡めて拾い、
己が最も恐れるものは、己が最も壊したいもの。]
―――…問題児なのか、俺は。
それは知らなかったな、―――…ふぅん。
[引き寄せた腕に力を込めた切欠は、彼女の眸の色と、
男も女も大差ない、悋気と癇癪所以であった。]
琉璃。問題児の方が、好きか。
[彼女の二の腕捕まえ、社交ダンスめいてエスコートした中庭。
体温浚う気の早い北風が、二色の赤毛を躍らせた。**]
そうね、無節操な所は確かにどうかと思うな。
ああいう人も、…好きじゃない。
[至上と想う相手がいようと、余所に興を惹かれる侭に移ろう
色好みは、理解も受容もしがたく]
―――……、なに。
やめてよ、そういう柄じゃない真似。
[寂光を背に立つ姿は夜に映えても、月見に誘い出される姫君など此処にはいない。焦れた溜息を挟んで、ぱしりと手を叩き]
それは――…、 嫌いじゃない、かな。
[他人の定めた規範より、己を貫き通す潔さも。
誰かの模範とされる程に、隙のない振舞いも。
半端な枠に落ち着き、遠く望むには、どちらも眩しく映る。
対照為す二人のクラスメイトをふと想起して、羨望混じりの微笑が滲む]
[――不意に腕に食い込む圧は、兄から受けたことのない微かな痛みを伴って]
……幸、久――…?
[抗議を張り上げる暇を奪われ、ひとりでに足が一歩、
中庭に踏み出した。
僅か触れ合う肌よりも、絡みつく声と視線が孕む熱に、立ち竦む。
髪を直に弄る秋風の温度も感じ取れない距離へと、誘われる*]
/*
うん、皆を眺めるのも楽しい。でも寝よう。
今日もおにいちゃんがおにいちゃんで格好いい。すき。
高殿兄妹は成績が良いだけで、正直問題児枠じゃないかと当初から思ってはいる、よ…!(目逸らし
[風は冷たい、遠くに聞こえる声は賑やかしい。
代わりに中庭は静かで薄暗い。
飛び石を踏み、小さく呼気を漏らすと、
二の腕は捕獲の勢いに任せ、胸板が掠めるほどの接近。
直に触れ合わずとも、互いの体温を知れる距離。]
また、答えが玉虫色だ。
[唇で笑った兄の掌は乾いた音に合わせて宙を舞う。
軽い拒絶に散った右手を視界の端で見送り、
琉璃。と改めて声を潜めた。]
――…駄目だぞ。
[そっと囁く声が彼女の鼓膜を擽り、同じ色合いの眸を見下ろし覗く。
空には明るい月が居て、頬を弄る風は旅先の知らない空気。]
…………絶対に、駄目だ。
[主語も無く繰り返す言葉は、遥かなる昔の約束。
ほんの少しばかり強い語気で、断言を下してみせた。]
………、なんのこと。
さっきから幸兄の言ってる意味が、よくわかんない。
[彼の指摘は、意図も自覚もある悪癖を鋭く突いた。
――妹の事は解るのに、と友人が彼に向けた冗句を思い出す。
あれから半日しか経ていないのが嘘のような心地で、低めた声音で頑なに白を切る]
[――――狡い。こんな距離で、そんな声を聞かせるのは。
必要なだけの長さを持たない言葉が、遠い記憶の何時かを思わせるに充分な意志に彩られ]
……なに、が――……
[僅か身じろげば触れ合える距離に、寄り添うことも遠ざかることもできず、脚は縫い止められる。
微かな風音に紛れる声だけが、弱々しく足掻く]
[彼を手繰り寄せたいのか、突き離したいのかも曖昧な、
玉虫色の答えしか返せない自分こそ。
―――余程狡いと、自覚がある。
覗きこむ眸の真直ぐな色に堪えられず、視線を僅かに逸らす]
さっきから?
いいや、もっと前からだろう、琉璃。
[取り繕えば、別の場所が綻びて、掻き合せるほどに襤褸が出る。
兄は追及の手を緩めず、更に一手を置いて描く包囲網。]
―――…それとも、
[薄い笑みを形作る顔に、笑わぬ勁い眼差し。
翡翠の色を数度瞬かせ、合わせ鏡のように彼女の眸に映すのは、
純粋に未来を誓った幼い兄の顔ではない。
背も伸びて、声も低くなり、力もずっと強くなった男の顔。]
直截に告げたら、聞いてくれるのか。
[トン、と更に一手。彼女の顔横に突く逞しい腕。
距離を一層削り、追い詰められる彼女の背を大樹が迎え]
[薄く開いた唇から呼気を漏らし、彼女の視界を遮る長躯。
月明かりさえも背で遮り、己の庇護と言う名の影の中へ幽閉。]
唯一人だって赦さない。
誰一人たりとも認めない。
―――…琉璃に、俺以外を選ばせない。
[静かに伝える傲慢は、妹に甘い兄らしからず、反論を赦さぬ口調。
僅かばかり顎を引くと、鼻先触れ合うほどに良く似た面差しが迫り。
琉璃、と囁き続ける声が熱くて。
独占欲の強い男の顔した兄は、夜気にすら彼女を渡さなかった。]
[ふるりと揺れた眸が、緩やかに見開く]
…………、……
[兄が暗に知らせたその意味に。もっと前から――それは、つまり]
―――…気づい、て……?
[無分別だった幼き日を過ぎても、分不相応に注がれ続けた視線。
無自覚を口実にして、甘受してきた自分に、一体何時から]
[一緒に歳を重ねる毎に、ぐんと逞しさを増した腕。
日を追う毎に、細い侭の腕では抗いようのない差が広がった。
固く閉ざす庇護の腕から、抜け出すことも出来ない程に]
………、知ってて、ずっと――……?
[見慣れぬ男の顔を仰ぐ瞳が、問い質す声が、瞬く間も無く揺らぐ]
[大樹に立てた腕に、力が篭り強張った。
退路を断って、閉じ込めて、傲岸に振舞う癖に、
一歩踏み込むための勢いが怯懦の沼に嵌る。
成長に伴い、大人の身体を得たが、子供の心は失ってしまった。
屈託無く「琉璃は俺のフィアンセだから」と、覚えたばかりの単語を使い、良く回らぬ舌で横文字唱えていたあの頃とは違う。
妹の了承さえあれば良いと、愚直に信じていた幼子はもう居ない。]
―――…目、閉じないのか。
[こんな夜半に中庭に出る酔狂など他に居ないのに、
絞って聞かせる声は彼女の鼓膜だけを擽った。]
キスを―――…、してしまうぞ?
[足りない場所を補って育ってきた仲睦まじい兄妹は、
[風が木々を騒がせ、背中を押した。
清めに溶けた悪癖と、別離を厭う本心と、
それに、彼女が羨む答えの在り処が綯い交ぜになり、上体が傾く。
ゆっくりと伏せる瞳は暗に彼女へ拒絶を赦す。
頬を張られては、様にもならず、同室者に茶化されもするだろうが、
そんなことは思考の外へ放り投げた。
拒むな、なんて分の悪い賭けには張れなくて、
疑問を晴らす回答も、用意出来ず。
雄弁なのは、口唇から微かに零れる熱い吐息だけ。]
――…甘やかさないでって、言ったのに。
[兄妹には不釣り合いな距離に、兄妹だからと口実を上乗せして、
甘え続けた自分を、ずっと知りながら――]
………言ってるのに、いつも…、
[言い訳を取り上げ、直截な言葉で追い立てて、逃げ場を塞いでいく傲慢な腕。
独りでは選べなかった答えを、選びとらせるよう仕向ける甘い手口に、眩む瞳を緩く閉ざす]
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