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11人目、声無しの タクマ が参加しました。
声無しの タクマは、おまかせ を希望しました(他の人には見えません)。
― 城門前 ―
……。
[男は無言で城門を見上げた。
一言も発することなく門を見据え、
その向こうにそびえる古城を見つめた。
そして唇を引き結んだまま、足を踏み出した。]
[男は、言葉を持たなかった。
生まれつきではない。言葉を知らないのでもない。
ある罪を犯した時より、声を捨てたのだ。
同属を襲い、血を奪い尽くし、滅ぼした。
血に塗れた姿で取り押さえられた時も、
捕えられ尋問を受けた時も一切の説明も釈明も拒絶し、
ただひたすらに沈黙を以て刑に服してきた。]
[男の胸には、黒い茨の印が刻まれている。
罪人である印、そして男を縛る印だ。
力のある吸血鬼ならば、呼びかけるだけで印を目覚めさせることができるだろう。
恩赦を受け、城を脱することができれば印も消されることになっているが、どちらにせよ選択肢はない。
服の上から一度紋様を押さえ、
城の入口を目指して、黙々と歩いていった。**]
― 書斎 ―
[とっさに取った謝罪の合間、耳はなにかの駆動音を捉えていた。
見た、というほどではないが、何かあるのは悟ったというところ。
視線を書棚へ向け、男へと戻し、僅かに逡巡を挟んで頷く。]
[隠し扉を発見した、との言葉に、軽く目を見開いた。
もう一度、書棚に視線を向けて思案の顔をした後、
ゆっくりと首を横に振る。
それから周囲を見回し、一冊の本の背表紙を指でなぞって見せた。
背表紙に書かれた題名は、
『おたのしみはこれから』 ]
/*
なるべく内心の思考や感情をト書きに出さないようにしながら、どこまで相手に伝えられるかという遊びをしています。
つき合わせてすまないな。
[相手が机の上に手を伸ばし、ペーパーナイフを手に取るのを見ながら、
先ほど音がしたらしき本棚を観察する。
と、彼の手が素早く撓るのが見えた。]
……!
[息を呑み、身体をこわばらせる。
金属の刃が髪を弾く微かな音が、耳元で弾けた。]
[それ以上の動きを見せず、リエヴルと名乗った相手を眺め、
もう一度手を軽く振った。
今度は、心の緊張を解くために。]
……。
[胸に手を当てて一礼したあと、宙に文字を綴る。
タクマ、と。]
[音として出された名に頷く。
続く問いには、曖昧な表情を浮かべた。
気分を害したというそぶりは見せず、
ゆるく握った右の拳を左胸の上に置く。
誓いを示す仕草。
それから、握った拳をほどいて、手をリエヴルに差し出した。]
[握った手のひらは固く、厚い。
これは戦いに身を置く者の手。
自分も武術は嗜んでいたけれども、彼には及ばないだろう。
握った手から情が伝わる。
頷く視線に、信を込める。
明かりを探しに行くという彼のために道を空け、
自分を指さしてから部屋の床を指した。
リエヴルの足音を背中で聞きながら、本棚へ向かう。
興味はどちらかと言えば隠し扉よりも書のほうにあった。**]
― 書斎 ―
[見上げるほどの本棚に並ぶは、貴重な書の数々。
数部しか現存しないと言われる写本もあれば、
失われた言語と思しき文字で書かれたものもある。
背表紙に触れただけで、魔力がちりりと指を刺すような、
正真正銘の魔道書まで存在した。
圧倒され見入っていたら、背後に羽音が現れた。]
[振り向く間さえなく、背中のすぐ側に気配が生まれる。]
───!!
[背筋を強張らせ、首だけを僅かに巡らせて背後を窺った。
視界の端に滴るような紅が揺らぐ。
掛けられた言葉に答える声はない。
なにも持っていないと示すよう両手を軽く広げ、
ゆっくりと前に一歩を踏み出して、距離を離すよう試みた。]
/*
そういえば獣化の件。そろそろ決めないとなぁ。
候補はあるんだけれども…
獣化するならなんかごっついのもいいよね。熊とか。
↓
チップどうしようかな。
↓
お、このグラいいじゃん。こいつにしよう。
↓
はっ。名前がタクマだ。た、タクマだから熊に変身するとか思われたらどうしよう。違うんですよー、熊が先だったんですよー。
……という妙な叫びを上げたい衝動と戦っている。
― 書斎 ―
[離れることは許されず、背に添う柔らかさが逃げ道を奪う。
書架に手をつけば首筋に吐息が触れ、
背後から伸びた腕が横への道をひとつ塞ぐ。]
、 … 。
[口を開き、それをまた閉じ、
ただ後ろの気配に感覚を研ぎ澄ました。
抜け道を見つけたのを知られていること。
こちらの名を知られていること。
ひとつひとつに肩が小さく動く。]
[背中に触れた感触が存在感を増した。
身体を貫いていった意思が刻印をざわめかせる。
ざわりと蠢いた茨が服をすり抜けて半実体化する。。
今はそれ以上動くことはなかった。
だが、形を成した鋭い棘が、肌にいくつか掻き傷を散らす。
書庫の空気に、微かな血臭が混ざった。]
[捩るように動かした背から手が離れる。
肩を書架について、ようやく相手の顔を見た。
沈黙に混ざるのは、複雑な色。
恐れと、畏れと、押し殺し塗り込められた恍惚と。]
…… … 。
[離れゆく手へ指先が伸びかけ、
すぐに拳が強く握りこまれた。]
[柔らかくも蠱惑的な囁きから顔を背け、浅く息を吐く。
気配が消え、羽音の残響が消えた後、
崩れるように膝を床についた。
これでわかった。
自分がなにに選ばれたのか。
既に紋様に戻った刻印を手で押さえ、
低く低く、呻いた。**]
[どれほどそうしていただろうか。
かき乱された胸が落ち着けば、のろのろと立ち上がる。
どろほど貴重な書があろうと、あるいは宝物があろうと、
ここは出ていくべき場所だった。
それも、能う限り早急に。
書庫を出て探索を始める。
しかしすぐに城の複雑さに辟易することとなった。
さきほどの書庫に城の見取り図でもなかっただろうか。
足を戻しかけたとき、廊下の先に人影を見いだした。]
― 廊下 ―
[廊下の向こうでしっかりと抱き合っているのは、
あれは、男女のように見えた。
自分とて草木でも朴念仁でもないから
男と女が抱き合っているのを無駄に嫌悪することもないし
邪魔しようという気も起きない。
静かに立ち去ろうとして踵を返しかけ、
なにかに気づいて慌てて振り返る。
その拍子、飾られていた彫刻に手が当たって落ち、
盛大な音を立てた。]
[さいていしゃ。
声を上げぬままに、唇が言葉を綴る。
知らず、胸に手を当てて、薄れ消え行く少女の言葉を聞いていた。
ふさわしくないもの。
───それは、すなわち、]
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