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14人目、高殿 琉璃 ガートルード が参加しました。
高殿 琉璃 ガートルードは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
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村建て様方、愛方兼おにいちゃん、
いつもお世話になってます今回もよろしく。
同級生のみんなも、どうぞよろしくね。
[同世代平均を上回って発育の良い肢体を、今日ばかりは私服に押し込め、肩を聳やかして人混みを掻き分ける。
足元だけは歳相応にローファーの踵を、カツンと音高くプラットフォームに打ちつけ、車内に退避する。
常より粗雑な所作、ひたすらに前方に凝らす眼差しにも、
くっきりと険を滲ませ]
18年も引き延ばせたなら、もう少し、何ていうか――……
タイミングってもんがあるでしょ……?
[――選りによって、非日常の空間を目前に控えて、というのは
時機として如何なものか。
ぼそりと苦情を向ける先は、努めて視界に入れないようにしている
傍らの『兄』ではなく。
漸く嘆息を聞かせずに済む距離へと離れた、二人の両親へと]
[引率の教師と擦れ違えば、一面の暗色に浮く出で立ちに
視線が走った気がして]
すみません、こんな格好で。
ちょっと制服が、使い物にならなくなりまして。
卒業間近で新調する羽目になりそうです…
[先手を打って頭を下げつつ、力無い声音と表情に、
ありったけの萎らしさを塗す。
優等生として教師陣の覚えめでたい皇には及ばないが、
日頃のそつのなさと安定した成績が、今こそ物を言ってはくれないかと願いを込めて]
[その場を遣り過ごすと、早々に空いた席を見つけ、周囲の顔ぶれも碌に確かめず座り込んだ。
頭を占有し続けている事態を反芻すれば、また細く溜息が零れる。
両親に対しては、然程動じていない振りを貫いた心算ではあるが――誰より身近な片割れとなると、話は別だ。
色々と複雑な心情を彼に勘付かれるくらいなら、と硬く閉ざしていた態度を、心持ち緩めて]
………、…お菓子でも、食べる?
[やがて切り出した話題は、たまたま隣に居合わせた同級生に
持ち掛けるかのような、当たり障りのないもの]
[お裾分けでもしようかと、ポッキーの箱を片手に、手近な前の座席へひょこりと顔を覗かせる。
並び合わせた金髪と黒髪、浅黒い肌に白い肌。
主観ではどちらも男前に分類できる二人が、絵面としては好対照に映り]
へぇ、珍しい組み合わせ――…、
[率直な感想を途切らせたのは、不良とも評される青年が、優等生の胸倉に手を伸ばす姿>>116]
……お取り込み中、失礼?
[独りごとめいた詫びを漏らすと、どうぞ続けて、とばかりに
再び自席に収まった。
こちらも十二分に取り込み中である今は、我関せずを決め込むべく]
[ジッ、と彼女に注ぐ視線に力を込めて、眼圧を掛ける。
己と彼女は列記とした兄妹であり、双子と云う生まれる前からの縁に絡め取られた存在―――だと思っていた。
有り体に言えば、己は彼女に並々ならぬ感情を抱いている。
事実を知るまでは血を分けた実の肉親であるから保護欲が疼くのは致し方のない、いわば生理現象だと考えている節があった。
だが、両親から真実を打ち明けられた時に覚えたのは、自身が養子であることへの疎外感と悲しみではなかった。
覚えたのは、唯々、深い喜悦。
両親の告白を聞き、思わず席を立って部屋に戻った兄を、両親や妹は衝撃的な事実への動揺と取っただろうか。しかし、この兄は非常に図太い神経を有していた。
単にあまりの喜びが押さえ切れなかったのだ。
この、18年傍で愛でてきた比類なき姫君の、隣を埋める資格が己にも在ったのだと。
―――以来、兄を気取る男はこうして彼女を見つめる度に、恍惚の溜息を淡く零すようになっていた。**]
[暫しの沈黙を破った兄は、ごく真面目な顔つきで、
突拍子もない言葉を口にした>>136]
ん、ありがと。
でも別に、今そういう心配はしてないかな…
[繰り出す突っ込みは、普段よりも鈍く、歯切れ悪い]
逸れ易いって何が?幸兄の言動が?
それなら確かに、通常運転に変わりはないかもね。
[何事も無かったかのように、遺憾なく過保護ぶりを発揮する姿に頭痛を覚え、兄の言いつけを混ぜっ返す**]
― 数日前・高殿家 ―
[幾度思い返せど、両親の機の読み方は――有り得ない。
その一言に尽きる。
久々に自宅に戻った両親は、四本の腕で運びうる限りの土産品と、
そのどれ一つとして思い出せなくなる程の置き土産をもたらした]
[旅支度を整えた鞄の持ち手に、兄が防犯ブザーを括りつけるそばから、黙々と外していく>>131
旅先であれ、護衛よろしく張りつく兄が目に浮かぶ上、
三個は備えを過ぎて不要だろう。何より、邪魔だ。
――家族会議の開催を告げられたのは、不毛な攻防に、
いささか疲労と空腹を覚え出した折]
…ああ、丁度良かった。ご飯冷めちゃうとこだった。
食べながらでもいい?
多めに作ったから、お母さんとお父さんも食べてく?
[キッチンに移動しつつ尋ねれば、両親は兄妹を見比べ、
黙り込んでいる。
マイペースな両親は放っておくことにして、作り置きの料理を
皿によそっては兄に渡し、共同作業でテーブルを埋め尽くす。
秋刀魚の塩焼きに筑前煮、菠薐草のお浸しに舞茸ご飯。
由緒正しき日本の食卓を前に、家族会議は仕切り直された]
幸兄、お醤油とって?
…違う違う、そっちはソースだってば。
[緊張感に欠ける遣り取りを横目に、両親は黙り込んだまま。
重々しく父が口を開いたのは――間の悪さの見本ともいえるタイミング>>132
鈍い音を立てて落下した醤油さしは、着替えそびれていた制服の胸元に跳ね返り、みるみる染みを広げ]
―――………、あのさぁ。
そういう性質の悪い冗談は、せめて時と場合を選んで…
[醤油の染みって落ちるんだっけ、と溢しつつ、
ぞんざいに台拭きで胸元を拭う。
再び訪れた沈黙に視線を上げれば、深刻な両親の面持ち]
[――そうして、一時中断した作業は、再開されることなく*]
― 現在 ―
[今日の装いに兄が向けた言葉も、家族会議の顛末を思い出させるばかり>>136
何時になく歯切れ悪い口調を揶揄する兄に、一度は緩めた眉間を再び顰め>>169
堂々とした宣言に続く彼の行動を見てとれば、刻まれる皺はますます深くなる]
………、幸久。
[まれな呼称も声音も、苛立ちを隠さず]
[口元に差し出される、綺麗に半分欠けたポッキー>>169
彼を睨みつけながら浅く咥え、唇で受け取る。
丁寧に先端を摘むと、ポキリと小気味よい音を立て、
更に半分に噛み砕き]
芯、折れたけど。たった今。
[18年貫き通された、彼の真髄。
妹ではなかったと知った今も変わらぬ、見事なまでのシスコンぶり。
苦りきった顔で、ぽりぽりと残骸を咀嚼する]
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