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13人目、親衛隊員 レト が参加しました。
親衛隊員 レトは、審判者 を希望しました(他の人には見えません)。
― 王都陥落の日 ―
[その時、男は城内にいた。
窓へと視線を向ければ、いつもどおりの夕焼け、いつもどおりの平和な日常だった。]
[日常を破ったのは、飛来した光の尾。
そのすぐ後に立ち上がった火柱が、硝子越しに城内を赤く照らした。]
――――――……っ!?
[轟音、爆音、そして悲鳴。
逃げ惑う人々。
押し寄せる黒の濁流。
想像したこともなかった風景に、一瞬だけ呆然とするも、親衛隊長の声が聞こえればすぐさま顔を上げる。]
「王の間に何人たりとも通すなっ。」
はっ!
[正確な状況など把握できておらずとも、とりあえずの命令が隊長から飛べば、隊員たちはそれぞれ散開する。
男も、悲鳴の聞こえたほうへと向かえば。
そこは、玉座へと向かう回廊、ちょうどオークの一団が逃げ惑う女官や文官たちを襲っているところ。]
貴様らっ……!
[腰のサーベルを抜きながら、男は駆け寄り、一体のオークの首筋を正確になぎ払った。]
[何せここはオークたちにとっては狭いく不利な場所。幾ら数が居ようとも襲い掛かってこれるのはせいぜい2体まで。
男はさしたる傷も負わず、オークたちを切り伏せていくも、それでも数の暴力でじりじりと押されていく。
疲労は溜まり、動きが鈍る。
サーベルを握る手は、半ば感覚がなくなっているようにも思える。
そのとき、一体のオークが低い姿勢で突っ込んできた。
跳びこえて避けようとするも間に合わず、後ろへと吹っ飛ばされる。]
うぐっ・・・・・・!!!
[その後ろには壁などなく。
あるのは、赤い空。
男の身体はあっけなく、派手な音とともに水の中へと*沈んでいった。*]
[王都陥落の翌日。
ハーラルから程近い浜辺に、男の身体は流れ着く。
ずぶぬれの親衛隊の制服。
海水で冷え切り青褪めた肌。
意識はない。
それでも、右手にはサーベルをしっかりと*握り締めたまま*。]
― ??? ―
ぅ、・・・・・・。
[男が意識を取り戻したのは、それから数日後のこと。
緩慢に瞼を開けば、真っ先に目に飛び込ぶのは見知らぬ天井。
幾度か瞬いてから身体を起こそうとするも。]
―――っ!
[その瞬間身体に激痛が走り、かすれた声でうめけば、誰かの声がした。]
[その声の主は医者だと名乗った。
教えられたのは、浜辺に倒れており、ハールトの医院に収容され、今の今まで意識不明だったこと。
全身打撲及び複数の箇所を骨折していること。
そして、王都が陥落したこと。
少なくとも王と第一王子は殺されているらしい、と。]
あ、ぁ……。
[今までの人生で最悪の報せ。
男を支配するのは喪失感のみで、*涙すら出ない*。]
[医者が出て行き、一人きりになった病室。
男はしばらくぼんやりとしてた。
恐らくは、親衛隊の同僚も、親衛隊長である父も、王都に住んでいた家族も、生きてはいないだろう。
そして何より、王族を守るという親衛隊の職務を果たせず、自分は生き残ってしまった。]
[ああけども。]
[かすれた声でつぶやいたその名は。
喪失感に漂っていた男に射し込む、希望と言う名の光芒。]
[あの、奔放だけども、人を惹きつける魅力にあふれている様に思えた、隣国に留学中の第二王子。
恐らくは、もう既に隣国にもこの状況は伝わってる筈。
何も事を起こさないわけはないだろう。
まさか、たった3人で王都へ乗り込んだなどと知らぬまま、男はほんの僅か口元を緩めた。]
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