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私は主を待ち望みます。
私のたましいは、待ち望みます。
私は主の …っ、みことばを、待ちま、す。
[唱える声は時折揺れ、途切れた。
今この瞬間もなお絶え間ない責め苦に晒されているのだ。
それでもなお息を整え聖句を唱え心を保つ。
救い手は必ず現れると知っているがゆえに。**]
― 至聖庁にて ―
[時は暫し遡る。
いつもの儀式を行って魂の半身を送り出した後、
自身は近くの小さな教会へ赴いていた。
こうした教会のいくつかは、古い力を封じるために置かれている。
それらを見て回るのもまた自分たちの仕事だ。
確認はすぐに済むはずだった。
封印が緩んでないことを確認し、
これからも主の威光が及ぶよう祈りを捧げる。
それだけの仕事のはずだったのだが、
赴いたとき、封印は既に砕け散っていた。]
[仕組まれていたのだ。
半身との離別も、ここへの調査行も。
気づかされたのは、背後に強大な存在を感じたとき。
皮翼持つ蛇が長大な尾を絡めてきた時。]
『この時を待っていた。
おまえを穢し、堕とし、私のものとするときを』
[燃え盛る炎を思わせる声で蛇はしゃべり、
足元に混沌たる渦を呼んで、もろともに沈んでいく。
そうして、今に至る。]
― 霧の沼地 ―
[蛇の形をした魔は、自分をここへ繋いで消えた。
おそらく、瘴気満ちた沼でこの身の聖性を弱めたあと、喰らおうというのだろう。
『おまえの体は、門だ』
かつて、そう言われたことがある。
おまえの体は、いと高き天へ繋がっていると。
邪気を拭い去り、魔素を浄化する力は、一方で魔を惹きつけもした。
幾度も危機に陥ったことがある。
囚われるのも初めてではない。
そのたびに、救ってくれる手があった。]
― 霧の沼地 ―
[沼に澱んでいるのは、単なる泥濘などではない。
それは形をもった瘴気であり、一定の意思さえ備えていた。
手と同じように足もまた鎖に繋がれ、開かされている。
白い僧衣の下はなにもなく、闇の泥は容易に隙間に滑り込んで、肌の上を這いまわった。
巨大な蛞蝓を思わせる感触に柳眉が寄る。
腰から下のあらゆる場所を包み込まれ、背筋に痺れが走る。
だが侵略はそれだけに止まらなかった。]
[足の間、閉ざされた門へと瘴気は触手を伸ばす。
灯に群がる虫のごとく、光を求めてこじ開けようとする。
抵抗は、ほとんど意味をなさなかった。
滑らかな泥は自在に形を変え、圧力を増して易々と門を打ち破った。]
うっ…… …
[息がつまり、声が途切れる。
体の最奥がみちみちと満たされ、
それらが次々と爆ぜて溶け、
消え失せるまえに次が押し込まれてくる。
神経を焼かれるような灼熱感。
飛びそうな意識を、聖句を手繰って繋ぎとめる。]
[道を照らす光であれ。
己に課してきたとおりに、半身を導くべくうたを紡ぐ。
果たしてそれがどこまでを伝えるのか。
狂おしい熱を体の内に押しとどめようと、幾度か喘いだ**]
[自分とて、例外ではないのだけれど。
幾度となく彼の光を貪り食って癒されてきた。
その愉悦を深く知る身だ。
彼の力を正しく使い世を救わねばならないという思いと、鬩ぎあう独占欲は常に心の奥底にある。]
■第1イベント発生時(1d開始直後に投下)のあなたの状態について
以下のいずれかを選択してください。両方のミックスでもOKです。
1) あなたは、意識or記憶が、混乱しor操られており、相方の「救出者」を敵だと認識する。
2) あなたは、幽体離脱状態にあり、肉体は魔界のどこか(任意)にあって、相方の「救出者」と会うのは精神体である。
アレンジはご自由にどうぞ。
この状況になった原因も好きに決めていいです。(事故にあった、自分の魔法でそうした等)
もし、考えていた設定と齟齬が生じて困るなら、通常状態のままでも差し支えありません。
1d開始後、相方の「救出者」と会った後の好きなタイミングで正常に戻ってOKです。
また、正常に戻るのに必要な条件も好きに決めてくださってOKです
― 霧の沼地 ―
[ここに繋がれてどれほどの時が経ったのか。
時を数える術のない身には測りかねた。
色がなく、変化もない世界に感覚が麻痺していく。
だらかそれの訪れに、微かな喜びさえ感じた。
この責め苦の元凶たる皮翼の蛇の訪問でさえ。]
『少しは穢れに染まったか?
この程度では弱るのがせいぜいか?』
[沼の上を羽搏いて渡った蛇が、身体に絡みつく。
ちろちろと伸びる舌から顔を逸らした。]
『強情な贄であることだ。
我が力にて直接拉ぎ砕いてくれよう。』
[声から滲むものは不吉な結末を想起させる。
だがどうすることもできなかった。]
…わたしの体をいくら縛ろうとも、
わたしの魂を折ることなどできません。
わたしのこころは ───っあぁぁ…!
[蛇の牙に肌を貫かれ、悲鳴が唇をこぼれた。
注ぎ込まれる毒は魔素であって魔素のみではなく、
浄化しきれずに体内を侵していく。]
[毒が回った体からは力が抜け、
感覚ばかりは逆に鋭くなっていく。
最初の違和感は、下肢の間から訪れた。
今まで体内に入る端から浄化され弾けていた闇の触手が、消えずにそのままの圧力で内腑に分け入ってくる。]
あ、 ああぁっ、
いや だ っ、 こんな …っ
[内奥に蠢くものたちの感触。
引きまわされ、引きずり出される快感。
強烈な魔の暴掠に息が詰まる。]
[幾度か痙攣を繰り返したあと、瞳から光が消える。
力の失せた体に蛇は巻き付き、鎖を砕いて翼を広げた。
ずるり、と体が泥の中から引きだされ、
黒い泥濘がしばらく糸を引いたのちに零れ落ちる。
もはやその口から聖句は途絶えていた。]
[ただ響くのは魂の声]
クロゥ …
たすけ て …
[魂の半身を呼び求める叫び]
[有翼の蛇が司祭の体を運び去ったあと、
沼のほとりに銀の聖印が落ちていた。
常に首に掛かっていたそれは、魔には砕けぬ聖別されたもの。
護りでもあるそれを邪魔とみなして捨てていったものだろう。
その聖印を核として、なにかがおぼろに集まり、形を成した。
霧に色がついたほどのそれは、司祭の形をしたもの。
体から零れ落ちた心の欠片。
触れることも叶わぬ写し絵だが、首に掛かる聖印だけは本物だった。]
ここ、は ───
[ぼんやりとした顔で周囲を見回し、
やがて、ふわりと漂い動き始める。
折しも、どこか近くから聞こえる騒がしい気配の方へ、流されるままにゆらゆらと。]
[切なる叫びに伸ばす手は何も掴むことなく。
確とした危機感に焦りを掻き立てられる。]
― 浮遊する群島 ―
[魂の欠片が霧の沼地に取り残されている一方、
蛇に絡め取られた体はし風吹きすさぶ空を進んでいた。
大小いくつもの浮遊島が漂う空を抜け、
比較的大きな島に口を開く洞窟へ連れ込まれる。
入口こそ狭かったが中はかなり広く、
邸宅と言ってもいいほどの調度が整っていた。]
『ここがおまえの終の棲家となるだろう。
それが長いか短いかはおまえ次第だ。』
[蛇は獲物を絨毯の上におろし、言葉を掛ける。
だが、床に座り込んだ司祭はそれに反応することもなく、周囲を見回すこともせず、茫洋とした眼差しを魔に向けるのみであった。]
『ここがおまえの終の棲家となるだろう。
それが長いか短いかはおまえ次第だ。』
[蛇は獲物を絨毯の上におろし、言葉を掛ける。
だが、床に座り込んだ司祭はそれに反応することもなく、周囲を見回すこともせず、茫洋とした眼差しを魔に向けるのみであった。]
ええ。
ですから、もう安心してください。
[司祭。…なのだろうか。
自分が何者か理解はしていなかったが、肯定はいささかも揺るぎないものだった。
女性の訴えを聞いて、穏やかに頷く。]
なにかの原因で魂が身体を離れてしまったとしても、あなたの体が命を保っているなら還る望みはあります。
気を強く持ってください。
まずは、あれらをどうにかしましょう。
[争っていた魔物たちがこちらを見ている。
どうやればどうにかできるか、分からないがおそらくできるだろう。]
― 浮遊する群島 ―
[獲物を棲家に連れ込んだ蛇の魔は、これを思うさまに弄び、苛んだ。
汚れた司祭服を引き裂いて剥ぎ取り、突き倒した裸身に自らの尾を打ち付ける。
撓る鞭となった尾は幾筋もの赤を白い肌に刻み付けた。]
あ、ああっ、うぅぅぁぁ …
[打たれるたびに悶え身を捩り、言葉とは言えぬ声を漏らす。
うつろな瞳は次第に潤み、懇願の色を帯びる。]
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