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-シコン港にて-
[病院船に乗る衛生兵たちへの連絡は、すでにまとめた書類を渡す。
後は口頭でいくつか。]
悪ぃ、急ぎの用ができたから、先に複葉機で戻る。
お前らはこのまま戻れ。病院船の旗は絶対外すな。
[用意して貰った複葉機を、操縦士は真剣な顔でチェックを入れている。
動かせるかの問いには、明確に「はい」と返る。
やがて、複葉機は、シコン港の海から飛び立った。]
……。
[眼下。蒼い海が広がってる。
男は荷物から取り出した酒瓶を、蓋を開け、海面に投げ落とした。]
あー、いや。
少ねえけど、ここに寝てる奴らにさ。
ウルケル軍の人間でここまで来れるの、今、俺ぐらいだろうし。
[何を? と問う操縦士に答え、視線はいまだ蒼に。
高度を、速度を上げる複葉機の上。
男は、後方になる景色を、まだしばらく眺めていた。]
-リオレ島にて-
[拠点上空で、ウルケル軍機であることを光の合図で示し、旋回する。
許可を得て上陸すれば、近くの兵を捕まえ、叫ぶ。]
提督、今何処だ?
[帝国から受け取った言葉を届けるために。**]
-シコンにて-
[海と同じとローは言う。>>205]
離れていても繋がってる、ですか。
そうだなぁ……きっとそういうもんなんでしょうね。
分かる気します。
今なら、特に。
こうやって変わらぬ貴方に会えた。
そこらも含めて何も変わりませんよ。
[鼻歌の揶揄にはそう笑い返して。]
また四人で飲みましょうや。
“いつか”は可能かもしれんですよ。
[別れの時間はやがて訪れる。
男は握手を求め、ローに右手を差し出した。
ローがくれた言葉>>203を思い出して笑う。明確ではないが、彼の所属を示す言葉。]
じゃあ、また――会いましょうや。
[目を細め、ただ、笑った。*]
-リオレ島内拠点-
俺が大急ぎで持って帰ってきた情報だってのに、何かもう筒抜けになってる気分なのはなんでしょうかね?
準備万端に思えるんですけども。
[ゲオルグに面会を求め、会えて帝国からの情報を渡したその後。
男は、肩を大げさに竦めてみせる。
なんせ既に出撃の準備は整っているのだから。>>224
出撃指示>>225には頷く。]
了解。
すぐに準備しますよ。
[それから、少しだけ声を変えて。]
ローさんに会いましたよ。
[帝国軍の所属もなく、昔の名前のままローの事を伝えたのは、彼が変わらなかったとその事をも知らせるように。]
あぁ、提督には申し訳ねぇですけども、会う約束しちまいました。必ず出陣してくると思いますんで。
[楽しげに付け加えた。]
ローさんが言うには、海は繋がってるそうですよ。
離れてるようにも見えて繋がってるって。
俺、好きですね、この言葉。
なんか、安心する。
あぁ――
[最後、別れ際。
これだけは迷ったように。]
皇帝陛下に会いましたよ。
あの人は――ちょっと怖いですね。
踏み込まれそうな気がする。
もっとも魅力的な人でしたけどね。
[支配する側の人間に会った際の、恐怖と好奇心が覗く評価。
それを本人も気付けぬまま口にして、誤魔化すように笑った。]
準備しますわ、失礼。
[一礼し、その場を立ち去った。]*
-巡洋艦ナハティガルにて-
戻ったぞ。
[「あれ、先生」「早い」と言う兵たちの声にはいはいと頷いて。]
戦が始まるってのに、のんびり船旅してられねぇや。
先に空飛んで帰ってきた。
ナハティガルの修理は間に合ったのか?
報告寄越せ。
[先に他仕官が聞いていたゲオルグからの伝達>>225>>226もこの時点で耳に入ったろう。]
修理は何とかって感じかねぇ。
[常の8割と言う部分がある。]
そこらを庇って立ち回ると変な動きになる上に、庇い過ぎると敵さんに気付かれるしねぇ。
まぁ、やるしかないって感じになるか…。
あぁ、見りゃ分かるが、うちらは毎度おなじみ前列よ。
今回は遊び場そんな広くねぇぞ。めんどくせぇ海流もある。
が、ナハティガルの操舵は艦長に任せる事にしてりゃ何の危険もない。
俺たちはいつもと同じ、ただ遊び尽くせばいい。
[かん、とナハティガルを軽く叩き、男は笑った。*]
-リオレ島、出撃-
[軍港に並ぶ艦隊は、海に光を映し、空と海、二箇所に夜が現れたようで。
夜明け前のもっとも暗い時。
そして、“ナハティガル”が歌う時でもある。
機関室ではこの鳥の心臓が動いている。響くそれがいつもより楽しげに思えて、夜明けにこの鳥も喜んでいるような気がした。]
[男は余計な言葉を挟まない。
ゲオルグの言葉が、ナハティガルに、そして艦に乗る者たちに響くのを聞く。
自分にも響くそれが、響くのを聞くのだ。]
おう!!
[出撃の声>>229に応じる。応じる声は更に重なり、溢れ――さらにナハティガルも歌うように重ねていく。
そして――ナハティガルは夜明け前の海へと、この鳥がもっとも好む時間へと、進みだした。*]
-巡洋艦ナハティガルにて-
[ナハティガルは、良い位置へと配置されていた。>271
同場所を指示された艦とは、航行中、幾度か合図を。]
たっぷり遊んで来いって感じだねぇ。
さて、どうやって遊びますか、と。
[タクマ側の艦と協力するのも面白そうだと、男は海を見る。]
なぁ、艦長。
機雷海域って、ナハティガルで抜けれんのかなぁ。
[阿呆か、と言われて。]
無理か。ナハティガルの運を試してみたくなった。
[生死を、そして国の命運を賭けた戦いの前、あくまでもナハティガルの中ではそんな軽さが漂う。
それでも、海を見る男の目は真っ直ぐで。
じ、と。戦場を見つめていた。*]
[敵軍艦影の接近を確認。]
じゃ、一発ぶっ放しときますか。
進路妨害でいいぞ。邪魔させて貰おう。
[ただし、と。]
撃ったら引け。こっちを無視してくれるなら歓迎。タクマさん側と混じってやらせて貰おう。
向こうさん、どんだけ修理間に合ってるのかねぇ。
崩せる所から崩したいんだが、見えるかな、そういうの。
足りねぇ所で遊ぶぞ。
真っ向勝負やってくれる人たちが多いんだ。
なら俺たちはせいぜい搔き回して遊ぼうぜ?
[いや、と笑って。]
搔き回しもしてくれるのかねぇ。
なら、それの“手伝い”だ。
[ちらりと思い浮かべるのは、ヴィクトリアが操るだろうヴァイの事で。
搔き回すには丁度いい艦だ。
彼女が酔った勢いで口にした苗字の意味を、男は教えてもらう事が出来たのだろうか?
教えろよ、驕るから、とは言ったような気がする。*]
[“会う”にはまだちょい足りないだろう、と。
引っ張り出すにはまだ遠い。
戦えるあの艦なら、水雷艇を失えば前に出てくるか、と。
ぼんやり、企み、まだ淡く。]
道を開くぞ。
[指示。
目前、巡洋艦4艦。崩し、搔き回しやすい場にする為に、その進路を塞ぐ攻撃を行おうとし――]
おや、ま。4艦でやるのはなかなか豪勢。
[小さく驚きの声。>>301]
[水雷艇母艦までの道が一瞬見えたが――]
今はまだ早い、かねぇ。
[ゲオルグとタクマ、二人の艦隊の間に入れる位置を維持する。足りない位置で遊ぶ。遊ぶタイミングを見るぐらいの節度はあった。]
ほら、来た、“スキュレステノ”だ。
[意味ありげに呟いたヴィクトリアの苗字には、別の意味をこめて。>>315>>316
共にここに配置された巡洋艦に合図。“行って来る”程度の挨拶。]
ヴァイ、ヴァイスメーヴェへ援護。あいつらが戦いやすいように、他の攻撃を阻害しろ。
[守る命令を飛ばし、ナハティガルは加速。二艦の高速艦の動きを見つつ、敵へ妨害を目的とした砲を放つ。]
艦長、ついにヴィクトリアと操舵勝負だな。
[男は笑う。艦長は露骨に顔を顰めた。]
冗談だって。艦のタイプが違い過ぎるわ。
援護、援護。
砲術長、敵の動き読めるか? 読めないならうちの2艦の動きだけでいいや。
邪魔しないように撃つ。指示は入れる。
[読む事なら不得手ではない。
ヴィクトリアの性格は熟知してる。
ナハティガルは大きく円を描くように移動。敵艦の進路を妨害目的の攻撃を行う。
艦本体に当てなくてもいい。海を揺らす。そちらへの行動を避けさせる。
攻撃は、“牙”に任せるのだ。]
「先生! 敵雷母から水雷艇の発進を確認しました!」
あん?
もうか、早いなぁ。
[と言う声は何故か嬉しそうに。
ナハティガルは 舷側を迫る水雷艇へ向ける。]
まずはご挨拶と行きますかね。
全力、砲撃。
[主砲、副砲が一斉に目標を定め、構える。
艦を揺らす射撃の反動。
鉛の雨。]
敵巡洋艦は気にすんな。
そちらさん、ヴァイとヴァイスメーヴェを無視したら、持って行かれるぞ。
こっち狙うってのなら、倍の数は喰わせて貰う。
[あの2艦ならそれぐらいやってくれる。
故に、前へと攻撃を向ける事に迷いはなかった。]
なんか、ガードの固いお嬢さんを口説いてる気分になるな。
「はぁ?」
独り言。
[さらりと返し、水雷艇と接近中の巡洋艦2を見る。]
艦長、悪ィ、ちと踏ん張るぞ。
目標、敵巡洋艦。一体に絞れ。撃ちつつ動く。ヴァイとヴァイスメーヴェの邪魔はすんなよ。
[全弾の回避は無理だ。巡洋艦2艦からの攻撃。操舵により装甲の厚い部分へと着弾させてはいるが。
動き――敵巡洋艦を舷側に捉える。
ひとつ、確認。同じく北側に配置されていた味方巡洋艦の接近を見る。]
なぁ、近付くチャンス狙ってんだろ? なら近付いてやるよ。
[次、視線が捉えたのは、散開する水雷艇。]
目標、敵水雷艇。範囲に捉えろ。
砲撃は続行。目標は巡洋艦のまま。
[接近する味方巡洋艦を示し、言う。そこの砲撃と重ねて狙うと。
そのまま――加速。水雷艇へ距離を詰める。
まっすぐ。
突撃するように。]
艦長、任せた。
[砲撃を緩めぬまま、旋回。水雷艇に横を向けるように体勢を変え、副砲の連射。
速度を落とさぬまま通り過ぎ――体勢を立て直す。
その間、追いかけてきた、もう一体の自軍巡洋艦の砲撃は続いていただろう。
「水雷艇に突撃するな、阿呆」と言う声には、けけ、と笑って見せた。]
巡洋艦2対2なら、何とかなりますかねぇ。
[ナハティガルは加速の熱を抑えるように、低く唸る。]
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