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−死すべき時−
『人は誰しも死すべき時がある
それを采配する鎌はいつだって不平等で、唐突だ。
だからこそ、命とは大事にしなければならないよ。ウェルシュ』
[そう語った兄は、一般に立派、と呼ばれる人だったのだろう。
いつも僕の頭は彼に温められ、ぬくぬくとしていた。]
−兄とのさようなら−
[反対に自分という人間はきっとどうしようもなく性根から狂っていた。ただ血を流し死んでいくそれらが途方もなく愛しく、病弱で動けぬ兄の血潮がまだ鼓動を波打つうちに自分は彼を綺麗にしたかった。]
…っぁ、はぁっ
[だが初めてだった。犬や猫を初めて殺した時以上の快感を得たのは。そして、それ以上の絶望を得たのは。
それをウェルシュ少年は輝きのない、生きて抵抗する術のない物を殺したところでつまらないのだとただ解釈した。兄は輝いていたというのに。誰よりも、誰よりも輝いていたというのに。]
[人生、最初で最後の涙だった。そのいっとき、彼はただ兄の弟であり、人であった。
それももう、狂った心を前に忘却の彼方である。何故ならば彼は、それを哀しいと同情する術もないほど、同時に興奮を得ていたのだから]
−まどろみ−
んー
[だが果たして、目を覚ました男は死ぬ寸前のそれとは違っていた。目をこすり、辺りを見回し、誰も知らぬ人がいないとわかると不安に顔を歪める。そんな子供の精神だったのである]
どこ?
[死んでいるとも知らず立ち上がり所在なさげにズボンをぎゅうとつかむ。今にもその両目は泣き出しそうに潤んでいた]
おお!
[>>+61奇怪な音楽だった。いや、綺麗な竪琴ではあるのだが。そしてまたそれが子供心をくすぐり、顔がぱあっと輝いた]
すごーい!
[触りたいと素直に手を伸ばす。多分この男の腕力では握った途端ぼきりといってしまうだろうが。]
[>>+69して、竪琴は小気味いい音をたてて真っ二つに折れた]
あ
[だがそこは破壊神。精神は子供といえどちょっとした破壊ではなんのその。悪気もなく壊れちゃったと呟けばぽいとそれを放ってしまった。]
…!
[次に楽しい物はないのかと見上げる視線はあくまでも純粋に輝いていた。]
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