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[首筋に狼の顔が寄る。
狼の吐息を間近に感じた。]
……
[女は微動だにしない。
何か尖ったものが肌にあてがわれたようや感触に目を閉じた。]
いいのよ。
[動きを止めたままの狼にそっと囁いた。]
ごめんね。
[きっと自分は、彼の思いを無駄にしてしまったのではないかと、そう思ったから。
瞳が濡れて、視界がぼやける。
風に揺れる花々、光の海のようだ。]
[獲物が暴れて抵抗している訳じゃない。
寧ろその逆だ。静かで、それが異様で、
声は柔くて]
な
[びく、と震えた]
――んで
[思わず身を退きかけて、そうじゃないだろう、と慌てる。
寧ろその逆だ。早く]
[早く、と自己に命じて、
それが駄目だからゆっくりと慎重になって、
それでも駄目で、目を閉じて]
……ッ、――――
なんでっ
……喰いたい、甘い、
食えない
知らない
[ずるりと喉元を離れ、胸の上に額を押し付けて伏す]
おかしい
……おかしくなった……
[獲物を前にした狼の姿は、苦しんでいるように見えた。]
ごめんなさい。
[ゆっくりと上げられた手は途中しばらく動きを止め、迷いがあるようなぎこちない手つきでおかしくなったと胸元に額を押し付ける狼の頭を撫でた。]
[頭を撫でる手つきに反応して、一度震えた耳がまたへたった]
……なんで
[逃げないどころか、触れて来る。
ぎこちない指先が耳に触ってくすぐったい。
少し逃げるように身を起こすと、獲物と目が合った。
白い海に漂う]
なんだ
……やっぱり、泣いてるのか
[両の手で狼の顔を上向かせる。
金の瞳を覗き込んだ。]
… もう、私の名前を呼びたいとは、
思ってくれないの、かな……
[瞳から涙が溢れ、狼の頬に落ちてはじけた。]
泣いちゃうよ…
泣くなって、あなた言ったけど、あなたのする事は全部逆効果なんだから、
[こぼれ落ちる涙を拭おうともせずに、ひどいわ、と苦く笑った。]
[頬に雫が落ちた。雪解けのような透明さで注ぐ]
名前 ……知らない
[零れる涙が止まらない所為で、
自分の頬は指で拭う先から濡れる]
泣くなって、分からない
なんで
[これは元を止めないと駄目なのだな、と思って
白い頬に指を伸ばす。
雪のように、冷たくはなかった]
ベルティルデ…… 名前、私の
[ひく、と小さく息がこぼれた。]
なんでって言われても、そんなの知らないし…
泣かれると面倒だから…?
あなた何考えてるか全然わからなかったもの
[指で拭っても涸れないようなら身動ぎをして、
顔を寄せると頬に流れる水の筋をぺろりと舌でなぞる。
甘いかと思ったそれはやっぱり塩の味で、
でも甘いままのような気もした]
呼んだら、止むか
[耳元に囁いて、目尻に唇を添わす。
溢れかけた一滴を、ちゅ、と吸い取って、
雪解けのような色だから、
泣き続けたら消えるのではないかと思った]
ベルティりゅ
[人里を離れた孤狼の身分、知っての通り語彙は乏しく
発音も覚えたての幼児に似て辿々しい]
……―――― ッもう
ベルでいい
[勝手に決めた。]
[耳元での囁きに、うんうんと頷く。
この短時間の間に何度顔を舐められただろうと目じりに口付けられながらふと思った。]
……
[どうやら、女の名前は狼が発音するには難しいらしい。
ベルでいい、その言葉に嬉しそうに笑った。]
セルウィン…ありがとう。
ほんとに
おまえ、泣くと面倒だ
[ふすくれて言い放つと、しゃくり上げる相手を見遣った。
潤んだ双眸と、赤くなった目元と頬、震える声、唇。
そうかと思えば、何か妙に温かい目でこっちを見ている]
……やっぱり
[ちょっと目が据わった]
泣いていい
[改めて光花の絨毯にベルティルデを押し倒す]
けど
あとで泣きやめ
[白い花の中から紫色を掬う。
肩ほどの長さの髪はするりと指から流れていく]
ありがとうは知ってる
……泣かせて、名前を呼んで、ありがとうを言う
理由が分からない
[かさ、と耳元で起こる軽い音と後頭部に感じる柔らかな草花の感触。
身体はふわりと浮くようで。]
泣き虫でごめん…
ちゃんと泣き止むから。
[我慢していたらしい、またすぐに目は潤み始めるだろう。]
[相手は苦もなく己の名を呼ぶ、それがどうも悔しい。
そして足りない頭を捻って出された仕返しがこれだ]
ベル
[肩を押さえてかぷりと喉元に噛みついた]
……ん
[傷を付けるものではないと思えば加減がついたし
ちゃんと触る事が出来た。
いける、と踏んだ目をした]
名前、聞いたら教えてくれたから。
[本当に記憶が無いのだなと思えば、僅かに眉が下がる。]
…… 嬉しくて泣いてるから。
涙が出るのは、寂しい時とか悲しい時とか…ばかりじゃないから。
なぁに?
[名前を呼ばれれば首を傾げながら彼を見上げるが、肩にかかる手と喉元へと寄せられた顔に身体は軽く緊張し固くなる。
じわりとした鈍い痛み。
けれど、しっかりと彼女に刻まれるもの。]
そうか……
[ベルティルデの言葉によると、どうやら自分は名を聞かれ
そして答えた事になっているらしい。]
……知ら、ない? か、覚えてない
[それに、嬉しくて泣くと言うが、いっとき眉の下がる表情は
狼の知識にもある、別の感情を思わせた]
でも今、『寂しい』の顔した
[ぽふりと片手で頬を撫でて]
ベル
[短く告げる音は、思いの外、狼の胸中に馴染む]
……怪我してる
[小さな擦り傷切り傷については勿論、数える暇がない程。
だが、それらのほとんどは既に血が止まっており、
肉食の性質をさほど惹きつけない]
[嗅ぎつけ、目を付けたのは布地に縛られた腿の血の香。
乱暴ではないが、躊躇なく結び目に指を掛けた]
…そうね。
寂しい顔、覚えてくれてた?
[全てを忘れてしまったわけでは無いらしい。
冷静に考えれば、そこまで長い時間を共にしたわけでも無いのだが。
怪我をしていると、セルウィンの手が裂かれた布の結び目にかかる。
小さく頷いたままされるがままに。]
?
[知識は頭に残っている。
ただ、それをどこでどうやって覚えたのか、と言う事は
霧の向こうにやってしまったように思い出せない]
覚えてる、……多分
[案外抵抗しない事に拍子抜けを覚えつつも、
圧迫して血を止める布を解いて傷口を晒す。
露になる対照の色にゾクゾクした。
膝裏に手を入れて片脚掲げさせる。
良く考えなくても人間視点だと大分際どいが、些細な事だ]
痛いか
[傷の端から口付けのように触れる]
[血の雫は花の甘露]
他のやつに、喰わせたりするなよ
[身勝手な事を言って、獣の金瞳が妖しげに弧を描いた*]
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