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ああ、飴玉。
いいですな、いただきます。
[包みをほどいて、口に放り込む。
暫く、口のなかで転がして、甘みを楽しんだ]
──どんなもんです?
[手持ち無沙汰を装って、調査をはじめたローレルの手元を確認できる位置に移動する。
一応、カークとコンラートも視野に収めてはいるが、二人ともが工作員でないならそこまでの心配は要らないだろう。
副長の判断によれば、その可能性は低いのだし。
ともかく、副長に命じられた監視は、やれるだけやるつもりだった。腰に提げた拳銃が、やけに重く感じられた]
電線?
ああ、逆探のか。動作確認もとれている。
電測兵装が役に立つ場面じゃないのが残念だがな。
君が対応してくれたのか?
戦闘後で仕事は幾らでもあっただろうに、急かして済まなかったな。
[視線を向けて、そう応じる]
……まあ、手榴弾程度では、こうはいかないでしょう。
結局は対人用ですからね、炸薬量は大したことないはずです。
[むしろ、手榴弾というのは、飛び散る破片による殺傷力が主になる]
……TNT?
それはまた……、艦底でそんなもの、よくもまあ。
下手したら、浸水で機関室全滅じゃないか。
[ひくりと、口許が引き攣る]
……我が国の?
しかし……、本艦にそんなもの積んでるはずが。
[当たり前の話だ。
場合によっては、戦闘前に可燃物を投棄することもあるのに、無意味に爆薬など積んでおくはずがない。
だから、潜入した工作員が艦内でローゼス製の爆薬を調達したという線は、まず有り得ない。
といって、水上電探にも反応しないほどの小型舟艇か潜水艇かで潜り込むような工作員が、それだけ大量の爆薬を抱えてこれるわけもない]
つまり……最初から乗員として紛れてた、か。
電測士 リエヴルは、技術少佐 ローレル を投票先に選びました。
――クレマンソー大尉より、副長。
機関室の爆破には、我が国製のTNT爆薬が用いられた可能性が高いようです。
バルサミーナ少佐によれば、発見した雷管が我が国の爆弾に用いられるものと同様。
また、使用された爆薬量は約1Kg……一兵卒が私物に隠して持ち込める量じゃありません。
以上の点より、少なくとも工作員の一人は、
出港時より本艦に乗船していた乗員――それも、士官クラスと推測されます。
[報告する声は、幾らか驚愕の名残を残していた]
確かに……一兵卒が、それだけの荷物を持ち込めるはずもない。
兵の居住区じゃあ、隠しておける場所もないだろうし……、
しかし……個室持ちの士官ともなると、艦長や上級士官くらいしか……、
……、です、かね。
[上級士官なんて、一隻の艦に、そうそう数がいるわけではない。
艦長に副長、それにせいぜい、各科の長といったところだ。
各級旗艦なら、司令部があるので多少は増えるだろうけれども、このヴィスマルクは今回の出撃では旗艦ではないから、佐官以上は両手の指にも余るほどしか乗っていない]
[ヴィスマルクに乗っている佐官クラスを、頭のなかで数える。
艦長は行方不明で――機関長は重傷だか戦死だか、航海長は退艦者の指揮。
残っているのが、副長に砲術長、通信長。
それから、旗艦でもないのに何故かいる参謀と――目の前にいる小さな技術少佐]
……まあ、そうですね。
[注意は怠らないように、と言われて。そう頷く。
そして、思う。
もし、眼前の技術少佐が工作員だとしても。
――自分の前では襤褸を出さないでほしい、と。
やはり、どうも――女子供に銃口を向けたくはない。
それが、上官が親しげにしていた相手なら、尚更だ]
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胸を触って、サイズ口にして、
『夜、呼びますから』って耳元で囁くって、
……どういう意味で呼ぶのでしょうかねえ。
……、あの人は。
[艦内放送で響いた上司の声に、こめかみを押さえる。
サンちゃん中佐なんて、他部署に通じるんだろうかと。
――まあ、ただ。〆の自称に、微妙に口許が緩みはした]
どこそこにあるこの部品を外すとか、どこここのあれをこうするとか。
もう少し、具体的にお願いします。
自分やエーレンベルクさんは、本職ではないので、その辺ご考慮いただければ。
[年下の同階級に、さん、とつけたのは。
どうやら、あちらの方が先任と、会話の節々から察したからだ。
直接的な命令系統が繋がっていない、こういう場合、上下関係のトサカの立て方は微妙になる。
先任ながら年下だので、敬語を使いつつも卑屈にはならない、その程度の距離感で接しようと決めていた]
……いやまあ。
外せるネジやナットを全部外す、程度のことは出来ますが……、
……本艦は最新鋭艦という話でしたが、割と、乱暴でもなんとかなるんですね……。
[ううむ、と唸った]
……ああ、ありがとう。
[少尉に頷いて、メモに目を落とす]
あー……少尉、少尉。
一応、同じものを、エーレンブルク大尉にも。
[うん――たぶん、彼も判らないだろう]
――と、思います。
[部屋を探すと、には、同意して]
ただ――……通信長は、その点からは、外れるかと。
その、自分、通信長の私室にお邪魔したんですが。
寝台にさえ埃が積もってたし、荷物もほとんどないし。
鍵もお預かりしたので、何かあれば調べられますし……。
[先のやり取りより、少しして]
――感度良好。
クレマンソー大尉より、副長。
機関室は、司令塔出立時の人員より変化ありません。
[――……そう。
この状況で、一時的にでも、一人の時間を作るというのは。
しかも、それは工作に充分な技術を持ち、立場上、様々な機材を持ち込んでいてもおかしくない、技術少佐。
怪しくない、といえば、嘘になる。だが、信じたくもある]
……まあ、詳細はともかく、そういう感じがいいでしょう。
現状、本艦を復旧できる唯一の望みは、少佐だけです。
その少佐が、一人で行動することは、ないほうがいい。
……可能なら、三名でといきたいところですが。
[工作員と誰か、という二人組では、その誰かが危険に晒されるからだ]
……でしょうね。
自分も、白だと――"思いたい"ですが。
ですが……、副長。
失礼ながら、自分は士官学校で、希望的観測は忌むべきものと、教わっております。
明確に、疑いから外すべき理由がないなら――……、
片方が殺されて……ですか。
まあ、それは道理ですが……工作員だったら、殺したあと、馬鹿正直に留まっているとも思えませんし。
[悩むには、悩み]
――作業効率が落ちてよいのであれば。
全員で同じ作業をすれば、監視は可能ですが……。
……自分は専門外の作業なので、自分の主張が通るかどうかは。
――作業能率だけなら、少佐とファベル少尉が別れて、自分とエーレンブルグさんが、それぞれの手伝いにつけばいい。
安全だけなら、四人で固まって作業すればいい。
折衷案となると、どこでどうバランスをとるか、でしょうな。
……そうですな。
思うに、まあ……修理優先で、いいのでは。
仮に工作員が、この四人のなかにいても。
機関を復旧しなければ、この艦をどうにもできませんからね。
[そう、ふっと]
――睡眠や食事は、場所は兎も角、まとまったほうがいいでしょう。
可能なら、別の班と合同のほうが、よりいいんでしょうが。
その辺は修理工程の都合もあるでしょうからね。
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