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[城主との先の一戦で受けた、内臓のダメージは完治はしていない。
内臓そのものに痛みを感じる神経がないのを良い事に、無視しているだけだ。
ただ、青年との戦闘中に再生は進んでいる。
もう少しで、元通りになるだろう。]
[膝をつく青年を、数歩の距離で冷ややかな眼差しで見下ろす。>>1:234
剣先を水平よりやや下げて構えるは、彼ともうひとり、
謝罪する血の子に答えて、城主が立ち上がったのを目にしたからだった。>>1:242]
― バルコニー ―
[オズワルドの姿を認めた直後には、前へ駆け出していた。
城主へ一直線に打ち掛かる――のではなく、銀髪の血子を確実に
[先の一戦が、城主との戦いのダメージを癒しながら、彼の牽制に意識を割きながらの戦いだとすれば、今度は一切の仮借なく純粋に青年を仕留めるために動く。
頭上に剣を振り上げ、振り下ろす――受けた剣ごと叩き折る、裂破の一撃を。]
>>33
[甲高い澄んだ音とともに、相手の剣が砕け散る。
そのまま切り下げる斬撃は、だが、胸の皮膚を裂いただけに留まった。
――ガツン!!
大剣はそのまま石床を砕き、礫と火花を周囲に散らせた。]
[この場の自分がなすべきことは、短時間に銀髪の血子を仕留め、一刻も早くオズワルドに加勢する事、と判断した。
故に、すぐさま次の斬撃を繰り出すべく、床にめり込んだ剣を振り上げる。
しかし、大ぶりの一撃は、一撃必殺の分だけ放った後の隙も大きい。
次打を繰り出す前に、城主の接近を許してしまった。>>38]
[城主を確実に弑殺できるなら、これはこれで問題はない。
だが、銀髪の血子を仕留められなかったことに変わりはない。
眉間に深い皺がミキリと寄った。**]
[いつの間にか、リヴエルもこの場に来ていたようだ。>>36
ふたりが何か仕掛けるのを目にし、割り込んで却って気を逃すよりは、と城主をこの場に釘付けすることに専念する。>>46
銀髪の血子を逃がすまでは、自分の追撃を阻止する為に、相手も動かないだろう、と。
二撃のために振り上げた剣はそのままに、退く血子を目で追ってみせ、自らの任を果たす。
この“野茨公”は自分の血子を溺愛するタイプらしい。
時折、そうやって自分で作った血子を恋人や家族のように扱う吸血鬼もいる。
だが、自分を盾にしてまで血子を気遣うとは、余程自信があるのだろう。
そうやっても勝てると、確信している。
そう分析し、改めて城主……ギィを見据えた。**]
― バルコニー ―
[反対側で、城主の隙を窺っていたバルタザールには、彼奴の異変がよく見えた。
オズワルドを迎え討とうと構えた、流れるような剣の動きが、一瞬止まったのだ。>>83
結果、スティレットは見事彼奴の右腕に深々と突き立った。
立ち合った自分には分かる。
奴の実力からして、負傷していようと、反応していて止め得ないなどあり得ぬ
城主の動きを鈍らせる、何かがあったのだ。]
[次いで、絡み合う茨の奔流が押し寄せてきた。
城主に纏いついた茨の叢が、その意を表すかのように爆発的に拡がったのだ。>>85]
……ク、
[流石の修道騎士も、剣を盾のように構えたまま、為す術なく後退する他ない。
防護しきれぬ手や脚に茨の棘が、何条もの細かい傷を作っていく。]
[茨の嵐が収まった後、そこにあったのは、木を擦り合わせて
妖術によって生み出された茨の番兵。
神の被造物にあらざる、
城主の捨て台詞>>86は聞こえていたが、身を翻す傷だらけの後ろ姿を追うことは適わなかった。
四足の巨体は、城内への入り口を塞いで、擦り抜けるも飛び越えるも不可能とした。]
“お前か私のどちらかが、すぐさま城主を追う”
“残った方が速攻で怪物を倒し、後を追う”
[一瞬でそれだけの判断を下した。
腐れ縁のソマリほど以心伝心とは行かないだろうが、説明する時間が惜しかった。
故に意を汲めと、乱暴に目線で伝える。]
[目線でそれだけを伝えると、思い切り刀身を後ろに引いて構えた。
防御も何もない。
強引に押し通るための、捨て身の一撃だ。]
[深い吸気とともに闘気が高まる。
それに反応したか、茨の獣が蔓を捩り合せた太い首を向け。
咆哮とともに、修道騎士に向けて数多の棘が打ち出される。
棘は鎧に覆われていない箇所に突き刺さり、或いは切り裂いたが、剣構えた男は微動だにしなかった。]
[動かぬ修道騎士を人造の魔獣は、まず倒すべき標的と見定めたか。
歪な四足で石床を蹴り、飛び掛る。
鋭く伸びた枝の爪が、ずらりと生えた棘の牙が、バルタザールに迫る。
――その刹那。]
おおおおおおおお――!!
[裂帛の気合とともに、闘気が膨れ上がる。
前へと力強く足を踏み出し、全力で大剣を振り抜く!]
[床を砕いた風撃の震動が、城を揺るがすのとほぼ同時。
全身を絞るように捻り、回転の斬撃。
遠心力の乗った刃が、獣の脚を薙ぎ払う。
前足二本を、鎌で刈り取るが如く、スッパリと断ち切った。]
[巨体が傾ぎ、軋みをあげて横転した。
獣から上がる、嵐の木々のような轟音は、苦痛の絶叫なのか、それとも怒号か。
不揃いとなった足を掻いて、起き上がろうともがく。
回転の刃はまだ止まらない。
自身の遠心力も利用し、続く二撃で首を深く切り裂く。
そこに至って、獣を構成していた蔓が解け、一斉に貫く槍となって修道騎士に向かって飛び出した。]
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