情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
[ 星司は、跳ね飛ばされてもやはり怯まず、疾風のように駆け戻り、澄んだ翠の刃を揮う ]
(星司...!)
[ このままじゃダメだ、と、身を捩る ]
......ボク
負けない、から。
[ 返ったコエは、必死の響きを帯びて ]
[ 未だ落とさず握っていたサーベルを、ぐ、と握り直し、狙い定める余裕もないまま、巻き付いた尾に突き立てようと*試みる* ]
― 世界樹 ―
[ 風の属を強く身に宿す少年は、素直な性格であると同時に、他者に縛られること、他者を縛ることを強く忌避する傾向があった。
それは、幼い頃から「大魔法使いの血脈」であることに無意識縛り付けられてきた反動でもあったかもしれない ]
は、な...せ...!
[ だから、大蛇の尾に縛られているこの状態は、ウェルシュにとって、最も嫌悪する状況で、更に募る危機感は、自分を救おうと奮闘する星司が、同じように捕まってしまう可能性への焦り ]
(それだけは、絶対に、嫌、だ...!)
[ 星司の双剣が、蛇の尾の一部を断ち切ったためか、盲滅法にウェルシュが振り回すサーベルの刃を嫌ったか、締め付ける力が僅かに弱まる ]
は...っ
[ 窒息寸前の息苦しさから解放されると同時、酩酊に似た感覚が訪れる ]
......離せーっ!!
[ 昂る感情のまま、大きく叫んだと同時、左腕の風の盾が小さな風の刃に変じ、飛散する ]
[ 己を縛り続ける蛇の尾を断ち切りたいという意志だけで放たれた風の刃は、無軌道に飛び回り、蛇の尾ばかりでなく、辺りの枝や、パートナーである星司にさえ*届いたやも知れず* ]
/*
若い子には試練が必要よね♪と、いうわけで三日目に向けて、着々と(精神的)ハードルを上げる作業(待ちなさい
おうよ、始まったばっかで、負けちゃいらんねーぜ!
[呼びかけに声が返る。
大丈夫、これなら大丈夫。
だって、『答えがかえってくるんだから』。
そんな想いを過らせつつ、檄を飛ばして]
/*
ですよねー<星司メモ
うん、知っててやった。
ちなみに風の刃の威力も大怪我しない程度と指定しようかと思ったけど、星司の人なら加減は間違えないよねと思って、任せました。
ありがとうv
― 世界樹の枝の上 ―
え...?
[ 自分が何をやらかしたのかを自覚したのは、風の刃が胴に巻き付いていた数本の尾を断ち切っていった時 ]
わ...ちょ、待って待ってーっ!
[ 叫んだところで、放たれた風が戻る道理も無く、星司の方にまで飛んでいくのを見れば焦りは頂点に達した ]
星司っ!?
[ 殆どの風は精霊の乙女達によって防がれたようだったが>>237実際にどうなったのかは、ウェルシュの位置からは、はっきりとは視認できず...それでも星司が動きを止めない事、その星司に向かって蛇が大口開けて迫るのだけが判った>>238 ]
― 世界樹の枝の上 ―
[ 風の力を借り、空中で見事な後方宙返りをしてのけた星司の蹴りが、大蛇の顎に少なからぬ衝撃を与える。
ガキッ!と、何かが折れる音がしたのは星司にも聞こえたろうか。
ウェルシュが尾に捕らえられる前、サーベルでヒビを入れた大蛇の左の牙が、今の一撃で限界を越え、折れ砕けた音だった ]
― 世界樹の枝の上 ―
[ 牙を折られた蛇がのたうちまわり、枝分かれした尾も、苦悶を表わすように激しくうねる]
うにゃあっ!?
[ うねる尾に、ふいに、空中に放り出されて思わずおかしな声が出たが、自由になったのだ、とはすぐに判って、サーベルを握り直して、空中でなんとか体勢を整えようと試みる ]
『もう、馬鹿ウェルっ!!』
[ 呆れたような、怒ったような声と共に、風の妖精の結界が、ウェルシュを包み、ふわりと、その身は宙に留まった ]
ありがと、セインっ!
[ 星司は未だ、大蛇の前に居たか、決め手になる一撃を探して、ウェルシュは息を整え、空中から睨むように“グラフヴェルズ”を*見下ろした* ]
……今丁度、上と下にわかれてるし。
タイミング合わせて、上と下から同時に頭狙ったら、ダメージ通んねぇかな。
このままバラバラに斬りつけてても、ラチ開かねぇっぽいし。
一撃必殺、狙ってみるのもありじゃね?
[ 妖精の結界に助けられ、見下ろした大蛇の目前で、星司が、身を屈めるのが見えた>>255
駆け出す力を溜め、放たれる時を待つ疾風そのもののような]
星司...
[ 視線が交差したのは瞬時、ひゅう、と、風がウェルシュの長い髪を揺らす ]
うん、星司。
キミのスタートに合わせて、ボクも上からあいつの頭を狙う。
今度は捕まったりしないから、任せて!
[ 後一撃、力を合わせれば、きっと倒せる。
同じ事を考えていた、と、知って、この戦いが始まって初めて、ウェルシュの顔に小さな笑みが浮かんだ ]
セイン、合図したら結界を解いて。お願い。
[ 風の魔法をうまく使えないウェルシュは、自分で風をコントロールして大蛇に近付くことは出来ない。
だから、結界を解いてそのまま自由落下することで蛇の頭を狙う、と決めた ]
『...いいけど、大丈夫?』
[ さすがに心配そうな声を出す妖精に、うん、と頷いて返す ]
大丈夫だよ、落ちるのは慣れてるし。
[ 真顔で言って、サーベルを逆手に持ち替え、両手で柄を握った。上空から直下の一撃ならば、これが一番、力が通りやすい、はず* ]
/*
良く考えたらこのスタイルと戦法って、どっかの紅い騎竜師とそっくりな件。
すまぬ...バリエーション少なくて...orz
よっしゃ……んじゃ、上は任したぜ!
俺も、今度は吹っ飛ばされたりしねーからな!
― 世界樹の枝の上 ―
[ 隠せぬ殺気に反応したか、大蛇が威嚇の音を発する。
それをスタートの合図に、星司が世界樹の枝を蹴った>>293 ]
1、2、3...セイン!
[ 彼の“速さ”は、共に鍛錬した数日で掴んでいる。同じ風を感じるものとしての共鳴がその感覚を助け、合図に応じて妖精が結界を解き、落下を始めたタイミングは、間違えてはいない、と確信していた ]
― 世界樹の枝の上 ―
ヤアァァアアーーッ!
[ 大声で気合いを発するのは、大蛇に上下からの攻撃どちらに気を向けるべきか迷わせるためでもある。
顎の下に走り込んだ星司の姿はすぐに視界から消えてしまったが>>294躊躇うことなく、サーベルを一度頭上へと掲げ、落下の勢いのままに、大蛇の頭の中心めがけて刃を突き立てた ]
[ 突き立てた刃の下からは、生き物の紅い血ではなく瘴気めいた鈍色の蒸気が噴き出し、大蛇の巨体がのたうちまわる ]
く...うっ!
[ 足を着いた蛇の頭が激しく振られるのは、顎の下を鋭く切り裂く星司の双剣のせいだろう ]
負けないって...言ったんだっ!
[ 振り落とされそうなのを懸命に堪え、突き立てたサーベルに全体重をかけ、更に深く、柄まで埋まる程に押し込んだのは、星司の剣が、大蛇の喉へと突き刺さったのとほぼ同時 ]
[ ダーン!と、枝分かれした尾は世界樹の幹を叩き、やがて、その力を失っていく* ]
― 世界樹の枝の上 ―
はあぁぁ...
[ のたうっていた大蛇が動きを止め、かろうじてサーベルの柄を離さずにしがみついていたウェルシュは、大きく息を吐いた ]
七大蛇って...やっぱ化け物...
[ くったり...文字通りそんな気分で、大蛇の頭の上にへたりこみそうになったが ]
『へたってる場合じゃないわよー?ウェル』
[ ツンツンと、妖精に髪を引っ張られて、え?と振り向く ]
― 世界樹の枝の上 ―
[ 下、下、と指差す妖精に従って大蛇の頭の上から下を覗き込むと、身体半分、大蛇の頭の下敷きになってつぶれている星司の姿が見えた>>317 ]
わああっ!星司っ!大丈夫っ?!
[ 慌てて、サーベルを大蛇から引き抜くと同時、ざらりと大蛇の姿は砂のように崩れ去った。
七大蛇は、退ける事が出来ても、人の手で完全に滅ぼすことは出来ぬもの、時が経てば、また転生して世界樹に巣食うのかもしれなかったが、今はそれを考えるどころではなく ]
うにゃっ!!いてて...
[ 足場を失って、枝の上に落下し、強かにお尻を打ってしまったが、痛みにかまけている暇もない ]
星司、星司っ!しっかりして!死んじゃやだよーっ!
[ 這うように、倒れた星司の傍に寄って、そのセーラー襟を掴むと半泣きでゆさゆさゆさ ]
『どっかで見たわねえ...このシーン』
[ すっかり呆れ返った調子で、風の妖精がひらりと翅を揺らした* ]
― 世界樹の枝の上 ―
生きてる?ほんとに?大丈夫?
[ 声が聞こえると>>328漸く落ち着いて、揺する動きは止まる ]
あ、でも怪我......!
[ 左の上腕の袖が切れて、白い服に紅が染み出しているのに気付いて、はっとする ]
これ......蛇じゃないね。
― 世界樹の枝の上 ―
ボクが星司を傷付けちゃうなんて...ごめん...ほんとにごめんなさい...
[ 自分の未熟な魔法のせいで、星司を傷付けた、そう思うと情けなさでまた涙が出そうになる。
泣いても星司は喜ばないし、子供じゃないんだから泣いて許されるものでもない、とは、思っていたから、ぐ、と堪えたが、謝罪が口をつくのだけは止められなかった* ]
― 世界樹の枝の上 ―
失敗するのは...先に行ける、こと...
[ 星司が自分を責めはしないだろうということは、なんとなく判っていた。
だからこそ余計に申し訳ないと思う部分もあったのだが、続けられた言葉は、胸に響いた>>350 ]
うん...前にメル兄さんにも、同じようなこと言われた。
[ 今日失敗するということは、明日は成功するかもしれないというのと同じことだ、と、そんな風に言われたのだったか、まだ、今よりずっと幼くて、周囲からの期待に押しつぶされそうだった子供の頃の事で、その意味は理解しきれていなかったのだけれど ]
星司はすごいね。
[ きっと上手くいくと、きっぱり言い切る星司に、そんな言葉が零れ落ちる ]
いつも迷わずに前を向いて走ってる。
ボクもキミみたいになれるといいんだけど...ううん、なりたいな。なれるようにしたい。
[ 疾風そのもののような少年...彼を羨むばかりではダメなのだ、と、この頃のウェルシュは気付き始めている。
彼の隣に在るに相応しい自分であることを望むなら、それは、諦めずに手を伸ばすことによってのみ成し遂げられる ]
傷、診せて。
メル兄さんみたいに治癒の術は使えないけど、こういう傷の手当は慣れてるから。
[ 応急手当の道具は持って来ている、剃刀で切り裂いたような傷は、むしろ塞がりやすいから、手当もそう難しくはないはずだ* ]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新