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…………ッ、
[ 足が強張る。
覚えている。
昔から、母に教え込まれた言葉を。
「決して、貴女たちは、離れてはいけないの。」
駄目。
今、使ってしまったら。
どうなるかなんて分かり切っている。
でも、 ]
ー回想ー
[髪を梳く指先に瞼を震わせる。
少しだけ濡れたそれは瞬きのために雫を落とした。]
………やだよ。
[優しい声に緊張の走った身体が和らいでいく。
けれど、彼女が口にした言葉に弱々しく頭を振る。]
………ぼくが、コンスタンツェを守るんだ。
だから、…勝手に、────……。
────もう遅い。
[目を、開く。
そのまま彼女の頭上に腕を伸ばした。
剣先から弾き出た光が、敵の眼球に突き刺さる。
呻き声を上げて身悶える獣の喉を掻っ切れば、そのままの勢いでこちらに迫る数匹を払い除ける。
蹴る。切る。引く。押す。斬る。
息は荒れている。
利き手である左手は膿んで熱を孕んでいたけれど、軸がぶれることはない。
最後の一匹の喉元を抉る頃になってようやっと、脈が乱れていることに自覚して笑う。]
コンスタンツェ、
[先に進むぞ。
続けようとした言葉、用意した言葉は郷愁の名残など見せない怜悧な眼差しのつもりだった。
だが、滲む視界に崩れる身体は困惑を残して地に伏す。]**
/*
みんながどんなこと話してるか気になる!!る!!!
薔薇の下国ガチ村以外で使ったことないから新鮮だなあ。
装飾の使い方うまく扱えなくて全部手打ちという。。
―回想―
[ 昔から、綺麗なものが好きだった。
縁に飾られた一枚の絵画。
植木に苗を下ろす蕾。
籠の中で囀る小鳥。
鎖で繋がれた煌びやかな宝石。
触れる時には、細心の注意を払った。
掌の奥に閉じ込めてしまうと、確かな重みを持って伝えてくれる存在を隠して、隠して、閉ざして、奪って。 ]
[ 薄明かり。
毛布だけを被った狭い世界の中。
お互いの温もりがあるだけで、たとえ自分が“失敗作”だったとしても、良かったのに。 ]
ぼくは、 私、だ。
[ 美しいものは、全部。
誰かが愛さなければ、価値の失ってしまうもの。
だから、あの時、ぼくは死んだのだから、全部、捨ててきた。 ]
………だから、早く。
魔力を私に、
[ 強請らなければ、自分は何一つ出来やしない。
魔物を降魔し、退ける退魔士だというのに、あまりにも虚弱に生まれた自分は、使役させる魔物に首を垂れる。
代々がそうして来たことだ。
割り切らねばならないことは分かっているけれど、これじゃあどちらが主人なのか、分かりゃしない。]**
[ 強情な態度>>199に眉間の皺は深くなる。
だが散々痛めた身体では碌な抵抗すら出来やしない。
ひんやりと冷えた掌。
最近は煩わしく思っていたそれが心地よく、目を細めたのは無意識。
上擦る声が湿っぽい息を吐いたのも、自覚などせぬまま、相手の言葉>>200に、呆気にとられてしまった。]
な、にして………
[ 腕を伸ばそうとしたけれど、つきりと痛むのは掌の甲。
指先も力み過ぎたのか擦り傷がいくつも出来ていた。
そのことに眉を寄せつつも、顔を背ける。
徐々に露わになる日に焼けることを知らないような透き通った首筋。
相手の笑みの理由が分からない。
表情は、──────知っているものの筈なのに。]
…いらない。血を、吸うなんて。
それこそ、魔物だ。
[ようやっと、捻り出した声は掠れていた。
それは怒りからくるようにも、怯えているようにも、聞こえたかもしれない。
表情を見れば、後者であることは一目瞭然なのだが。]
魔力なんか、なくたって。
…どうせ、その内尽きる命だ。
ちょっとくらい早まったって構わない。
僕でなくとも代わりは沢山いるんだから。
[ だから見られないよう顔を背けようとしつつ、落とす言葉は後ろ暗い。
自虐的な笑みを添えると殊更に。
彼女の反応はどういったものだろう。
後頭部にあたる膝の感触に懐かしさを覚えど、振り切るばかりに肩を抱く彼女から逃げようと、身体を捩ってはつま先に力を籠めた。]**
[ 唇は物言いたげに開いては、閉じるを繰り返す。
詰めた息は浅い。
不規則に揺れるのは、闘いの名残か、それとも他の要因によるものなのか。
それは考えないようにした。
背骨を辿るように腕を相手の背中に這わせる。
辿々しい動きで、引き結んだ口元を、]
“リヒャルト”は幾らでも、いる。
[使わない。
空いた片手で相手の首筋に爪を立てる。
そのまま浅く皮膚を傷付ければ、中指の腹で掬う。
そのまま指先で自分の唇を撫でれば舌で湿らせる。
じわり、と足裏から気力が戻ってくる感覚に一息吐きながら、口角を上げて囁いてやろう。]
[魔力の配給は終わった。
だが、完全に使役する程の力が循環していると思えなかった。]
コンスタンツェ、離せ。
[要件は終わったのだから、と肩を押す。
先程よりは力が入っていることは、それだけで分かるはずだ。
礼を言う素振りなど片隅も見せず、横暴に我がままに、振る舞う。]
………時間は、あまりないんだ。
だから、早く。
[抜け出せたのなら剣を探して。
どちらにせよ相手を見据えたのなら休憩する素振りも見せずに促しただろう。]**
[ 安堵は無い。
物に傷を付けるかのような手つきに思われた。
目元が痙攣して、吐息を飲み込む。
腕が辿った背骨が今更になってむず痒い。
腕の力が抜ける。
"そんなのただの子供だましの言い訳でしょ"
そう言ってしまいたかった。
視線はただ呆然と虚空を見つめる。
何の表情も称えないまま。
コンスタンツェの中の何かが、蓋を開けて片足を出そうとしている。]
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