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カシムの存在をすっかり忘れていたので何か噴いた
ところでカシムが「菓子無」に変換されていろいろと悲惨な状況を思わせますねカークとかヒンメル方面で
[次に聞こえたのは、皆の笑いさざめく声と、波の音]
[次に見えたのは、皆の笑顔と、陽光きらめく穏やかな海]
――ああ、海に来てたんだっけ。
[そう思いながら体を起こす。いつの間にか、眠ってしまっていたようだった。
ずいぶん長い時間が経ったような気がしたけれど、まだ日は高い。
ぼんやりする頭を振って、永久水晶を収めた器に手を伸ばす]
カーク先輩、今アイスティー作りますね。
……僕も飲もうかな。
[胸の辺りが、べたりと重い。
手で触れながら見てみれば、大きなわかめが貼り付いていた]
……ノトカー。
[近くでわかめを手に戯れている旧友を、軽く睨んだ**]
あ、ありがとうございます。
[>>+15わかめを取り除くのを手伝ってくれた上級生に礼を言い、はしゃぐ友人達の姿にため息をつく]
……実技特訓に来たんじゃなかったでしたっけ。
泳ぎはともかく、わかめをばらまくのは何の訓練のつもりなんだか。
[カークへ向かってぼやきながらも、顔は笑っている。
訓練というのは、生徒会が動く上での名目上のこと]
せめて、少し泳いできましょうか。
[夏の太陽を白く眩しく照り返す砂浜。
キラキラと輝きながら打ち寄せる波。
皆の笑い合う声。誰かがまた悪戯をしたのか、時折上がる悲鳴も楽しげなもの]
砂浜を走るのもいい鍛錬になるでしょうけど、あまり楽しくないし……。
[何でもないような会話をしながら、
その光景に、違和感を覚えていた。
自分でもその理由がわからぬままに、周囲を見回す]
どうして、会長がここに。
[テントの陰で涼しげな顔でアイスティーを口にするリエヴルの存在に、首を傾げる。>>0:502
いや、何の不思議も無いはずだ。
そもそも、こうして海へ来ることになったのも、ダーフィトやリエヴル>>0:489の主導で――]
……ちがう、だって、
急にいなくなって、あんなに悲しかったのに……
……ここは、いったい……?
[――いつの間にか。
誰がどうやって運んできたものやら、大量のスイカが砂浜に並べられていた。
トールが、シロウが、他にも皆が次々と、木刀を手にしてそれへ向かって行く]
…………!
[いとも簡単に叩き割られていくスイカ。
白い砂浜は赤に染まり、
地面にはいくつもの、無残に打ち砕かれた果実が転がっている]
[皆の姿も、海辺のテントも、兎も猫も紅茶も珈琲も、消えていた]
[荒れ果てた海岸]
[波打ち際には船の残骸らしきものが打ち寄せられ]
[砂浜にはいくつもの、無残な――]
『ああ、現地部隊からの情報は届いている』
[そんなはずはない]
『市街地も校舎も打ち壊され、緑は焼き払われ酷い惨状らしい』
[だって自分は、戦場となったシュヴァルベをこの目で見ていないのだから**]
うん
プロローグの最後で死亡明記しようかと思ったんだけど
なんとなくしそこねた
まあ流れで何か考える
生きてても確実に失明はしてるなって感じ
[戦場の海の景色も消えて、今立っているのは暗い森の中。
戦場でもない。平和な頃のシュヴァルベでもない。
童話の中にいるような、影絵の森。
どこかで、誰かの泣く声がする]
[目をこらせば、蹲る影ひとつ。
ひとりぼっちで泣いているのは、法服姿のオオカミだ]
[仲良しだった少年を食い殺してしまったのだと、泣いている。
暗い、暗い、森の中。たったひとりで泣いている]
…………。
[伸ばした手が、オオカミに届く前に。また、何も見えなくなった]
[辺りは闇。
自分の存在さえ溶け消えてしまいそうになる濃密な闇]
[ここがどこかはわからないけれど、
ここにいてはいけないのだと、強く思う]
……でも、どこへ行けば。
[当てもなく歩き出す。
足の裏に感じる地面らしき感触はあったが、周囲はただ真っ暗なまま]
…………。
[足を止め、ため息をついた時。
頭の上からぶふん、という音とともに生暖かい空気が降ってきた]
!!?!?
[振り返れば、暗闇の中に僅かな光――つぶらなふたつの黒い瞳があった]
…………君は。
[手を触れて確かめる。
滑らかな毛並み、豊かなたてがみ。しなやかに引き締まった首と背中]
ナハトフルーク……!
[学生時代に、訓練でよく騎乗した馬。もちろん自分の所有ではなかったけれど、親しい人々からはパートナーとみなされるほどに、互いの相性は良かった。
まだ若い馬だったから、自分の卒業後も訓練用の軍馬として健在だとは聞いていた]
……乗れって?いいの?
[青毛の牝馬が、服の襟を噛んで、軽く引き上げる仕草を繰り返す。
促されるままに、その背へ跨がった。
懐かしい感覚。
夜間飛行の意味を持つその名にふさわしく。
暗闇の中を、彼女は躊躇いなく駆け出した。
――そして、導かれた先は]
あれ、カーク先輩。
[馬に任せて進むうち、ぼんやりと、周囲が明るくなってきた。
前方に見えるのは、ついさっきまで話していた相手の姿。
でもあの海辺の光景は、幻だったのだろうと思う。
そこでは互いに海水着姿だったけれど、今はどちらも軍服に身を包んでいて、]
……ナハトフルーク?
[青毛の馬は、カークにまっすぐ近づいていく]
[ステファンが5年生の終わりに受けた、エンデュランスの実技試験の日。
ナハトフルークに振り落とされたことがあると言うカークに、彼女はバターの香りを嫌うのだと話した。
その時は、たまたま朝食にでもバターを口にしたのだろうと思っていたけれど、後に彼の趣味が菓子作りであることを聞いた。
その後の生徒会行事や卒業パーティでも、何度もその腕前に頼ったものだ。
学生時代の彼に関する記憶は、いつもバターやバニラの香りと共に在った。
そしてナハトフルーク号は、一度も彼に近づこうとしなかった]
…………。
[馬が足を止めた。カークの隣に、ぴたりと身を寄せるようにして]
[カーク・バッカーことカーク・フォン・バウムガルテン。
バウムガルテン男爵のひとり息子で、現在は公国軍中尉。
軍服に身を包んだ彼からは、もうバターの香りはしないのだろう。
馬を下りてから、呼びかける]
先輩……いえ、バウムガルテン中尉。
右脚、どうかされたんですか?
[辺りはだいぶ明るくなっていたけれど。
カークの右脚だけが、靄に包まれていて見えなかった**]
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