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12人目、紫忌星 エレオノーレ が参加しました。
紫忌星 エレオノーレは、瘴狼 を希望しました(他の人には見えません)。
[ 15年前のあの日。
空を流れて僕はこの地へと降り立った。
僕はとてもとても疲れていて。
何かを模る事も出来ず、紫色の煌く石となって野に転がっていた。
このまま朽ちてしまうのかな。
そんな事を思っていた時、僕を包む暖かなものがあった。
それが、人間の女の手だと気付くまでには、少し時間がかかった。]
[ 人間の女は、僕を手にとって物珍しそうに眺めた。
僕にとっては、絶好のチャンスだった。
最後の力を振り絞り、なんとか女の体内へと入り込む事が出来た。
でも、この女を食らう力は今の僕にはない。
だが幸運な事に、女の体内には小さな命がもうひとつ宿っていた。
恐らく女も気付いていないであろう小さな命。
僕はその命を食らい、そして回復を待つ間その命の代わりをする事にした。]
[ 女の腹の中で、命の真似事をする。
それは中々に悪くなくて、もう少しだけ此処に居ようと思うようになった。
僕は使命を忘れないように記憶を夢の中へ閉じ込めて。
女の腹の中でいくつもの朝と夜を迎えた。]
[ ヘマをしたのは、十の月を数えた頃だっただろうか。
その頃には僕はすっかり命になりきっていて。
こうして腹の中で眠る僕と、たまに見る夢の中の僕。
どちらが本当なのかわからなくなってきていた。
しかし、育ちすぎた僕の体は女から送られる養分だけでは足りなくなっていて。
つい勢い余って、僕は女を中から食い破ってしまった。
急に外に放り出される事になった命の真似事をしていた僕は訳もわからず。
腹を何かに食い破られた女の隣で泣き叫び続けた。]
[ 女の家は辺鄙な場所にあり、泣き叫び続けても誰かがやってくる気配は無かった。
もう声も枯れ、泣き叫ぶ力も残っていないと感じたその時。
そっと身を包む暖かなものを感じた。
それはあの日の暖かさと同じ。
けど、あの日と少し違ってゴツゴツしたそれは、人間の男の手だった。
男は旅の途中で此処に辿りついたのだろう、沢山の荷物を抱えていた。
そして男が僕を抱き上げてから暫くして。
男は悩んだ末に庭に穴を掘って、女を埋め。
僕を抱いてその家を後にした。]
[ 命の振りをしていた僕には何がなんだかよくわからなかったけど。
物心がついた頃には、兄が一人、出来ていた。
そしてその頃にはすっかり夢と現が入れ替わって。
僕は――――… ]
………。
[エレオノーレは俯いたまま、ゆらりと立ち上がる。
その傍らには心配そうな兄の姿が在っただろうか。
物憂げに伏せた瞳を一度だけそちらへ向ける。
が、その瞬間。
エレオノーレの体は端からどろりと黒紫色のものへと溶けて。
そのどろどろは一箇所に集まると尾羽の長い鳥のような形を模った。
黒紫色の鳥は石の玉座に座すセルウィンの元へと翼をはためかせ、優雅に彼の腕へと**]
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