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12人目、灰鋼色の竜 ディルドレ が参加しました。
灰鋼色の竜 ディルドレは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
― 王都陥落の日・大森林 ―
[人の介入を拒むように鬱蒼とした木々がひしめきあう、シェーンバルト南方に広がる大森林。
エルフの集落、トレントの西域、妖精や小さな生き物らが、密やかに暮らすこの森の一角に、いつからか見上げるほどの大きな竜の形をした石があった。
だがその石に近づき触れれば、その表面は日に当たったかのように温かく、微かに脈打っているのがわかるだろう。
大きな竜は長命を表す。
くすんだ鋼の鱗を纏った躰は所々緑や灰の苔が覆い、この竜が古くからこの場にじっと留まっているのが伺える。
何時かそこを居と構えたか。それは竜にとって当然と言える事で理由としては些細な事でもあった。
大切なのは、竜がこの地を終焉の地に選んだという事のみ。
竜は自分の命が長くない事を理解していた。]
[死に様を晒すような無様な真似を、老いた竜は良しとはしなかった。
故に竜は介入を拒み、結界を張り、グラムワーグへと還る為長い準備期間に入った。
それでも何かしらの手段を持って訪れる者へは、呆れをもって迎えた。
旅立ちまで時間があるうちは、それらを無下に撥ねつける事もなかった。面白いと思った物は歓迎もしただろう。
竜は小さな生き物には比較的寛容だった。
何故なら昔、我が友と呼んだ人もまた小さな生き物だったからだ。]
[だが竜は誰に対しても寛容であったわけではない。
小さな友人の敵に対しては容赦もなかった。
遥か昔の戦いで、竜は竜として友人の敵を容赦なく屠る。
その過去を夢に見思い、今を遠視し目を細め、未来を夢想しながら、森の奥深くで、竜は浅い眠りと覚醒と、深い眠りをくり返す。
竜は突如、刹那の夢から目覚めた。]
[その長い顔を天を仰ぐようにして見上げ。
大気に混じったものに、青銀の目を丸く見開いた。
懐かしくさえある、たった今夢で見たそれに竜は慄く。]
あぁ…ああ、我が友よ―――
まだもう少しの間、
お前とは会えそうにないと思っていたけれど…
[憂いを含む声で鳴くと、灰鋼色した竜は折り曲げた手足を伸ばし、立ち上がり大きく羽ばたいた。
体躯に絡んだ蔦は蜘蛛糸のように切れ、埃のように土と苔と草が舞う。
結界を関係なく行ききしていた、小さな者より更に小さな物たちが、突然の竜の挙動に慌てふためくようにしてその場から逃げてゆく。
竜はそれらを踏みつぶさぬように注意しながら、もう久しぶりに動かす事のなかった被膜を張り羽ばたき地を蹴りあげて、かつての住処であった空へと発った**]
― 450年前:大森林 ―
[>>139そこに住まいを決めてからさてどれくらい経った頃だろうか。
あるいはひと時の休息を求めて、うっかり数年と眠っていた時か。
とにかく大事なのは、そこに子供がやって来たという事実の方だった。
眠りながらも、竜の耳には子供の声が届いていた。
妖精の子供の頭上にある青銀の瞳が、重い瞼の下から出て来て見下ろした。
厳重に張られた結界の中で悪さをしようものなら相応の報いが返ろうものだったが、幸いといっていいのか子供は違う悪さに移行したようで。
その様子を竜は暫く眺めていたが。]
お前、混じり物だね。
[その手が無遠慮に躰に触れようとした時、頭の上から声を落とした。]
その体に流れる血も、その体に宿る物も、
何もかもお前だけという物が無い。
それから幻滅するのは勝手だが、
あたしの鱗を土産に持って行こうとするんじゃないよ。
[淡々と落とした言葉の後、虚空からぺしんと払うように子供の手を風が払った。]
― 450年前:大森林 ―
[>>167子供と侮るには眼下に居た子供からは暗い気配を感じ。
竜は唯一その身に残った、青銀の目を細める。]
綺麗、ねぇ。
あんたの親は喜んで綺麗になってあんたを称えたかい?
あたしは遠慮させてもらおうかね。
ああ、ケチで結構さ。
[得意な事をひけらかす様に、あるいは新しい玩具を使いたくて仕方のないように笑う子供を、それでも竜は静かに見つめていたが。]
……お前の声には聞き覚えがある気がするね。
[子供のふっくらとした唇から零れ落ちた、子供とは思えぬ声に竜は明らかな不快を表しながら喉奥を唸らせた。]
本来在るべき姿を逸脱し、
魂を子子孫孫まで歪めようとするお前に比べればマシよ。
触媒にあたしの鱗は貸せないね。
それ以上の用がなければ、今すぐここから去るといい。
[竜は目を細め睨むようにしながら、子供の姿をした何かを見つめてそう言った。]
― 450年前:大森林 ―
[>>196再び子供の顔に戻ったそれが語る言葉に、竜は鼻を鳴らした。]
ハイブリット…ああ、成程。
[その口ぶりから父親が白エルフかあるいはそれ以外かと竜は思うが、子供の過去にはそれ以上の興味は持たなかった。]
ハッ、小僧が愛なんぞ語るには
100年…いや500年は早いわ。
そんな台詞はその背丈があと半分伸びてからお言い。
[それよりもと違う所に皺を寄せるようにして口を挟み。]
[駄々をこねながら、その表面だけは愛らしく可愛らしくねだる子供に竜は首を横に振った。邪悪を含むこの子供に渡せば何をされるかは、子供自身が語っている。竜は愚者ではなかった。]
あたしは名前も名乗らず勝手に鱗を盗もうとするような、
礼儀のなってない小僧に鱗をやる義理も、
殺されてやる義理もないね。
さぁ、勝手にここに入って来た事は水に流してやろう。
さっさとお帰り!
[竜は吠えるように白肌の黒エルフへと怒鳴りつけた。
同時にそれは呪と動作となり、子供を結界の外へ吹き飛ばさんとする勢いで、その前面に突風が噴きかかった。]
― 450年前:大森林 ―
[子供目線の価値観を竜が理解出来るはずもないが、殲滅を臥所とはしない灰鋼の竜は子供を追い払う事で自らの寝所の安寧を守った。]
ヴェルザンね…名は覚えておこうか。
[吹き飛ばすのが早かったお陰で、名前を十分に聞き取れなかったが些末な事。
竜は再び目を閉じて、しばしの眠りにつく。
結界の外での遠吠えは聞こえたものの、その力の差を知る竜は大して気に留めもしなかった。
その後200年の間、子供は度々訪れあの手この手と鱗を剥ごうとしてきた為、竜は子供の事をよく記憶に残していた。
懲りない様に呆れもしたが、竜はその子供を殺める事はしなかった。
土産代わりに渡すものは、いつも突風や衝撃などの追い払う力だったが。
やがて来なくなったのは、諦めたのか子供が大人になったからか。
どちらにせよ、竜は安息を手に入れたのだった。
それはほんのひと時の間の事だったが**]
― 王都陥落の数日後・王都上空 ―
[竜はジルヴァーナの上空で様子を伺っていた。
あまり訪れなかった国の要は、だが見てわかる程度に破壊され、竜はまだ色の残った青銀の目を険しげに細めた。
だが竜はそれらには介入せず、ただじっとその時が来るのを待っていた。]
…………。
[城門の前。そこにある気配に探していた者の姿を見止めるのと、空間が揺らぐのとはほぼ同時。
そして竜は降り立った。揺らいだ空間が、再び紡がれる場所へと。]
― 王都陥落の数日後・王都 ―
[揺らぎはふたつあったものの、竜は惹かれるように強い光を放つ方へと向かった。
王城からはいくらか外れた場所で、まだ涙に濡れた顔をしていただろう少年の前に竜は降り立った。
突然空から現れた巨大な竜の姿に、さしものオークやゴブリンらも驚いたか。
>>273主命により光に刃を向ける物も居たが、その腕で薙ぎ払い、王子の元へはやらなかった。
長い尾を力強くたたきつけ地にヒビを入れ、近づくなと威嚇するように唸り、少しの安全を手に入れてから竜は少年を見た。]
…お前、生きているかい?
[あらゆる意味で、この光はまだ生きている”か。竜は頭上から問いかける。]
我が名はディルドレ。
シェーンバルトの大森林に住む竜。
最後に残ったロルフの
いきなりアレに挑む勇気は認めるけど、勇気と無謀は違うねぇ…。
[苦笑のような声は、その命が潰えなかった事への安堵でもある。]
さて色々と話したい事はあるけれど…ここはもうあいつの領域だ。
お前の身柄は一端、あたしが引き受けよう。
[背に乗せる時間が惜しいと、竜はカレルを注意しながら手に掴むと、地を蹴り空へと飛び立った。]
― 王都陥落の数日後・王都 ―
[>>346若い王子の返事を聞いて、竜は満足したように目を細めた。
王気に満ちた光は輝きを放っている。
これなら手をかける意味もありそうだと、竜は王子をその手で囲う。]
カレルか、短いがいい名だ。
ふむ、怪我をしているようだね?
治療を――
[空に一度身を置いてすぐ、大気の力を借り術を施そうとしたが、紬の言葉をかけるよりに背後に殺気を感じて首だけが背後を見る。]
[>>345幽鬼のようにこちらに向かって飛んでくる闇の精霊の、そのさらに奥にいた術者である男の姿を目にし、少しだけ目を開くとまた細めた。竜は男の事を記憶していた。]
久しいな小僧……いやヴェルザン。
悪いがこの子は譲れない。
[言葉は遠く離れたこの場からは聞こえないだろうが。
竜はそのまま離れようとするが、放たれた闇の精霊の速度は早く、纏わりつくように竜の翼を狙っていた。
それ一撃一撃は致命傷にはなり得ぬものの、老いた龍には煩わしく何より今は手の中に光がある。]
鬱陶しいねぇ…
小物如きに劣ると思うか!
[身体を捩じり大口をあけて、放つは炎を纏う
巻き込んだ精霊を溶かした後、竜はその殺意の先を、地に残る術者へと向けた。]
潰えよ!!
[咆哮に大気がうねりを上げて収縮し、竜の力へと変換されてゆく。
ヴェルザンの頭上に、火球に包まれた岩が雨のように降り注いだ。]
[そうして追撃を退けた後、竜は速やかに住処へと戻る。
それから二年の間、竜もまたその身を森の奥、より強く閉ざされた結界の中へと潜めた*]
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