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[部屋を出た後も、クロードは凄く良い足音を響かせてくれた。
嗚呼、王宮楽師の太鼓の音なんぞよりも物凄く心地良い]
カナン。我々の文化ではね。
土産物を高く積んで、彼の様な人に土下座した挙句、殴られるという独特な求愛文化があってだね。
…おっと。その際の文句は君の発想に任せようではないか。
[何しろ巫女姫の心さえ伴えば、この上無く最高の恋愛兼政略婚なのだ。
共和国に対する開国準備も軽く五年は縮まる。寧ろ巧くいけば即時開国に於ける支障がオールクリアされるのだから、逃す手はない。
満足気ににこにこと。とても愉しそうににこにことクロードを見送った]
[若干捉え辛くも、何となく感じられた視線の動きを認め]
…君達は最初に引き受けられた者に恵まれたからだね。
クレメンス卿が特別奇特な御仁なのは今更の説明だろう。
彼も特別な隔意がある訳ではなかろうが。
まあ、千年嵐の岩戸に潜んできた者とはこういう物だ。
[それこそまさに隔意を抱いていた男が良い例題となる]
今更な事を。私はまだ彼の菓子を食う利に預かっていないのだよ。
[カナンの強かな笑みには両肩で返し、やがて男も出立の本調整に掛かり出す事にした*]
― ブラバンドへの道 ―
[やがて盟主率いる解放軍はブラバンドへの道程を目指す中。
行軍中の天幕で、男は
… … …アレイゼル家とクレメンス家は仇敵でね。
ここ三十年四十年の話だ。
先代である父が、妙にクレメンス卿に敵愾心を抱いていたんだよ。
[行軍中にパティシエを連れて来る事を失念していた!!と催促しておきながら。
ぽつりと唐突に語り出したのは、確執]
先代は、記憶通りならばクレメンス卿と同じ年でね。
生憎、息子である我が目からも父の能力は彼の卿には負けていたよ。
私が生まれるより前の話なのだがね。
随分昔、彼の卿は小船で異国を目指すという愚挙をやらかした事がある。
聞いた事はあるかな?
尤も。彼の卿を見た通り、それは失敗した。
クレメンスの放蕩者、長じては海賊卿、奔放すぎるあの方は敵も多かったからね。
『そんなに王国より外界が大事か』――…。
異国を目指した、彼の卿を罵る時の、先代の口癖だ。
その様に、我が父に歩み寄る姿勢が無かった事と、我がアレイゼル家とクレメンス家の格式が丁度凡そ同等である事から。
自然と、今回のオプティモの様な表立つ貴族間対立は、両家間が多くてね。
[紅茶から立つ暖かな湯気を眺めながら、語る言葉は続く]
先代は結局、最後までクレメンス卿の心は王国の外にあると考えていた。
私は、そうだな。私個人はクレメンス卿に敵意は無かったつもりだが。
然し、父親の影響は少なからず存在したらしい。
… … …惜しい方を亡くした。
彼が今此処にいれば、王国の安定は随分楽に進んだろう。
その才覚と国を想う心が、よりわかりやすい形で伝われば。
彼の卿が没した時はそう思わなくもなかった。
… … …先代当主、ダルメシアン・フル・アレイゼルは… …。
若しかしたら、卿に嫉妬でも覚えていたのかも知れないな。
[浮かべたのは微かな苦笑と、亡くした父と彼の卿を思い出すそれだ]
同じ貴族の家柄、年も近い。
それなりに交友もあったろう。ライバルとしての対抗心も十分。
然し己を上回る才覚。だがそれは認めて、やがては王国の柱と。
そんな考えを抱いていたから、勝手に裏切られた感覚に陥った。と。
折角の、己よりも秀でた腕があるのにと、卿の心を理解できずに。
…我が父上は、あれで意外と人間臭さがあったと。
彼の卿を亡くしてから、なんとなくそんな想像が浮かんだよ。
…すまない。妙な話に付き合わせたかな?
[此処で話は終わりと切り、男はシメオンに向き直る]
ブラバンドは近い。
この王国が此れからどの様に生まれ変わるのか。
シメオン・オリオール。君もその目で共に見届けよう。
[やがて行軍が続いた先に、解放軍は辿り着くだろう。ブラバンドに**]
/* ふぁっ!?
姫様が想像以上に大胆に迫るのを認識して、貴族は貴族はおもわず声がリアルにでたで貴族。
さあ、クロード君はやく神殿にいくんだブラバンド後でいいから!!
そして今すぐ貴族に修羅場をみせてくれ貴族!!(
― 王都ブラバンド ―
[立ち並ぶ兵、炎を瞳に宿す民衆達。
先行きを夢見る者達、多くの者が門の前にいた。
無血開城。
それは対外的における王国の内乱が解放軍の勝利で確定されたというひとつの形。
不安と疑心、恐怖と慄き、ブラバンドの臣民はそれらを感じているのだろう。
だが、それらをどう扱うかは、彼の英雄の役目だ。
門が 開く ]
[然し王都の住民と云えど、敵ばかりではなく、期待や好奇心も存在する。
新しい事に目を向けたがる若者は特に。これまで巫女姫や貴族しか国を動かして来た事の無いこの国で。
この盟主、英雄、クロード・ジェフロイが今から何をしようというのだろうか。
それを見てやろう、見てみたい、そんな眼差しだ]
恙無く任されたよ。
こちらも街と、後王府の掌握を任されよう。
オルヴァル卿…いや、我が婚約者殿も動いてくれている…。
[演説の準備を幾分かの兵士にも手伝わせるも。
男は民衆が恐慌せぬ様に停滞する行政やブラバンドの流動を預かりつつも。
[然し王都の住民と云えど、敵ばかりではなく、期待や好奇心も存在する。
新しい事に目を向けたがる若者は特に。これまで巫女姫や貴族しか国を動かして来た事の無いこの国で。
この盟主、英雄、クロード・ジェフロイが今から何をしようというのだろうか。
それを見てやろう、見てみたい、そんな眼差しだ]
恙無く任されたよ。
こちらも街と、後王府の掌握を任されよう。
オルヴァル卿…いや、我が婚約者殿も動いてくれている…。
[演説の準備を幾分かの兵士にも手伝わせるも。
男は民衆が恐慌せぬ様に停滞する行政やブラバンドの流動を預かりつつも。
アレイゼル家の私兵達が、民衆達に隠れつつも、王府に残る官僚貴族達の邸宅にそれぞれ向かっていた]
[アレイゼル軍を用いて来たのは、治安維持以上にこちらの本命。
そう、兼ねてよりクレメンスとの対峙で大きく浮き彫りに晒された、貴族諸侯の一斉摘発。
コレから国は生まれ変わる、新しい場所へと行くのだ。
その為には不要と判断する物。花に群がる害虫を摘み出す機会は、やはり今この時以外には存在しない。
年末の大掃除もしないで、美味しい節は食べられないからね。
地区や組織から提出される治安や行政の書類を裁きながらも、共和国の副使が居る時、男はそう、穏やかそうな黒い笑みで事も無げに告げていた。
正面から見れば、悪辣な貴族への制裁だろう。
背中から見れば、己に従わない貴族を陥れる残酷だろう。
そして側面で見れば、これからのナミュールに本当の意味で必要と判断される貴族の選別。
益ならぬ虫の中にもいる、花より蜜を授かり粉を運ぶ事の出来る者達を見出し。
咲き誇る花をより豊かに]
[夜が深まり闇の中でも、時間は流れていく。
明日の朝日を迎える為に、確実に。
怯える民衆もやがては想像する恐怖の無い、平和なブラバンドに気付き姿を見せるだろう。
解放軍の演説が明日行われる、水面の波紋の様に静やかに広まる解放軍の噂。
街に広がり人々の心に欠片でも届いていき、やがて朝は訪れる]
― 開城翌日・ブラバンド舞殿前 ―
[舞殿、本来巫女姫以外には赦されぬ場所に、新たな存在が立つ。
王国の歴史では到底起こりえない奇跡にも近い出来事だろう。
故にこそ、多くの民衆がこの場所に訪れるのだ。
今王国の歴史が変わる、その場面を見たい、そう考えてしまうからこそ]
同じで考えてはいけないね。
何せ単純な人口でも倍以上の開きがあるのだから。
…何よりも、シュビトでの時は
未だ若者達の反乱決起に過ぎない彼等だった。
だが今は違う。
[人波に気をつけるシメオンの隣で、そう語る男の瞳は舞殿に向けられていた。
そこに立つ者、国を、未来を導いて此処まで連れてきた者を]
[壇上にひとり立つ、英雄の演説は、あの時の物とは違う。
巫女姫を立て、王国を想う言葉を静かながらも強く開き。
声はひとつの暖かい風となり、民衆の心に染み渡らせる。
暖かい風だ。炎を纏う様な、焼き尽くす風ではない。
旧態を否定する、貴族を否定する、王国を否定する。
瞳の向こうにある未来の手前には焼け野原のある、そういう色の風ではなかった。
自分たちの手で。
自分たちの想いで。
誇りを抱き、祈りを紡ぎ、王国を支えるそんな願いの込められた]
…ふふ。 今度は素直ではないか。
多少たどたどしい所もある。
だから上辺を取り繕う様な嘘がない。
思いの丈をそのまま人々へ与えて、繋げて行く。
悪くない言葉だよ。
それは決して、何に劣るも勝るも無い。
純粋に未来を想い願う、強い祈りにも似た気持ちだ。
…クロード・ジェフロイ。 それが君の考え歩んだ道だ。
よく此処まで来た。
[そう呟いて。 男はゆっくりと、然し惜しみの無い拍手を。
民衆の中、共に贈っていた*]
貴族 ソマリが「時間を進める」を選択しました
― ブラバンド王城 ―
[この王国を導いていく新たな演説が熱気と拍手と。
そして何より、自分達が住まい、愛するこの王国の行末を民衆達自身が自分の胸で考える。
そんなささやかで、然しコレまでと決定的に違う、明日の王国への始めの兆を芽生えさせる頃]
…やあ、クローディア。
まさか君が、そこまでお転婆さんだとは、私も予想していなかったよ。
ガーティは、姫王の時代より続きし代々の武人として非常に優秀だった。
だが君は、どちらかと云えば私に近い人種として成長したね。
ふふ。君達兄妹で、オルヴァルの上澄みを分け合ったという所かな?
[王城。それは執政官や大臣が常に在し、時には巫女姫を交え、王国の舵取りを行う、王府。
巫女姫の清廉さを表す様に、清らかな白で統一される王城の広間で、男は私兵達を供に、淑女らしく歩んでくる従兄妹を軽く抱きしめてみせた]
――… これはこれは。お待たせ致しまして申し訳ございません。
日々ブラバンドより王国の行末を占われし皆々様方。
[王府の会議室、そこには多くの私兵が武器を手に控えていた。
然し兵の全てはアレイゼルの。
そして会議室の席に、無理矢理揃えたのは、幾名かの貴族諸侯]
[彼等、王府の主要な貴族諸侯は、ひとつ現状への心当たりが存在している]
さて、皆様方に於かれましてはこの様にしてご足労願いました心当たりがあられる御様子。
王府と王国の行末を取り纏められる、諸君らの大事な身柄。
実に堅実な手堅い采配を一致団結なされて、此度の国難を乗り越えようとされました事。
このソマリ・フル・アレイゼル、先達方の御慧眼に感服するばかりで御座います。
[貴族諸侯の何者かが大声をたてるが、男はどうしたと小首を傾げる]
…おや! どうなされました?
貴公達は誇りある王国貴族の一員、今日まで民を導き続けてきた先頭者としての地位に相応しき風格を、どうぞ。
寛大にして慈悲深き我らが姫様は感謝されておりましょう。
貴公達がここブラバンドに居られるからこそ、御自身は王都に戦禍を招く事を避ける御英断をなされたのですから。
[巫女姫の英断はそして、アレイゼルの領主の助けにも図らずともなっているのだ]
…然しそれらも今日までで宜しいのです!
[笑顔を浮かべ、男は、会議室の卓をぐるりと一周する様に歩いて。
私兵達により物理的に抑えられている貴族諸侯達の肩を、優しく叩いていく]
ブラバンドの演説を既に聴かれましたか?
彼等はこれからの王国を導いていく、新たな旗です。
新しき旗には新しき風を。
姫王陛下千年の歴史を支えた諸君らの献身と忠誠は、
今漸くひとつの荷が下りるのです!!
これまで日向と影と、王国の繁栄を支えて頂いた諸侯らに、私達は感謝と礼節を以ってその勲を労わらねばならない。
[そして最後に元いた場所に戻り、再び男は良い笑顔を浮かべた]
王国に仕えし忠義の士に相応しき、最上級の部屋を用意しております。
どうぞ皆々様はそちらで、御緩りと楽隠居戴きます様…。
[男はそして興味を失くしたか、会議室の扉へ手を掛けた]
… … …最期にひとつ、後学の為に教えてやろう。
千年の祈りを込めて姫王陛下が御育てになられた花はひとつきり。
花に侍る蝶達は、蜜を吸いつつ粉を捧げ共生する物。
花に侍る怠惰に、翼失くした害虫と成り下がった時に。
諸君らは間違えたのだよ。
[そして私兵に命じ、背中では貴族諸侯達が動かされる音が聴こえた。
それらを背後にし、男は扉を潜り……静かに閉じられた]
― ブラバンド ―
[演説後、巫女姫の元へ、ドルマールへ出立した盟主を見送り。
男は、共に残される、共和国副使と共に彼らの帰還を待つ]
…然し、歴史の転換期に立ち会う栄誉を得られたとはいえ。
私達も、なかなか大変な役回りを任されてしまったね。
…シメオン、これで満足かい?
然しまだまだ、歴史の節目は幾つも訪れるだろう。
まさにこれこそ、動乱の時代だ。
[先日の生クリームを添えたシフォンケーキを再び頼みつつも、男は書類に筆を走らせていた。
巫女姫との講和調停に、王国の方針決定、古の民達との友好に、やがて開国が待つ]
歴史家、学者としてはこれ以上ない収穫だろうね。
何せ歴史の瞬間を生で見ることが適う。
それもこの千年閉ざされた王国の歴史をだ。
…尤も、結果としてその裏方を勤めさせて貰った私については。
後の歴史家の評はそれはそれは無残な物となるのだろうがね。
[何せ表と裏をある程度みれば、王府への反逆に貴族への大粛清、陰謀渦巻く旧貴族代表として恨みや妬みもそれは訪れるだろう。
然しそういう割りには男の言葉は随分と気楽な物なのだが]
必要悪、と君はいったが、それは少しだけ違う。
貴族とは利に聡くも貪欲でなければいけない人種。
それは時に、必要とあらば主君を利用もするだろう。
然し、蜜を吸い尽くしてはいけない。
民衆も、貴族も、そして主君も、適度に花粉を与えれば
それらはやがて、再び蜜を取り戻す。
花が潤う時には潤沢な蜜を賜り
花が枯れそうな時には持てる花粉で花を支える。
それが理想的で、恒久的な利の取り方だ。
領地の運営しかり、巫女姫との立ち回りしかり。
…結局は、貴族は商人に向いている人種。
つまりはそれが私という人間という訳だ。
その点で云えば、クレメンス卿もとても貴族らしい貴族だった。
これで漸く、王国は新しい場所に行き着けるだろうね。
それがどの様な形として実を結ぶか。
まずは英雄達の帰還を、共に待とうではないか。
[そして紅茶を含みながら、甘くも素晴らしい異国の菓子を愉しみ、男は振り返る]
… … …ああ、生クリームの代わりはあるかな?シメオン**
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