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同情なんかいらないわ。
むしろ、この国での暮らしの方が、あちらよりもずっとマシだもの。
[語り掛ける声>>*3には、肩を竦めて苦笑を返す。
祖国の風は、強くて乾いて冷たくて。草木がほとんど育たぬ荒野に吹くと、砂埃を高く空へと舞い上げる]
赴任先は、わたしが志願したの。
あの要塞が、どうしても邪魔だから。
上官は…───あのお姫サマは、予想していたよりずっとお転婆だったけどね。
[時には八つ当たりで、頬を張られる事もあったっけ。
頬に何度も大きい痣を作ったが、鼓膜は破かれなかったし、鼻も歯も無事だ。
むしろ、幼少の頃に祖国で過ごした養成機関の方が、精神的にも肉体的にも、よほど過酷だったといえる]
あの砦が落とせるなら、げんこつを食らうくらい何ともないよ。
[撲殺なんて大げさだよ、ともう一度苦笑した。
何ともないはずだったのに、あんなこと…───反逆者のマネをするから。あの時わたしは、引き金を引くしかなかった。*]
― 過去・養成機関 ―
[適正があるとして養成機関に送り込まれてから五年が経過した。
ある日、子供たち一人ひとりに子犬が割り当てられる]
……かわいい!
[両腕の中に収めると、柔らかくて暖かくてフカフカして。
愛情かけて大事に育てろと命じられた。命じられるまでもなく、わたしたちは大喜びして子犬を世話した。
訓練の合間に世話をし、躾をほどこす。
誰かの犬が粗相をして失敗すると、わたしたち全員が厳しく罰せられた。
しかし、それでもわたしたちは幸せだった。
愛情をかけた分、犬は懐いて慕ってくれる。
厳しい訓練を行った日も、部屋に戻って犬と過ごせば癒された。
その後、数か月間を犬と共に過ごした]
[やがて、犬と一緒に訓練に参加する日が来た。
一体どんな内容だろう、と何も知らないわたしたちは首を傾げた。
ようやく下された指令、それは…───犬を殺して食らえ、だった。]
[自分を慕ってくれた犬は、最後までわたしを疑わず、真っ直ぐな目をこちらに向けてきて尾を振った。
首に両手を掛けると、撫でてくれたのだと勘違いしたのか、嬉しそうに耳を伏せ目を細めた。
手に力を込めたら、───耳をつんざくような声が上がったかもしれない。
それは、わたしの手元からだけでなく、辺りからも、同じように、いくつも、いくつも]
ごめんなさい……、ごめんなさい……。
[嗚咽混じりに詫びると、背中に鞭が飛んだ。歯を食いしばって目を閉じて、頬を涙で濡らしながら、手だけは離さないようにした。
ただひたすら祈る思いで手に力を込め続けた。……やがて、手の中から、命の反応が消え失せるまで。]
[指令を最後まで拒んだ子どもがいた。
その子たちは犬と一緒に部屋から連れ出され、その後は二度と会わなかった。
養成機関には国中から子どもが集められ、そこで十年過ごした後で近隣諸国へ送り込まれる。諜報員として、国のために命を賭して働くために。逆らった者に与えられるのは、己と家族に対する死。**]
/*
時間の進め方が中途半端だったかなぁ。
適当に解釈できるようにぼかしたつもりだけど
長丁場だし、お休みの期間はあっていいと思うけど
墓下は発言あるのかな。村建てそわそわ
>>74続き
[そこに誰かが居たら会話を交わしただろうか。
ここを訪ねた理由を聞かれれば、敬礼を一つして手短に伝える]
先日、アイリ前総督がこちらを訪ねた際に、フィオン長官へ託したものがあるのです。
ただ、フィオン長官は不幸に見舞われ、後任の決定や引き継ぎもままならない今、再び我々の手元で管理をしようと思います。
[わたしは背後に控えた部下たちと一緒に、もう一度礼をする。彼女たちには既に、アマ城の地図を持ち帰ると伝えていた。
いずれ城攻めを行う際は、我々が前線に立つのだから必要不可欠だと言えば、あっさりと信じてくれた。
単独で忍び込むよりは、総督代理として部下を伴い堂々と訪ねれば、疑われずに済むかと思ったが、狙い通り事はすすむだろうか]
[やがて、わたしたちは入室の許可を得て捜索を始める。
程なくして目的のものを見つけると、わたしたちは速やかに退室した。
もう王宮には用事はない。
後継者がじきに決まるかは分からないが、双方のうちどちらかが否と唱えれば、決定は延ばされるだろう。
己がその場にいても状況は変わらない。ならば、すぐにでもゾネス要塞に帰還し、迅速に事を進めないと。
わたしは王宮から出たその足で、すぐに北へと向かった。
そして、帰路の途中で部下の目を盗み、取り返した構造図を火にくべてしまう。
それが完全に灰となるまで見守って、わたしはようやく安堵の息をついた。**]
― 帰還の途中 ―
[王都からゾネス要塞までは、馬を休まず走らせて丸一日かかる。
はやる気持ちはあれど、馬を乗りつぶしては、それこそ帰還が叶わなくなる。
王都を出て半日が過ぎた頃、日は沈んで辺りはすっかり夜に包まれた。
馬が疲れを訴え始め速度を落とす。今日はこれ以上は走れないかと、わたしは仲間たちと共に、近くの平民街に立ち寄る事にした。
小さな街だが、宿があって部屋も空いている。
わたしたちは馬を厩に繋いで、食事のために辺りを散策する。
開いている店を探していると、どこからか穏やかな旋律が流れてくるのが聞こえた。>>67]
あら、懐かしいわね。海女神様を讃える歌よ。
[いかにも漁村出身であるかの台詞が、ごく自然に口をつく。
仲間たちも足を止め、共に耳を澄ませた。この国の民であれば、誰もが馴染みに思う曲。ここから少し先に見える社、どうやらそこから聞こえてくるものらしい。
音色だけでは、一ヵ月前に王都の酒場に居た吟遊詩人のものとは分かるはずもなく。
旋律に穏やかな気持ちになりつつ、ここ最近は音楽をまともに聞く機会もなかったな、と改めて思う。
一ヵ月前は、王都の至るところに歌声や笑い声があふれていた。
国王が亡くなってからまだ数日だというのに、平和だったあの頃は随分と昔の事のようだ]
寄っていくの?
[社に入ってもっと聞くかと尋ねれば、仲間たちは顔を見合わせた後で、それぞれ首を横に振る。望郷の歌ともいえる曲に身を委ねると、これから控えているでろう戦いへの決意が鈍るであろう、とか。概ねそのような事を思ったのかもしれない。わたしもそれには同意だった]
そっか……、じゃあ別の機会に改めて聞きましょう。
[混沌とする現状を治め、これまで通りの平和な時代が取り戻せたら、また。
そのように励ますと、彼女たちは口元に薄い笑みを浮かべた。当然これも、建前であるはずなのだけど、…───本心と区別がつきにくい時が、ごくまれにあった。]
― ゾネス要塞 ―
[ゾネスに帰還した直後は、反発勢力がかなり強く、あわや一発触発の事態に陥りそうになったが、フェリクス王子からの正式な任命であると威を借り、国防が優先だと力説すれば、不満は噴出するものの、なんとか抑え込むことができた]
わたしはあくまで、総督の代理だ。
組織の正式な権限は今、フェリクス殿下の手にある。>>60
しかし、ゾネスは女の砦。いずれ王都の混乱が平定し、次の国王が定まれば、改めて沙汰は下されるだろう。
アイリ総督亡き今、北の防衛は我らの手に掛かっている。どうか、心してかかって欲しい。
[といって、そもそもアイリ総督に手を下したのは自分だが。そこで論戦を展開したら、収まるものも収まらない。言いたい事は互いに我慢しながら数日を経て、ようやく組織として機能する準備が整い始めた。
そんな折、ゾネス要塞に王都からの使者が訪れる。リーゼロッテ・チェンバレンだ。>>70]
遠路はるばるお疲れ様。
……任務を拝命します。
[ドロシーの挨拶を受ければ、こちらも形式的に述べて書簡を受け取る。それに目を通せば、これからの国防についての方針が示されていた。わざわざ書簡で伝えなくても、既に伝達は来ている。
これはあくまで、形式的なものだ。指令に反する動きをしたときに、この書簡は効力を発する]
……ご苦労さまでした。
[書面から目を上げ、最後に労い退室を促そうとする。
その時、これまでまとっていた彼女の雰囲気と口調が変わった。>>71]
話?
[親し気な呼びかけは、正式なものではなく個人的な話をしたいという事だろうか。
わたしはリーゼロッテの目くばせに気付くと、入口に立つ騎士に目をやり、頷いてみせる。騎士はそれを見ると、一礼して部屋から出て行った]
……さて、改まってなんの用かしら?
[人払いをしてから、改めて尋ねる。リーゼロッテが抱えている思いについては、何も気付かないまま。*]
……それ、……。
[尋ねられた内容>>100 に、わたしは深くため息を吐いた。
ゾネス要塞に帰還して以来、毎日のように繰り広げられた議論。ようやく要塞内部で抑えて来たというのに>>97 改めて来客から同じことを尋ねられて、わたしは正直うんざりした。しかし、これまで繰り返してきた答えを返す事にする。]
…王宮へ向かう途中、何度もアイリ様に進軍を止めるように言ったわ。
だけど聞き入れてもらえなかったの。
じゃあ逆に尋ねるけど、あなただったらどうやってあの場を抑えようとした?
[わたしは書簡を置いた執務机の前に回り、軽く机に腰を凭れさせて尋ねた]
あのまま突撃を許して、王宮を制圧すればよかったの?
そもそも、王宮に刃を向けた時点で、指揮官であるアイリ様の有罪は確定だというのに。
[他に良い手があったら尋ねてみたいものだ、これは割と本心だ。わたしは首を傾げ、値踏みをするように後輩を見る。それは、やや挑発的な態度にも見えたかもしれない。*]
…仮に、撃ったのがわたしではなくて、フェリクス殿下だったら。
あるいは、あなたのおじい様だったとしても、あなたは納得しないの?
[>>102に続けて、もう少し問いを重ねてみようか。
どんな答えを彼女は求めているのだろう。それを暴いてみようか。
繰り返された押し問答に飽きたわたしは、ちょっと趣向を変えてみることにした。*]
最初から致命傷を与えるつもりはなかった。
怪我をさせるくらいのつもりだったよ。
[実はこれは本心だった。殺めるつもりはなかったが、結果として死んでしまった。
しかし、これについては特に申し開きをする気はない。
面倒だけど、続く問いにも答えようか。>>106 しかし、随分と饒舌になったこと]
進軍の途中で進言以外で止めようとしたら、街が戦場になった。
広い王宮の門前ならまだしも、行軍の途中で乱闘になったら、それこそ関係のない多くの民が巻き込まれたわ。
あなた、そのくらいの事も想像できないの…?
[と、大げさに息を吐いて肩を落とす。彼女の反論は冷静であるように聞こえるけれど、実はとても感情に偏っていると思った]
わたしの正義は王家を、国を守る事だよ。
騎士である以上、忠誠を誓った剣を王家に向ける事はできない。
国を脅かす反逆者には当然、向けて然るべきだと思うけど。
[国の事を最優先に考える騎士であれば当然の行為だろう。
現に、監査局も一度はこちらを連行したものの、咎めなしですぐに釈放された。国の騎士として、正しい事を行ったという証拠に他ならない]
[そして、おそらくこのままでは押し問答が続く。
下がれと言っても、聞かなさそうだ。そろそろ人を呼ぶ頃合いか。
わたしは騎士としての模範解答を返しながら、相手の本心がどこにあるかを探り始める。
どうも彼女の意見は、軍人ではなく私怨のようだ、と言葉の端々から少しずつ感じ取れるようになってきた]
…なんだかあなたの話を聞いてると、あなたの正義はアイリ様にあるみたい。
国より、王家より、アイリ様が大事だったの?
大事な人をわたしに殺されて許せない、……つまり、そういう事なのかしら?
[穿ったような尋ね方をして首を傾げる。二人がどのような関係かは知らないけれど]
白狼騎士団は女だけだし、まぁ、そうした話は珍しくないけどね。
[侮蔑を込めて笑えば、彼女の劣情を煽る事は出来るのだろうか。*]
/*
>>彼女の劣情を煽る事は出来るのだろうか。
挑発前提のロルになってるwww
でもまぁ、もう時間ないし、いいか!
/*
いやー、きれいすぎるなー
この子、全然殺意わかないねww手を先に出させようとしたけど、どうしようか。
もう悪役に徹するしかないのか
[彼女が伸ばしてきた腕を、わたしは寸前で払った。>>120
机の前に置いた身を素早く返し、その裏に回る。
わたしと彼女は、机一つを挟んで対峙した。
アイリ総督を殺されて許せない、は間違いないようだ。
その憎しみをわたしに向けている。憎悪をあおったのは、わたしの言動がきっかけかもしれないけど。
”簡単に人を殺める”と言われてせせら笑う]
簡単にじゃない。覚悟があるか、どうかだよ。
あなたには覚悟が足りない。
甘いよ、リーゼロッテ!
[わたしは腰に差した剣を鞘から抜く。切先を彼女に向けた]
覚悟があるっていうなら、見せてみなよ。
返り討ちにしてあげる!
[わたしは挑発を重ね、彼女に剣を振り下ろした。*]
― 回想・数年前 ―
[リーゼロッテがまだ士官学校生だった頃、わたしは剣の指導で彼女と対峙した事がある。
士官生にしては小柄な彼女は、剣を持つ手もおぼつかなく、太刀筋もフラフラとしていて。
十回模擬戦をして、十回わたしが勝利を収めた]
あなたがわたしに勝ちたかったら、わたしの隙を突くしかないね。
[なんて当時は冗談めかして笑い飛ばしたけど。
もちろん、そんな会話は今は思い返されることはなく。*]
[剣を振り下ろせば、彼女はすぐに反応して応戦する。>>125
彼女も剣を抜けば、この場で決闘が始まる。
あれから彼女も少しは上達したか。
しかし、御しがたい相手ではない。あっという間に壁に追い詰め、その胸を切りつける一撃を浴びせる]
入ってくるな!!
[物音に気付いた騎士が駆けつけるのを、わたしは声を上げて制す。
この場はなぜか、自分で、わたし一人でけじめをつけないといけない気がした。
彼女の気概に、わたしもどこか冷静さを欠いていたのかもしれない。
そして、傲りもあった。新人に負けるはずはない、と]
[わたしの斬撃を受けて、リーゼロッテはその場に倒れただろうか。
致命傷にはならない一撃だと思うが、それに懲りてこの場から去ってくれればいい。
わたしはどこか、こみ上げる苦いものを飲み下そうとする顔をしながら彼女に背を向けた。そこに隙が、あったのかもしれない。*]
[背中に彼女の身体がぶつかったと分かった瞬間、自分が犯したミスを痛感した]
……ぐっ…
[背中から腰に痛みが広がり、足が震える。跪きそうになりそうなのを堪え、壁に左手を突く。右手を真っ直ぐに下ろすと、軍服の袖の中を滑るように落ちてくるものがあった。
わたしは手の中に隠し持っていた短刀を持つと、振り向き際に彼女の頬を目がけて切りつける]
……っ、……。
[ほんのかすり傷を負っても、彼女は助からない。
これは本当に、人を殺すために仕込んでいた暗器。神経を麻痺させ、窒息を促す即効性の毒が塗られているからだ。
長年、これを持ち歩き続けていたけれど、使うのは初めてで]
……、ここ、までね…。
[彼女がこの後、どうなったかわからない。
致命傷を負ったわたしは、自分が作った血だまりの中に膝をついて倒れる。
扉が開いて、次々に誰かが叫ぶ声。
それも次第に、遠ざかる]
ごめんなさ、……い…。
[最期に謝罪を向けたかったのは誰だったのか。
わたしは掠れた声を振り絞って一言告げると、眠るように意識を失い、息絶えた。**]
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