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[答えるクロイツにコンスタンツェに『まじ?』と聞き返しながらも直後にニヤっと嗤って。]
………フッフッフ
なぁにこんなこともあろうかと。
[ドーンと胸を張って自信満々に語りだす。]
この避難所は親父が作ったものなんだけどな。
一つはエレの家に繋がっている、がこれはもう塞がってしまったようで使えない。
だけど実はもう一つ抜け道があるんだよ!
実はこの地下室は軍の基地に繋がっているんだよ!
だけど有毒ガスが出ていて使えないとして封印しちゃったんだけどな。
でも実はその通路は一日に2時間だけ通り抜けることができるんよ。
健康にはちょっと害があるかもしれないけど、緊急事態だ、健康とか言ってられないだろ?
それに気づいた俺すごいだろ?
[ヘヘっと得意げに笑顔を浮かべた。]
で、基地側の扉を開くには8桁の暗証番号が必要なんだけど。
それは軍の司令官、つまりあのハゲが知ってるはずなんだ。
どうよ、俺とハゲが揃ってるからこそ使えるまさに奇跡の避難通路ってわけさ。
[そして、これ以上ないほどのドヤ顔で一同を見回した。]
くそ!!
ほんっっっとうに使えねーな!!
そんな無能だからこんなとこに飛ばされてくるんだよ!!
[苛立ちを隠そうともせず、むしろクロイツにぶつけるよう言い捨てる。]
邪魔だ!どけよ!!
[クロイツを押しのけて扉へと進む。
延焼がどの程度かはわからないがハゲが上にいるのだとしたら助けなければならない。
そうでなければ生きてここから帰ることができないのだから。
シュテルンの閉めた扉をもう一度開け放つ。
そこに鬼が迫っているとも知らず。]
あ?
[人がいた。
だがそれは探している小太りのハゲではない。]
……マレンマ?
[闇に煙、目がまともに働かない。
それでもわかったのはなぜなのだろうか]
ゴホッゴホッゴホッ
ハゲをあいつを見つけないと……抜けられるんだ……基地に……。
[ベルガマスコが既に死んでいることを知らず、最後の希望に縋るように一歩一歩階段を上る。
薬の切れた躰は既に冷え切っていて末端の感覚が失われてきている。
それでも必死に前へと、既に潰えている光に向かって進む。]
ゴホッゴホッカハっ
フーフーゴホッ
[最上段を踏んだところで床に倒れ込んだ。]
チクショウ……。
[この涙は煙のせいだと言い聞かせてカークは目を瞑った。
もう立ち上がることができないと諦めたとき指先に小さく暖かい温度を感じる。]
……エレ?
[エレ、エレオノーレ、腹違いの妹、父が本当に愛していた女の娘。
この娘が嫌いだった。
ずっと親の愛を独り占めしているとそうカークは感じていた。
カークの母は富豪の娘で、父はその財をあてにして結婚した。
だからカークへも父は愛情を注ぐことはなかった。
そして母もそれを知っていた。
学校へいく金は出してくれた。
いい学校へいきいい成績で期待に応えた。
期待などはかけられてないと知りながら。
だからカークはエレが嫌いだった。
仕事の関係でこの村に来させられたときはなんの嫌がらせなのかと思った。]
くっそ!!!!
[いつぶりだろうか、彼女が自分を兄と呼んだのは。]
こんなとこで死ねるか!!!!
[指先を掴んだ小さな妹の身体を抱きかかえながら立ち上がる。
既に暗闇に充満した煙は人を殺すに充分だった。
換気が死んでいることが幸いしたのか火そのものは消えているとうだったが、それはそのまま人が活動できる場所ではないことも示している。]
だからなんだってんだよ!!!
そうだ。
この小さなエレを助けなければ。
俺が、兄として、エレとフランツの結婚式を挙げてやるんだ。
[力強く踏みしめた足は床の冷たさも何もかもを構うことなく進んでいく]
ここか!!
[入った先の小部屋でベルガマスコが倒れている。]
おい!おきろ!!
暗証番号を言え!!!
────……。
[聞こえた、微かに聞こえた。
虫の息だったベルガマスコは確かにカークへと伝えた8つの数字。
頭の中で反芻し決して忘れないように間違えないように。]
エレ……もう少し我慢しろよ。
これで抜けられる!
この地獄みたいな場所から!
[エレを抱える手に力が入る。
まだ行ける、まだこの手には力が入る。
急いで階段を下りて扉に手を掛ける。
重く冷たい扉はゆっくりと徐々にカークの前の道を開いていく。]
エレ……もう大丈夫だ。
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