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旅人 ニコラス は、パン屋 オットー を占った。
……まだ、死ぬつもりはなかったんだけどな。
[生死不明なら、それはそれで彼女が縋る希望になるだろうか――なんて、甘い期待を頭の片隅で考えながら、ぼやく。
死ぬことは何も怖くはなかったけれど、それでも。
それでも、あと少しだけ、もう少しだけ、
――生きていたかった**]
[ヨアヒムは、渇いて仕方がないと言っていた。
オットーは、一心不乱にこの体を貪っていた。
――殺されてもなお、彼らを異端者だと思うことは出来ない。
むしろ、どうすればその呪いから解放できたのだろうか、と言うことばかりが脳裏を過ぎる]
[ヨアヒムとオットーが人狼だった。
他に仲間は居るのだろうか。
もし、村に現れた人狼がその2人だけだとしたら――
――残されたヤコブは、どうするのだろう]
[エルナに宛てて認めた最期の手紙。
それが人の目に触れることを、心のどこかで恐れている。
彼らは、獣でも異端者でもないことを
幼い頃から共に遊び、語り合ってきた友人であることを
よく知っているから。
獣や異端者として裁かれる事を、恐れていた]
[雪を踏みしめても、何の音もしなければ感触もない。
冬景色の中で佇んでいても、寒さも感じない]
――なるほど、確かに死は救いなのかもしれない。
[物理的な苦痛の全てから解放される。
だけど、魂がここにあるかぎり、それは逆に苦行となる。
声も届かず、触れることも出来ない。
ただ――見ていることしか出来ない]
/*
すまん…すまん…。
難しいことを考えるのが苦手と言いながら、体も腕も使わず談話室で安楽椅子探偵やっていて、それなのに脳筋だから肝心なところを覚えていないというのが、気になって仕方ない…。
[搾り出すような声に、驚いたように目を開く。
そして、ほんの少し非難の色を浮かべて「手紙を覗くなんて趣味が悪いと思います」とぼやいたが果てさて、色めき立つ彼女の耳には届いていたか]
……そりゃ、相手は友人とはいえ人狼ですし、生きて帰れる保障がなかったから、シスターの仰る通り手紙を残したんですけどね。
彼は僕の友人だから。
僕が止めなければいけない――違うな。
止めたかったんだ。
[そんなのは自分のエゴでしかなく、結局はこうして死んでしまったし、エルナを独りにしてしまった。
殴らなければ気が収まらないと言うフリーデルには何も言わず、ただ、怒りを受け止める覚悟を示すように黙って目を閉じる]
[殴られる覚悟を決め……しかしフリーデルの手が振られることはなく。
目を開けると、その表情は幾分和らいでいるように見えた]
そう、ですね。
勝手だと思います。
誰にも、エルナにすら話さず、1人で決めてしまった。そして殺されてしまった。
……それでも僕は、ヨアヒムやオットーを化け物だと思うことが出来ない。
どうすれば2人を呪いから解放できただろうって、そんなことばかり考えてしまうんです。
でも結局殺める以外に方法がないなら、やっぱり僕の手で果たそうとしたでしょうし――異端者として裁かれるような事にだけはしたくなかった。
……彼らにだって、死と言う救済と平穏を、平等に与えられる権利がある。
そう、思うんです。
[その声は、届かなかったけれど。
少し寂しそうに、目を伏せた**]
―それから―
[フリーデルとの会話をどれだけ交わしたか。
男の魂は、手紙を見つけたエルナの傍にあった。
手紙の内容に顔つきが変わっていき、包丁を片手に部屋を出て行くその背中を追う]
――ごめん。
君に、そんな顔をさせたくなかったのに。
[誰よりも彼女の笑顔を望んでいたというのに、彼女から笑顔を奪ったのは
――紛れもなく、自分だ]
[ヨアヒムが誰かと怒鳴り合う声が聞こえる。
その部屋の中に、エルナがそっと押し入る。
そして、窓が閉められ――
狭い部屋の中、大切な2人が、守りたいと思っていた2人が。
殺意を剥き出しにして対峙しているのを、ただ、見守るしかなかった**]
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